憲法九条2018/03/23 20:40

日本国憲法

第二章 戦争の放棄

第九条 【戦争の放棄、軍備及び交戦権の否認】 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。

② 前項の目的を達成するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。

第九条の二 前条の規定は、我が国の平和と独立を守り、国及び国民の安全を保つために必要な自衛の措置をとることを妨げず、そのための実力組織として、法律の定めるところにより、内閣の首長たる内閣総理大臣を最高の指揮監督者とする自衛隊を保持する。

② 自衛隊の行動は、法律の定めるところにより。国会の承認その他の統制に服する。


自民党の憲法改正推進本部の執行部が有力と考える案として、2018年3月23日の朝日新聞は上の「第九条の二」のような文章を載せました。


この文章、日本語としておかしい。主語は「前条の規定は」ですから、「・・自衛の措置を取ることを妨げない。」で一度、文章を切る必要があります。そうすれば、「・・自衛隊を保持する。」のは国でしょうから、後段の文章に主語が無くても意味は通じます。


「妨げず、そのための・・」の部分は、「実力組織として自衛隊を保持する」ということなのですが、間に幾つも言葉が入っていて分かりにくい文章となっています。

今、憲法を変えるべきと考える人たちの中には、今の憲法の表現が分かりにくいという人がいます。しかし、この自民党案は、いかにも法律の専門家が書いたものという雰囲気が漂っています。


国の基本的姿勢を示す文章としては、品格がないというか情けない感じがします。


そして、もう一つの大物は、自民党改憲案で新設されている「第九章 緊急事態」です。

朝日新聞では、「大規模災害時に政府に権限を集中したり、国会議員の任期特例を書き込んだりする緊急事態条項」となっています。

しかし、自民党の改憲案には、「・・我が国に対する外部からの武力攻撃、内乱等による社会秩序の混乱、地震等による大規模な自然災害その他の法律で定める緊急事態・・」となっています。つまり、主眼は外部からの武力攻撃であり社会秩序の混乱なのです。

現在の災害救助法では第七条で知事などが従事命令や協力命令ができるようになっています。そして、災害救助法では災害時に、ある程度強制的に施設を使用したり物資を保管したりすることができることになっています。


緊急事態が閣議決定され宣言されると、政令が法律と同等の効力を発揮し総理大臣は金を使い放題にできることになっています。これらは国会に事後報告すれば良いのです。つまり、政府が何でも出来るのが非常事態宣言です。

国民は、国などの指示に従わなければならないとしています。


自民党の改憲草案では、「第十九条、第二十一条その他の基本的人権に関する規定は、最大限に尊重されなければならない。」としています。

しかし、現憲法では、「第十九条【思想及び良心の自由】思想及び良心の自由は、これを侵してはならない。」となっていますが、自民党の改憲案では「第十九条 思想及び良心の自由は、保障する。」です。つまり、「保障することを最大限尊重する」と言うことです。思想・良心の自由はいくらでも制限できるでしょう。


偽の情報を流して得た多数の議席で憲法改悪をすることは、到底許されないと思います。


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