本の紹介:戦争語彙集 ― 2024/03/13 15:07
オスタップ・スリヴィンスキー 作、ロバート・キャンベル 訳著、戦争語彙集。岩浪書店、2023年12月。
一風変わった題名のこの本は、2022年2月にロシアがウクライナに全面侵攻した後に語られたウクライナの人びとの言葉をスリヴィンスキーが書き留めたものです。
「『戦争語彙集』に集う声の持ち主は、家を追われ、未知なる世界へ踏み出さざるを得なかった人びとであり、ボランティアや医師、軍人、社会活動家やアーティストなど実にさまざまですが、それぞれの人生において戦争に見舞われた彼らは、共通の経験と一つの衝動によって結ばれた人びとなのです。」(本書 3ページ)
そして、後半は2023年6月にウクライナのリビウを訪れ、ウクライナ各地で人びとと語り合ったキャンベルの文章となっています。
戦争が人びとの日常生活に何をもたらし、どのように精神的な苦痛を与えているかがよく分かります。
ただ、ウクライナの人たちが明るくユーモアがあり、決してくじけない精神を持っていることも、よく分かります。
スベトラーナ・アレクシェービッチの「チェルノブイリの祈り」、関 礼子編の「福島からの手紙」、加藤直樹の「九月、東京の路上で」と同じように、普通に暮らしている人びとの声をすくい上げ記録した貴重な内容です。
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