この頃考えること ― 2018/01/05 13:52
年を取るということ
長いことランニングをやっていると年齢と共に記録が落ちていきます。
最盛時は,ハーフマラソンは1時間40分ほどで走ることが出来ました。現在は,2時間30分でも走りきることは出来ず,ランニング大会は10kmにとどめています。大体,ハーフマラソンの制限時間は,2時間30分だからです。
一番最初に年齢を感じたのは,地表踏査をしていて斜面でバランスを取れなくなった時でした。特に,凸型斜面,つまり下が見えない斜面では怖くて仕方がありませんでした。若い同僚が断崖の上に平気で立っているのを見ているだけで心配になりました。
走る記録がどんどん落ちてくるのと同時に,筋力が衰えてくるのを実感しました。風呂場で身体を洗い終わって,立ち上がって風呂桶に入るのがやっとという状態になりました。
それで,インナーマッスルを含む体幹を鍛えるトレーニングをはじめました。これは,非常に効果的でした。日常的な動作は不安なくできるようになり,走る気力も出てきました。
人に迷惑をかけず人生を全うするために,自分の健康に注意しながら生きていくのがこれからの大きな目標です。
技術の発展と社会の退歩
まだ,頭はそれなりに働くので,これまでの経験を生かして地質調査についてのアドバイスはできると思っています。しかし,ここ最近の技術に進歩は著しく,これまでの経験が追いつかなくなるのではと思っています。
例えば,地すべりブロックの判読をAIを使って行うことが試みられています。最近のAIの進歩を見ていると早晩実用化されるでしょう。
CIM(Construction Information Modeling/Management),ICT(Information and Communication Technology:情報伝達技術),IoT(Internet of Things:物のインターネット),AI(Artificial Intelligence:人工知能)を利用したアイ・コンストラクション(i-Construction)が急速に進められています。
一方で,日本列島の広い範囲を放射能汚染地にした原子力発電が,今も継続されています。
原子力発電所が稼働しなくても電力不足にならないことは,2011年3月11日以降の状況で証明されています。ましてや,使用済み核燃料の処理,廃炉になる原子力発電所の処理,そして福島第一原子力発電所の核燃料の取り出しなど未解決の問題が山積しています。
このままの状況で,原子力発電所を運転することの愚は,誰に目にも明らかなように思います。
また,リニア新幹線の建設が着工され,工事の発注をめぐって日本の超一流建設会社による談合疑惑が浮上し,捜査が行われています。
建設工事に関わる地質調査に従事してきた者としては,複雑な思いがあります。と言うのも,大手の建設業者が請け負っていれば,こんな手戻りがなくすんだろうなと思う現場に幾度か遭遇しているからです。技術的に大手建設会社が優れているのは間違いのないところです。
山岳地帯を通り,路線の直線性が要求されるリニア新幹線では,大土被りのトンネル建設が必須であり難工事が予想されます。対応できる建設会社が,ある程度絞られてきます。周辺環境への影響,特に水文環境の激変に対処する必要があります。
今回の談合事件の問題点は,超一流の四つの建設会社が工事をほぼ独占しようと調整を行ったことでしょう。
リニア新幹線の建設費の一部は,鉄道・運輸機構がJR東海に貸し付ける形を取っていますが,財源は国債発行などで得た資金である財政投融資です。長期・固定・低利での貸し付けを行うことで,大阪までの開業を2037年とする計画です。
すでに,2016年度,2017年度で3兆円の貸し付けを行っています。当初は,JR東海が自己資金で建設するとして始まった事業で,国会での議論が十分なされないまま財政投融資を使うことが決まりました。
国政が私物化されているという印象をぬぐえません。
技術の進歩が,人の生活を豊かにする方向に向かわないのは,社会システムが間違っているからだと思います。
それこそ数多くの課題がありますが,誰でも1日8時間働いて生活できる賃金を得ることができる社会をつくるために,不断に努力することが求められていると感じます。
モエレ沼公園でクロスカントリースキー ― 2018/01/08 17:30
この冬初めて,クロスカントリースキーをしました。場所はモエレ沼公園です。
モエレ沼公園のコースは,約3.5kmのフリーコースと約1.5kmのクラシカルコースがあります。上り下りはほとんどなく,誰でもクロスカントリースキーを楽しめます。
この日は,曇り空でしたが,風がなく暖かでした。スキーもよく滑りました。
モエレ山では子供たちがソリ滑りを愉しんでいました。
写真1 ガラスのピラミッドの脇から見たモエレ山
多くの子供たちは,山裾の傾斜の緩いところでソリをしています。天辺から滑り降りると迫力満点です。
写真2 モエレ山とガラスのピラミッド
どんよりと曇った空です。左端にガラスのピラミッドが見えます。
写真3 水郷東大橋から見た札幌西部の山々
右端の遠くの鉄塔の向こうに手稲山が見えます。左端が藻岩山です。
冬は,三角点通を北へ行った豊畑のバス停の先の信号が公園の唯一の入口です。モエレ沼を渡る手前にやや広い駐車スペースがあり,水郷東大橋を渡った先の左手にもう一つ駐車場があり,さらにその先に,ガラスのピラミッドに連絡している駐車場があります。
今日もモエレ沼公園へ ― 2018/01/12 15:13
本の紹介:ミュオグラフィ ― 2018/01/15 21:16
田中宏幸・大城道則,ミュオグラフィ ピラミッドの謎を解く21世紀の鍵.2017年9月,丸善出版.
ユニークで面白い本です.
高エネルギー地球物理学の田中氏と古代エジプト史の大城道則氏の共著です.
第1部ピラミッドは,大城氏が書いています.最近のピラミッドやミイラについての研究の成果が詳しく述べられています.写真や絵が載っているので理解しやすいです.
第2部ミュオグラフィでは,ミュオグラフィの原理・測定方法から最近の成果まで詳しく述べられています.
強く興味を引かれたのは,三浦半島,房総半島,伊豆半島で行った既存トンネルでのミュオグラフィの成果です.三浦半島中部ではミュオグラフィによって,広域的にトンネル上部の地盤の密度が得られていて地質分布とよい一致を示しています(Tanaka,H K.M.,2015 のFigure 10:この論文はウェブサイトからダウンロードできます).
ミュオグラフィは,様々な対象に適用されつつあります.この本に紹介されているのは次のような分野です.
火山;日本,イタリア
鉱床:カナダ
遺跡:ギザの三大ピラミッド,メキシコのテオティワカンのピラミッド群
地下空洞(鍾乳洞):ハンガリー
氷河の基盤岩:スイス・アイガー氷河
二酸化炭素地下貯留効果判定:イギリス,アメリカ
高炉内部観測:日本(旧新日鉄)
電気炉内部観測:日本(カーバイド合成炉)
原子炉:日本(福島第一原子力発電所 2号機,5号機)
放射性廃棄物サイロ:イギリス・イタリア
火星の洞窟観測:ローバーを洞窟近くの谷に降ろして観測する.
火星のビンゴ様地形・火星の火山の観測
火星の惑星フォボスの観測:フォボスの密度は異常に小さい.その秘密の解明.
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以下,感想です.
応用地質分野では,川崎地質(株)の鈴木敬一氏が「ミュー粒子による物理探査の可能性」(物理探査,2012,第65巻,第4号,251-259)で,ミュオグラフィの成果と今後の可能性を述べています.ミュオグラフィで三次元トモグラフィ解析を行った大谷石採石場跡地での例を紹介しています.
この本では,ボーリング孔内に挿入できる円筒形のミュオグラフィ観測装置が紹介されています.二酸化炭素回収貯留の観測用にイギリスやアメリカで開発されたものです.
大深度地下での観測により,その上部の地盤の密度の違いを検出できるというのは非常に魅力的な探査方法です.弾性波速度や比抵抗といった物理量とは違った活用の仕方ができると思います.土木地質分野での利用が進むことが期待されます.
滝野すずらん丘陵公園 ― 2018/01/16 14:21
2018年1月14日(日),滝野へクロスカントリースキーをしに行きました.
この日は暖かく,風もありませんでした.ちょっと疲れていたので,渓流口を入ってすぐの駐車場に車を止めて,川沿いの5kmのコースを歩きました.
風はなく暖かで,お昼前の気温はマイナス0.9度でした.この日は渓流沿いの「せせらぎコース」で障害者の歩くスキー大会が開かれていました.
写真1 滝野公園渓流口
ここに温度計があります.スキーのワックスは,ベースワックスしか塗っていないので,あまり関係ありませんが,スキーが滑るかどうかの目安にはなります.
まず,入ってすぐの橋の下でスキーを履き,厚別川沿いの道を遡ってアシリベツの滝へ行きました.何人かの人に会いましたが静かでした.
入口の橋の下に戻って,今度は厚別川を下って鱒見の滝を見に行きました.こちらは,歩くスキー大会の最後尾の人と大会運営の人に会っただけで,ほかには誰にも会いませんでした.
このコースは川沿いですので緩やかで,初心者が歩くスキーをするには絶好の場所です.ただし,厚別川本流も鱒見の沢も支笏火砕流を削って流れていて,谷は30~40mと深く日がほとんど射しません.見晴らしも効かないので,あまり楽しくありません.
写真2 アシリベツの滝に向かうコース
この付近は日が当たって気持ちよく滑れます.非常に緩い登りですので,それほど苦労しないで歩けます.
写真3 アシリベツの滝
部分的にしか凍っていません.氷瀑登りは出来そうにありません.左から小さな沢が流れ込んでいます.
写真4 鱒見の滝
東北東に流れる厚別川に,南から合流する鱒見の沢にある滝です.約4万年前に噴火した支笏火砕流の溶結部がつくった崖を流れ落ちる滝です.同じような地質条件にある滝としては,白老町・別々川のインクラの滝,同じく白老川の白老滝などがあります.