セミナー「鉄道遺産・鉄道資産を生かしたまちづくり」2018/11/12 13:39

日本都市計画学会 北海道支部主催の表記セミナーが開かれました.基調講演とパネルディスカッションです.

2018年11月10日午前10時から12時半まで,場所は道庁赤レンガ庁舎の2階会議室です.

10日と11日は北海道鉄道観光資源研究会のイベントが赤レンガ庁舎で行われていて多くの人で賑わっていました.



道庁赤レンガ

写真1 道庁赤レンガ正門の看板

手前右は,「北海道の鉄道 過去、現在、未来」展示博覧会の看板です.赤レンガの2階にある二つの会議室を借り切っての催しでした.子供たちも多く来ていました.

この時,赤レンガ庁舎には正面から入れず,向かって右側が入口となっていました.


基調講演は釧路市立博物館の石川孝織(たかおり)さんで,パネルディスカッションのコーディネーターは,寒地土木研究所の松田康明さん(都市計画学会 北海道支部幹事),パネリストは増毛町長の堀 雅志さんと陸別商工会事務局長の杉本武勝さんでした.


石川孝織さん

写真2 講演する石川孝織さん

東京に生まれ,1998年には JR全線完乗を果たしました.2006年から釧路市立博物館に勤務しています.自宅に実物の簡易軌道の線路を作っています.


北海道の鉄道は,石炭・硫黄や木材など産業の必要から作られました.

道東では,跡佐登(あとさぬぷり)硫黄鉱山のために,跡佐登鉱山から標茶まで鉄道が敷かれ,釧路炭田の石炭を使って硫黄の精錬が行われました.1887(明治二十)年のことです.

その後,木材の輸送のために池北線(当初は網走線)が北に向かって延びていきます.また,釧路の雄別炭鉱や太平洋炭鉱の開発が進み,1921年には根室まで鉄道が延びます.

この当時,道路の状態は最悪で,鉄道の果たした役割は非常に大きかったのです.線路を敷いて馬車で貨物車両を曳くという馬車鉄道も1961(昭和三十六)年まで残っていました.


現在,北海道の鉄道網は大正期の規模に戻っています.地形に沿って走る簡易鉄道は,その地域に住む人々のほぼ唯一の交通手段でした.


残された鉄道の遺構は大きな役割を演じることが出来ます.

(1)鉄道は,その地域の歴史そのものです.

(2)特に北海道は鉄道遺産の宝庫です.

(3)鉄道遺構は文化資源として活用できます.

(4)鉄道遺産によって交流できる人々が増えると同時に,交流に携わる人たちも増えていきます.


パネルディスカッション

写真3 パネルディスカッションの様子

壇上左から,コーディネーターの松田康明さん(都市計画学会北海道支部幹事:寒地土木研究所),石川孝織さん,杉本武勝さん(陸別商工会),堀 雅志さん(増毛町長)です.


パネルディスカッションでは,廃線になった留萌本線・増毛駅を中心に観光客を呼び込む新しい試みが始まり好調であることやふるさと銀河線・陸別鉄道での気動車運転体験などが紹介されました.

鉄道遺産を上手に利用して町を活性化させている貴重な事例です.



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