SAPPORO★テイネトレイル 20222022/06/13 16:44

 2022612日(日)に行われたテイネトレイルのミドルコース(約16kmGPSの計測では15.8km)に出ました。

 テイネ・オリンピアをスタートして緩やかなレインボーコースを上り、ハイランドから山頂への作業道をたどり、途中から女子大回転コースに入ります。標高差220mを登り、山頂手前で折り返してシティビュークルーズ・コースを下ります。途中から作業道に出てハイランドからパラダイスヒュッテの前を通り、滝ノ沢の登山道を下ります。手稲鉱山の排水処理施設の手前で滝ノ沢を渡って尾根へと登っていきます。オリンピアの西側を半周してゴールへと下りていきます。

 

コース図

1 ミドルコース(約16km

 標高980mまで、ひたすら登りです。女子大回転コースの急斜面は登山でも利用しますが、行けども行けども頂上付近にある折り返し点に着かないという感じです。この日は雲の中でしたので、永遠に上り坂が続くのではないかという幻想に襲われました。この折り返し以降は滝ノ沢を渡って尾根を登るまで、ほぼ下り坂です。長い下り坂は結構足に来ます。平地になっても走り方を忘れてしまったような変な感じでした。滝ノ沢を渡ってからの登りは、階段階段また階段です。1kmほど続くこの登りは疲れた足には、かなりこたえます。最後、ゴールを見ながら白樺コースの芝のゲレンデを下っていくのは気持ち良いです。

 

コース図

写真1 スタート前

 正面の林の左側にスキー初心者用のレインボーコースがあります。ここを登ってハイランドまで行きます。

 

霧の中

写真2 山頂への道の途中

 スタートから2km付近で、雲の中に入りました。出発前に長袖を着たのは正解でした。それほど汗をかかないので走るのには好条件です。ただし、今回は、登りは歩くと最初から決めて体力を温存しました。下ってくる時に気が付いたのですが、この付近の道端にシラネアオイが咲いていました。

 

急登

写真3 霧の中を登る

 急登を過ぎてやや緩くなった付近です。山頂溶岩の流走面だろうと思います。

 

山頂が見えた

写真4 山頂が見えた

 霧が晴れて山頂が見えました。比高50mほどの急坂がもう一つあります。折り返し点はスタートから3.7kmです。

 

折り返し

写真5 折り返して下る

 シティビュークルーズ・コースを下ります。気持ちの良い下り坂です。正面右手の山は多分、藻岩山でしょう。雲が晴れてきれいな青空です。

 

湿地

写真6 滝ノ沢源流付近の湿地

 登山道が湿地を横断しています。丸太の足場を伝わらないと足が埋まりそうです。この付近で約9kmです。ここから2kmほどの長い下りが続きます。

 

階段

写真7 階段階段また階段

 滝ノ沢を渡って尾根に取り付く階段の道です。休み休み登ります。34km50kmの人たちも走って登るのは苦しそうです。

 

石狩湾

写真8 聖火台から石狩湾

 

ゴールへ

写真9 ゴールに向かって

 あとは400mほどの芝の斜面を気持ちよく下っていくだけ。完走できたのが何よりうれしい。考えていたよりも40分ほど速く走れました。

 

 寒いくらいの天候が味方してくれました。暑さがひどかったら、こうはいかなかったでしょう。

 今回、水と清涼飲料は3リットルちょっと背負って行きましたが、かなり余りました。カロリーメイト・ゼリーやエネルギー・ゼリーを持って行きました。多少の水分補給になるし、お腹に貯まらないので非常に良かったです。重いのが難点ですが。

 登山用に買ったコンプレッション・タイツは威力を発揮したと思います。走っている最中に足が攣(つ)ることはなかったですし、終わってからも、それほどダメージはありませんでした。

 

 来年も練習をサボらなければ16kmを完走できそうな気がしています。 テイネトレイルランのミドル(16km)は制限時間が5時間と余裕があります。1km18分で走れば(歩けば)制限時間内にゴールできます。1時間に3.3kmの勘定です。下りが多いので、それほど無理な速度ではないと思います。山歩きを楽しみたい人は、参加してみてはと思います。

 

 



本の紹介:自衛隊海外派遣2022/06/10 17:45

布施祐仁

 布施祐仁、自衛隊海外派遣 隠された「戦地」の現実。集英社新書、20224月。

 

 2005623日午前9時過ぎ、イラク南部サマーワの陸上自衛隊宿営地で「QRF集合! これは訓練ではない」という一斉放送が鳴り響きました。QRFというのは、Quick Reaction Forceの略称で「緊急対応部隊」のことです。これより先、道路の竣工式に参列する隊員達が宿営地を出ていました。この隊員達の車がサマーワ市街地近くで道路に仕掛けられた爆弾で攻撃を受けたのです。

 

 この本は、こんな緊張感の漂う話から始まります。

 情報公開請求によって自衛隊の海外派遣の実態を次々と明らかにしています。

 20167月に南スーダンのジュバで「政府軍と元反政府軍との間で、散発的に発砲事案が生じているということです」と中谷元防衛大臣が発言しました。著者は、この発言に強烈な違和感を感じました。このジュバ・クライシスと呼ばれるようになる戦闘の実態を明らかにするために情報公開を請求しました。公開された日報からジュバ・クライシスの実態が明らかにされます。

 そのほか、イラク派遣、カンボジアPKO、東ティモ−ルPKO、ルワンダ難民救援、ゴラン高原PKOなどの実態が記されています。

 

<感 想>

 自衛隊の海外派遣は、1993年のカンボジアPKOから始まります。すでに30年近くの歴史があるのです。現地に派遣された自衛隊員が、憲法の規定内でどう任務を遂行したかが詳しく書かれています。ほかの国々が軍隊として当然出来ることを自衛隊は出来ず、他の国の軍隊の理解を得るのに苦労した状況も書かれています。

 

 ジュバ・クライシス後の2019年以来、自衛隊の海外派遣は行われていません。この戦闘がどれほど危険な状況であったかを示していると思います。

 

 今、防衛費を2倍にする話が具体化しようとしています。しかし、日本国憲法の先進性によって助けられてきた海外での様々な活動が危機に瀕する可能性があります。「戦争をしない国 日本」というブランドに傷が付くことが懸念されます。

 

 



本の紹介:考えるナメクジ2022/06/06 18:16

考えるナメクジ

 松尾亮太、考えるナメクジ 人間をしのぐ驚異の脳機能。さくら舎、20205月。

 ナメクジは脳を持っていてキチンと学習するだけでなく、「論理学習をともなう連合学習」も行います。

 著者は、分子生物学の手法を用いてナメクジの脳を研究しています。この本を読んでいるとナメクジが実に、かわいらしい動物だと思うようになります。

 

 目次は次のようです。

 

はじめに

第1章      ナメクジってどんな生き物?

第2章      すごい「脳力」があふれている動物界

第3章      ナメクジは賢い!

第4章      人間をはるかにしのぐナメクジの「脳力」

第5章      ナメクジの生き方

第6章      愛と青春のナメクジ研究

おわりに

 

 最後の第6章は、これから研究者を目指そうと考えている若者にぜひ読んで欲しい内容です。

 



モエレ山登り2022/06/02 13:52

 札幌市の北東にあるモエレ沼公園は、イサム・ノグチが基本設計をした公園として知る人は知っている公園です。

 わが家から約4kmほどなので、よく行きます。今朝は、寒いけれども風もそれほどなく穏やかな天気だったので、自転車で行ってモエレ山登りに挑戦しました。

 これまで、2往復したことはありましたが、今回は3往復、つまり6回登ることに挑戦です。最後の1往復は、かなりきつかったですが、なんとか立ち止まらないで3往復できました。

 モエレ山の麓の標高が約10m、てっぺんが62mで三角点があります。今回は南西斜面を登って北東斜面を降りて往復するというコースです。 斜面のきついところの勾配は、約20度で斜距離は210m程度です。時計型のGPSでは距離は200mと計測されます。

 

モエレ山断面図

1 モエレ山の南西-北東断面図(地理院地図による)

 左(南西)側の斜面は、傾斜20度で斜距離207m、右側(北東)の斜面は、上の方が傾斜20度、下は10度で、斜距離は220mです。

 

 

モエレ山走行記録

2 今回のGPS記録(TrailNoteによる)

 4つ目の山の下りと5つ目の山の上りは、北西斜面です。3往復した後、1kmほどジョギングをしました。

 

 今朝は、自転車での帰りにキタキツネに追いかけられました。

 後ろから「ギャオ ギャオ」と威嚇する声がするのでカラスかなと振り返ったらキツネが追いかけてきていました。全速力で逃げましたが、走っていたら噛みつかれたかもしれません。

 札幌市清田区保健福祉部健康子ども課のウェブサイトによると、48月くらいまでキタキツネの子育ての時期だそうで、モエレ沼の堤防に巣穴を作っているのかもしれません。

 私の住んでいる町内では今年、キタキツネが巣を作り子ども4匹が生まれたそうです。家庭菜園やゴミ集積場など餌が豊富なのでしょう。

 

 



本の紹介:憲法入門2022/05/26 22:01

憲法入門_表紙

ぼうごなつこ、100日くらいで理解できる 憲法入門 マンガで比較&解説 日本国憲法・明治憲法・自民党改正草案。オクムラ書店、202111月。

この絵は、ギリシャ神話の法、掟の女神であるテーミス(テミス:Themis)です。

 

憲法入門_裏表紙

裏表紙

「そう、憲法を守る義務があるのは一般国民ではないって知ってた?」

 

 漫画家が描いた憲法の本などと侮るなかれ。

 日本国憲法(1946年)、明治憲法(1889年)、日本国憲法改正草案 自由民主党(2012年)が、ほぼ全文載っています。日本国憲法の順番に従って、関連する明治憲法、自民党改正草案が示されています。そして、それぞれの条に漫画が添えられていて、条文を具体的に理解することができます。

 こうして並べて読み比べてみると、明治憲法と日本国憲法の落差、そして自民党改正草案の古くささがよく分かります。

 また、伊藤 真氏を初めとする15人の方々のコラムは、肩肘張らずに読めて憲法の理解を深めてくれます。

 最後のページの『実録「男性二人から表現の自由をおびやかされる瞬間」』は、漫画家らしい秀逸な漫画になっています。

 

 

 



「富岳」シンポジウム2022/04/06 21:37

 2022329日、1000分から175分まで、オンラインで「富岳」成果創出加速プログラム 公開シンポジウムが開かれました。午前中のOPENINGと午後のセッション1:防災・減災を視聴しました。

 幾つかの講演内容を紹介します。

 

松岡 聡氏(理化学研究所 計算科学研究センター長)

 「富岳」についての話です。

 「富岳」開発の背景としては、高性能のコンピューターは画期的な社会変化をもたらしうるということがあります。「富岳」が設置されている理化学研究所の計算科学研究センターは、神戸市のポートアイランドにあります。ここではマシーンの更新・作成・活用を行っていて、計算のための科学を進めています。広い分野と高い計算能力を保持して汎用的なアーキテクチャを構築しています。

 2010年頃から開発を行い、九つの重点課題を設けています。「富岳」は、他の国のマシーンに比べて1.4倍〜5.5倍の性能を持っています。世界第一位であることが重要です。

 

奥野泰史氏(京都大学/理化学研究所教授)

 創薬について話します。

 新しい薬の開発に成功する確率は、2.5万分の1です。費用は、1,000億円以上、期間は10年以上かかります。

 日本は、ワクチン開発・生産体制強化戦略を掲げています(内閣府、20216月閣議決定)。しかし、総合力で他国に劣り、資本力が弱く、開発のスピードが遅いのが現状です。そこで創薬の超効率化を目指して、スーパーコンピューターとAIを使います。

 コロナ治療薬について、20207月から分子動力学シミュレーションを行っています。計算そのものは2日ちょっとでできます。AIを利用することにより、化学構造の決定から薬の生成までを行うことができます。薬理活性については生成モデルを作成し、タンパク質配列をデザインし薬剤候補を絞り込みます。

 変異株についてのゲノム解析を行い、変異によってどんな悪さをするのかを突き止めることができます。ガン治療では薬剤耐性が生じます。変異株の薬剤反応を予測し、アミノ酸の変異を突き止めます。さらに、患者のゲノム解析を行い、効く薬が何かを求めます。

 

坪倉 誠氏(神戸大学/理化学研究所教授)

 Society5.0のものづくりについてです。

 Society5.0とは、サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立させる人間中心の社会のことです(内閣府)。

 一つの例として、自動車の開発について述べます。

 自動車の空気力学は、車の形、色々な目的のための性能、車の最適設計+デザインなど数多くの設計変数が係わっています。リアルワールドでのシミュレーションも行われますが、多くの変数を試すのは大変です。例えば、走行中の非定常空気力には床下の構造が係わってきます。レーンチェンジをスムースに行うにはどんな形状が良いのかの検討が必要です。

 新型コロナウィルスの飛沫拡散の解析は、エンジンのシリンダー内における燃料拡散シミュレーションのパラメーターを変えて行いました。マスクの効果も取り入れています。感染予測では、飛沫中のウィルスの数、身体のどこに多いか、肺から上気道への飛沫の発生・拡散・空中伝播を考慮しています。

 スキーのジャンプでは、まるごとシミュレーションを行いました。飛んだ姿勢を与えて空中の揚力と抵抗力の比(揚抗比)を計算しました。小林陵侑選手の場合、ジャンプの終盤でも揚抗比が低下せず一定しているために飛距離が出ることが分かりました。2回飛びますので1回目の後にすぐ解析をして2回目に生かすことも可能です。

 トポロジー(位相)最適化という手法があります。形状最適化シミュレーションの一つです。この手法で車体のねじれの解析を行っています。解析によって得られた形状アイディアと設計エンジニアのインスパイアー(ひらめき)をうまく統合することができると思います。

 

佐藤正樹(東京大学 大気海洋研究所):台風・線状降水帯の新時代の数値予測

 台風や線状降水帯の精度の高い予測ができるようになってきました。大アンサンブルにより観測ビッグデータを生かすことができるようになりました。

 20207月の球磨川洪水では線状降水帯の予測を行いました。約1,000個のアンサンブルを構築し洪水、土砂災害、地下浸透などについて確率論的予測を行い、12時間前に予測に成功しました。

 解析に当たっては解像度を優先させるか、アンサンブル数を優先させるかが問題となります。2019年の房総半島を縦断した台風では、14kmのメッシュで1,600メンバーを使いました。

 全球モデルでは、リードタイム8日で70%の確率で予測できます。

 

堀 高峯(海洋研究開発機構 地震津波予測研究開発センター長):地震を知って震災に備えるために「富岳」を生かす

 海洋研究所では、リアルタイムモニタリングを行い、地震発生から揺れまでを研究しています。

 地震予測は、当初経験則により行っていました。最近は、シミュレーションで、どこにどの程度の揺れが起きるか、どの程度の被害が出るかを予測するようになっています。

 プレート運動に伴って発生する地震は、沈み込み帯の幅の広い断層が動きます。1996年から2000年の東北地方の地表の動きは、東北地方太平洋沖地震のすべり分布とほぼ一致しています。プレート間の固着具合の分布を評価することも必要です。

 「富岳」では、地震によって動く地盤と構造物の両方を同時に解析できます。震源断層の動き、地震波の伝播の状態、地盤での地震動の増幅、地下構造物を含む都市での建物の揺れを考慮します。

 相模トラフ沿いの地震では長周期の地震動が卓越します。約150億個の四面体要素からなる計算モデルを構築して様々な検討を行っています。

 

<感 想>

 蓮舫参議院議員の「二位じゃだめなんでしょうか」(2009年の事業仕分け)で有名になったスーパーコンピューターの能力競争ですが、「富岳」の高い能力は非常に大きな可能性を示しています。「富岳」は「京」(けい)を継承しながら、使いやすさやアプリケーションの開発を重視しました。結果として、現在世界一のコンピューターとなっています。能力を生かして、これまでやったことがないことに挑んでいくことが大いに期待されます。

 

 



シンポジウム 巨大地震と津波2022/03/23 16:11

 2022321日(月:春分の日)13時から1630分まで北海道大学地震火山研究観測センター シンポジウム「巨大地震と津波−千島海溝沿いの巨大地震に備える−」が開かれました。

 

 講演者と題目は、下のとおりです。

 

■高橋浩晃氏(北海道大学大学院理学研究院附属地震火山研究観測センター 地震観測研究分野 教授)

千島海溝沿いの巨大地震津波災害軽減に向けた総合研究

西村裕一氏(北海道大学大学院理学研究院附属地震火山研究観測センター 地震観測研究分野 准教授)

地層から知る千島海溝沿いの巨大地震津波の履歴

■高井伸雄氏(北海道大学大学院工学研究院 准教授)

千島海溝沿いの巨大地震による強震動災害

■橋本雄一氏(北海道大学大学院文学研究院 教授)

千島海溝沿い巨大地震による津波避難を科学する

 

 講演の概要を紹介します。

 

高橋浩晃氏:千島海溝沿いの巨大地震津波災害軽減に向けた総合研究

 地震は予知できません。ですので、事前に備えることが大事です。ただし、揺れの強さ、津波の浸水域、被害の様相をある程度想定することは可能です。科学と技術を駆使して対策を行うことで被害を減らすことはできます。

 北海道の襟裳岬から東では、十勝沖、根室沖、色丹島・択捉島沖などで地震が発生します(1参照)。北海道では遡っても250年前までしか文書による記録がありません。

 2003年に十勝沖地震がありました。その後、20年間大地震がありません。霧多布湿原では6,500年間に15回の津波堆積物が見つかっていて、340年〜380年間隔で巨大津波が発生しています。

 地震調査研究推進本部(地震本部)では千島海溝南部ではM8.8の地震が30年以内に発生する確率が740%としています(202211日)。最大を想定して対策をすることになっています。

 20217月に北海道津波浸水予測図が公表されました。函館、苫小牧、釧路では20分以内に1mの津波が襲来します。

 北海道の太平洋岸は低地が多いのが特徴です。今回の浸水予測図では、釧路市の浸水予測範囲は、2011年の東北地方太平洋沖地震(東日本大地震)で浸水した石巻市の面積の2倍になります。

 対策としては堤防の二線化が効果的です。被災時の災害を減少させること、被災後の早期復旧・復興が行えることが重要です。

白糠町では高台移転を行いました。浜中町も庁舎の高台移転を行いました。

 科学的には、津波の事前予測、地震の揺れの事前予測、避難計画の最適化が重要です。根室沖では3カ所に海底ひずみ計をおいて観測を行っています。ひずみの蓄積には、12011年の東日本大地震のような海溝軸の浅い部分にひずみが蓄積するタイプと22003年の十勝沖地震のように浅い部分にひずみの蓄積がないタイプがあります。

 2011年の東日本大地震では内陸の国道や高速道路の通行を確保し海岸部へ救援物資などを運びました。しかし、北海道は島なので被災後の救援などでは航路の啓開が必須になります。

 

道東の地震域

1 千島海溝沿いの長期評価対象領域

(地震調査研究推進本部 地震調査委員会、2017,千島海溝沿いの地震活動の長期評価(第三版)、21P

 襟裳岬から東の、十勝沖、根室沖、色丹島沖および択捉島沖のプレート間地震の震源域を示しています。

 

西村裕一氏:地層から知る千島海溝沿いの巨大地震津波の履歴

 今、青森県三沢市の海岸の松林の中にいます。この防風林の地面の下に、2011年東日本大地震の津波堆積物があります。三沢市では2011年に58mの津波が襲来しました。地面を掘ると、下から砂丘堆積物、2011年津波前の土壌、2011年の津波堆積物、津波後の土壌の順で見ることができます。

 能代市でも調査を行いましたが、1983年の日本海中部地震の津波堆積物があります。

 ロシア沿海州で津波堆積物調査を行いました。ここでは、1983年の日本海中部地震の津波堆積物と1993年の北海道南西沖地震の津波堆積物が検出できました。

 津波堆積物調査の流れは下の図のようになります。

 

波堆積物判定流れ図

図2 津波堆積物の認定フロー(後藤ほか、201748P

 

 イベント堆積物には、洪水、高潮、津波などの堆積物があります。その中から、津波堆積物の堆積学的特徴を持っている堆積物を抽出します。微化石などによって海水起源の堆積物かどうかを判定します。歴史記録との照合を行い津波堆積物の可能性の高い堆積物を選びます。ただし、古い津波堆積物では、堆積後に変質している場合があるので注意が必要です。

 北海道の浦幌町では5,000年に10回の津波堆積物がありました。最新の時代は400年前です。津波発生当時の海岸線の位置も問題になります。海岸から内陸へと何カ所か掘削して津波堆積物を調べることでそれぞれの津波の大きさを推定できます。巨大津波でもバリエーションがあります。

 釧路市のハザードマップは決定論的評価を行っています。最大クラスの地震・津波を想定しています。

 確率論的評価では地震活動の全体像、巨大地震のバリエーションを考慮します。色丹島には12世紀と17世紀の津波堆積物があります。

 千島海溝で発生した17世紀の巨大津波は、10mを超える高さです。同じような巨大津波が繰り返し起きています。これに対して、東北沖などの日本海溝の17世紀巨大地震津波は、1611年に起きた慶長三陸地震津波のみです。勇払平野でも17世紀の1回だけ巨大津波が検出されています。

 巨大地震が発生すると地殻変動が行きます。大樹町の当縁川(とうべり・がわ)湿原での調査では、淡水環境と汽水環境を判別することにより、巨大地震による隆起とその後の余効変動による沈降を検出できました。200年前に離水し淡水環境になっていることが分かりました。

 

高井伸雄氏:千島海溝沿いの巨大地震による強震動災害

 2022316日に福島県沖の地震が発生しました。マグニチュードは7.4(気象庁、20223170430分 震源要素更新)で震源の深さは57kmでした。スラブ内地震と言われています。太平洋側で震度が大きく、また平野部で大きい震動が発生しました。

 強震動災害は、震源特性、伝播経路特性、地盤増幅特性の三つの要素に左右されます。

 北海道で強震動が発生しやすいのは、勇払平野から石狩平野にかけてやサロベツ原野など新しい地層が厚く堆積している地域です。

 建物の揺れは、建物が持っている周期によって異なります。2003年の十勝沖地震では、10秒の周期が卓越していたため、地表近くに新しい地層が厚く堆積している地域で大きな揺れになりました。

 2011年の東日本大地震では3,000秒という長い時間、揺れを観測しました。直後にあったマグニチュード7.5クラスの地震では0.20.3秒の周期が卓越していました。長周期地震動は、表面波が発生して遠くまで影響が及びます。東北本大地震では大阪府の咲洲庁舎(52階)が大きな揺れに見舞われました。超高層の上層階は大きな揺れが発生します。

 札幌の場合、冬に発生する地震では雪の重みで建物の震動の仕方が異なってきます。札幌市の区ごとの地震防災マップが20223月に配られました。このような資料に目を通しておくのが大事です。建物の点検、家具類の固定、建物周辺の状況、避難経路と方法などを普段から考えておくことが必要です。

 

橋本雄一氏:千島海溝沿い巨大地震による津波避難を科学する

 人間社会と空間の科学を研究しています。具体的には、GISで防災研究を行っています。

 空間データと属性データを使って分析・検索・表示を行います。

 19951月の阪神淡路大震災では、役所は紙媒体でデータを持っていました。しかし、庁舎が崩壊してこれらのデータは使えませんでした。2007年に地理空間情報活用推進基本法ができて20223月には第4期の基本計画が公表されました。GISや衛星測位システムが様々な分野で実用化されてきています。

 災害研究はマクロスケール、メソスケールの後はミクロスケールの科学となり人文社会科学の分野になります。

 20217月に公表された北海道の津波浸水想定図では、新しい住宅が増えている苫小牧市の沼ノ端地域は浸水地域に入ってしまいます。釧路市でも市街地の大半が浸水地域になります。

 学生たちにGPSを付けて津波避難ビルへの避難訓練をしてもらいました。結果は、津波にのまれてしまいました。原因は、1)大勢で避難すると追い越すことができないので歩行速度が遅くなる、2)避難ビルの5階まで全員が上がるのに85分かかることです。1)については分散避難が必要ですし、2)については十分な余裕を持って避難することが必要です。

 冬の夜を想定してヴァーチャルリアリティ空間で避難をしてもらいました。

 マクロからミクロへの観点を持つ、社会的脆弱性を洗い出す、災害文化の醸成などが重要です。2022年度から高校の総合地理が必修となります。そこでは、GISと防災を学びます。これへの期待は大きいです。

 

<感 想>

 千島海溝の巨大地震津波は、統計上は南海トラフ地震津波より切迫しています。いつ起きてもおかしくない状況です。

 西村氏が述べた巨大地震時に地殻が隆起しその後沈降するが、地震が切迫していると隆起に転じるという大樹町当縁川湿原での事例は、非常に興味深いものです。

 ヴァーチャルリアリティを使っての避難訓練を行い、問題点を洗い出すという橋本氏の講演も示唆に富んでいます。津波が発生した時の避難で、どこに見落としがあるのかを示してくれるという点で、活用が進んでいくことが望まれます。


雪が溶けて2022/03/19 13:07

 今朝は、抜けるような青空。朝飯を食べて、こたつでウトウトして目が覚めたら雲が出始めていました。でも、風もないし暖かいので散歩に出かけました(2022318日)。

 

家の近く

写真1 家の近くの歩道

 ここ何日か暖かい日が続いて、歩道も歩けるようになりました。両側の雪の壁は2m近くあります。

 

モエレへ行く道

写真2 モエレ沼公園に向かう道

 北北東に延びる道で、左に掘り割状の川があるので雪を投げ放題。高い雪の壁ができています。

 

タマネギ畑

写真3 タマネギ畑と札幌西部山地

 タマネギ畑は雪の下。遠くの山は、左から藻岩山、砥石山、神威岳、その右にかろうじて烏帽子岳が見えます。手稲山は、雪が降っているようです。

 

伏籠川

写真4 伏籠川と藻岩山

 丘珠空港の東を流れる伏籠川(ふしこ・がわ:地理院地図による)と藻岩山です。ここは、直線化されていますが、タマネギ畑の中に蛇行した伏籠川の跡が残っています。かつて、豊平川はこちらを流れていたそうです。この流路変更は、1801年頃の大洪水によって起こったそうです。1806年に石狩川を遡った幕府目付の遠山金四郎景晋(かげみち)と勘定吟味役の村垣左太夫定行が「西蝦夷日記」に、地元の人から聞いた話として書き残しています。この金四郎は、南町奉行として有名な金四郎景元の父です。1805(文化二)年頃からロシアの船が北海道近海に現れ、カラフト、エトロフ、リシリ島などで「乱暴」を働きました。これに対処するための見回りでした。

 

歩道脇の雪

写真5 歩道と車道を分ける雪の壁

 2mを超す雪の壁で歩道と車道が分けられています。

 

丘珠空港緑地

写真6 丘珠空港緑地公園

 丘珠空港の南東に広がる緑地公園です。スキーのスケーティングやスノーシューの跡があります。この時期だと、それほど沈み込まないで歩くことができます。

 

まだこんな

写真7 こんな道も

 我が家の前の道は、まだこんな状態です。なんとか車は出せますが、グチャグチャです。今年は、除雪が3回くらい入っただけで、市の排雪は一度も入らなったと思います。

 

 


セミナー「土砂災害と地下水 ―土砂災害への備えは万全ですか?―」2022/03/15 22:07

2022312日(土)、午後1時から5時まで、標記セミナーがオンラインで開かれました。

 

プログラムは、下のとおりです。

 

檜垣大助氏(弘前大学名誉教授):大規模地すべり地での地下水挙動と地すべりの動き、効果的な対策の事例

中里裕臣氏(農業・食品産業技術総合研究機構):山形県鶴岡市七五三掛地区で発生した地すべり災害と調査

安田 進氏(東京電機大学):熱海などで発生した泥流・土石流被害への備え

釜井 俊孝氏(京都大学):宅地崩壊と地下水

 

以下、講演の概要を記します。

 

檜垣大助氏:大規模地すべり地での地下水挙動と地すべりの動き、効果的な対策の事例

青森県の岩手川支流にある大川右岸地すべりは、2005年に頭部に亀裂が発生し2006年に大規模地すべりに発展しました。その後、2009年から2014年の9年間に8m移動したことが確認されています。地すべりでは、すべり面に過剰間隙水圧が作用し抵抗力が減少し滑動を始めます。

山形県の寒河江川支流・大越川と石跳川(いしとび・がわ)の合流点付近に分布する志津地すべりは、融雪期に地すべりが活動します。この付近は、積雪深が最大4mに達し、雪が溶けると地すべりが動くということを繰り返しています。地下水排除工を主要な対策として、横ボーリング工、井戸を掘って横ボーリングで地下水を集める集水井工を行ったほか、排水トンネルを掘って上向きに集水ボーリングを行いました。

高知県の長者地すべりは、仁淀川上流部に位置している長さ900m、幅200mの地すべりで、末端は長者川の対岸に及んでいます。江戸時代から活動しています。集水井のほかに、地すべりの中段付近に2本の排水トンネルを掘り地下水を排除しました。

高知県の谷の内(たにのうち)地すべりは、長さ1,000m以上、幅800m、すべり面の深さ160mの規模で、地すべり地内に集落があります。全体は南東に動いていますが、南側のブロックは東に動いています。地質は付加体堆積物の砂岩・泥岩互層でチャートブロックを含みます。ここでは、深度別の間隙水圧を測定しました。すべり面の直上に高い間隙水圧を示す箇所があることが分かりました。深度ごとに水頭は異なりますが、降水に対する反応は同じです。地下水の変動様式は、1)亀裂の多いチャートブロックでは急上昇急降下、2)地すべりブロック中央部では緩やかな上昇下降、3)季節変動、の三つのタイプに分けられます。

青森県八甲田蔦川地すべりは、標高約1,295mの赤倉岳(40360.67 1405428.12)東斜面で発生した巨大地すべりの東南東末端に位置しています。この巨大地すべりは長さ7kmあり、広大な集水域を持っています。地下水排除工と末端盛土を行いました。地下水の水質分析から浅層地下水と深層地下水に区分できることが分かりました。この地域は、十和田八幡平国立公園で地すべり地内には多くの沼があり、これらの沼に影響を与えないよう深層地下水をねらった地下水排除を行いました。深層地下水の区間は有孔管、それ以外は無孔管としました。

 

<質疑応答の内容>

巨大地すべりでは末端付近と頭部付近では融雪時期がずれるので、地すべり移動の収束時期にずれが生じます。地すべり対策施設は、施工中は変動量、排水量を観測しますが、概成後は点検が一般的で継続観測は難しいです。大豪雨などがあった場合に集水ボーリングの増し打ちをする場合があります。

 

中里裕臣氏:山形県鶴岡市七五三掛地区で発生した地すべり災害と調査

山形県鶴岡市の七五三掛(しめかけ)地すべりは、月山ダムの下流約1.5kmで右岸から合流する小網川の支流、猫谷川と苅谷川に挟まれた地すべりです。大規模なDブロックの西側にあるBブロックで2009年に災害が発生しました。ほぼ北から南に移動しているB-1ブロックとその末端付近で苅谷川に沿うように北西から南東に移動しているB-2ブロックがあります。

ここでは、1971年頃に道路法面の崩壊が発生し、1991年に地すべり防止区域に指定されました。20092月に地すべりの兆候が現れ、4月に住民は避難しました。地すべり範囲を確認し、5月に応急対策を行い、7月には動きが沈静化しました。その後、農水省で地すべり恒久対策、農地復旧を実施し20193月に直轄事業を完了しました。

この付近の地質は、中新世の堆積岩類、火成岩類です。地すべり移動土塊は、玄武岩類で下位の泥岩との境界がすべり面になっています。地すべりの規模は、長さ700m、幅400mです。移動量は最大15cm/日で、末端では40日で4m移動しました。

対策工は、水路整備や河川転流工で地表水の浸透を減少させ、地下水排除工を実施しました。集水井を11基設置し水田浸透防止工を行いました。緊急対策として効果的であったのは、径200450mmのディープウエルによる地下水排除でした。また、被圧地下水を排除するために斜めボーリングを行いました。これは、即時的効果はありましたが、効果は持続しません。

 

<質疑応答の内容>

地下水排除工による水田の減水深は起きておらず営農は続いています。ただ、地すべり頭部では畑に転換しているところがあります。地下水排除工としてディープウェルは効果的です。集水井の配置はどこに排水するかをまず考えて計画しました。

 

安田 進氏:熱海などで発生した泥流・土石流被害への備え

20217月に熱海市で発生した土石流について公表されている資料をもとに述べたあと、いろいろな土石流の事例を紹介します。

熱海市の土石流を見た第一印象は、土石流の幅が狭いということ、新幹線のカルバートを通過しているということでした。静岡県のドローンの写真をまず見て、2週間後に現場に行きました。この付近の斜面は、平均傾斜は11°の均一な斜面です。直前に時間40mmの降水がありました。

崩壊した盛土は、2006年に工事が開始され2010年に完了しています。県の見解は、末端で湧水が発生し、それを引き金に崩壊が上部に波及したとしています。その後、ボーリング掘削、雨量計設置、沢の流量計測、熱赤外線による湧水点調査などを行っています。崩壊地には湧水点が多数存在しています。これらの湧水は、右岸は表流水がそのまま湧き出しているのに対し、左岸は深い地下水が湧き出していることが分かりました。

202231日に盛土規制法案が閣議決定されました。幾つかの崩壊事例を紹介します。

1978年伊豆大島近海地震で鉱滓集積場(持越鉱さいダム)が崩壊しました。地震で液状化が発生したためです。

2011年の東北地方太平洋沖地震では福島県須賀川市の農業用ダム、藤沼ダムが決壊しました。150万トンの水が流出しました。

2014年と2018年の広島豪雨災害では砂防堰堤の建設と下流の流路整備が進みました。

呉市は、200年〜300年間隔で大きな土石流が発生しています。砂防堰堤の建設場所の検討が必要です。

その他、三宅島の土石流や御岳崩れなどがあります。

2008614日の岩手・宮城内陸地震では栗駒山で土石流が発生しました。残雪があったために土石流の威力は増しました。

 

釜井 俊孝氏:宅地崩壊と地下水

宅地造成盛土は基準に従って造られています。しかし、2011年の東北地方太平洋沖地震では地すべりが発生しています。主な原因は、地下水が排除されていないことです。宅地として造成された土地には「緑ヶ丘」といったようなキラキラネームが付いています。全国に51,000カ所の造成された宅地がありますが、耐震の事前対策が行われているのは2カ所のみです。

東京は、基本的に多摩川の扇状地に位置しています。谷を埋めると地下水が貯まります。広域の地下水系を考慮して対策を立てる必要があるのですが、対策の対象となっていません。排水施設の経年劣化の問題もあります。盛土では地震による液状化によって噴泥が発生し崩壊します。地下で水による浸食が起きるためです。

大津市の例では盛土の底面にソイルパイプ(空隙)が形成されていました。盛土内の排水管が障害を起こしている例もあります。排水管の断面の7割が土砂で埋まっています。これは排水管(暗きょ)に設けられている中央縦排水から施工中に土砂が流入するためです。

宅地の排水管理は難しいです。盛土の完了検査は出来形のみで性能検査はしませんから、ザルのようなものです。

仙台市の緑ヶ丘4丁目では、2011年の東北地方太平洋沖地震で盛土が崩壊しました。1978年にも盛土崩壊を起こしています。ボーリングを行い動的震度計、間隙水圧計を設置しました。ここでは、地震後に地下水が自噴し始めました。地震波は、すべり層で振幅が吸収されるなど微少な地質構造が影響していることが分かりました。すべり層付近では地震による破壊域と液状化域が繋がっています。S波が来ると谷埋め盛土は、谷横断方向に振動します。盛土の剛性よりも側部の摩擦抵抗が重要だと分かりました。

2011年の東北地方太平洋沖地震では、福島第一原子力発電所で送電線の鉄塔が倒壊し停電しました。この現象を側方抵抗モデルで解析したところ、崩壊した箇所の安全率は0.8、それ以外は1.1以上でした。

 

 



札幌の大雪の後遺症2022/03/11 17:40

 札幌では20222月、3月に、かなりの雪が降りました。その後遺症が311日の時点でも続いています。

 

2月6日の大雪

26日の大雪

 除雪車が雪を道路脇にどけていった後に降った雪は、人力では処理できないので道路に溜まったままです。車が通るのはもちろん、人が歩くのもやっとです。

 

3月10日の状況

310日の状態

 この日の朝はマイナス7度まで気温が下がったので、前日の轍がそのまま残っています。日中は気温が上がるので、これがグチャグチャになります。車で広い道路まで出るのには勇気がいります。

 

 大雪が降った後、除雪車が一度入りました。雪を道路脇にどけていくだけなので、玄関への通路や駐車場の出入り口には高さ50cm以上の雪のリッジができました。これをどけるのが一苦労で、多くの家では道路や庭に積み上げています。道路に雪を積み上げれば、それだけ道路は狭くなり深い轍ができます。

 市民生活に大きな影響が出ていて、車で外出するには大きな勇気がいります。どこで車が動けなくなるか分からないからです。

 

 このように市民生活に支障が出ていますが、市の排雪は遅々として進んでいません。パートナーシップ制度という住民負担の排雪事業がありますが、この大雪で人手も機械もないのですから一向に進みません。

 

 12月から3月まで、雪を運んでもらう(排雪)作業を一季節5万円ほどで頼んでいる家がありますが、これだけの雪と道路の状況ではおそらく契約通りに進んでいないでしょう。


 一番困っているのは、郵便を始めとする配達関係の人たちです。札幌コープでは「ドトック」という食品や雑貨、洋服などの配達サービスをしていますが、車で住宅街の道路に入って動けなくなるので、ソリで廻って配達しているということです。

 

 こんな生活を強いられているのに、2030年の冬季オリンピックを招致しようと札幌市は活発に動いています。

 

 オリンピックを目指して、大赤字となることが目に見えている北海道新幹線の札幌延伸工事が真っ盛りです。都心に高速道路が通じていない大都市は札幌だけだという子供じみた理由で、札幌の北を東西に走る札幌新道からテレビ塔まで、地下の自動車専用道路(都心アクセス道路)を新設しようとしています。事業費のうち札幌市が負担する分は、新幹線が350億円、アクセス道路が240億円と言われています。

 

 今まさに、ウクライナで戦争を行っている状況で「平和の祭典」の一部であるパラリンピック冬季大会が北京で開かれています。

 2021年の東京オリンピックは、中止して欲しいという多くの声を無視して、まさにコロナ感染が日本で拡大している時期に行われました。

 

「オリンピズムの根本原則 2. オリンピズムの目的は、人間の尊厳の保持に重きを置く平和な社会の推進を目指すために、人類の調和のとれた発展にスポーツを役立てることである」(オリンピック憲章、日本オリンピック委員会、202188日から有効:https://www.joc.or.jp/olympism/charter/2021/book/index.html#page=1


  上に示した根本原則と今行われているオリンピック大会の乖離をどうするのか。オリンピックを招致するのであれば、まず、このことを真剣に検討することが避けられないと思います。