本の紹介:地方創生の正体2017/09/07 15:39


地方創生の正体
山下祐介・金井利之,地方創生の正体—なぜ地域政策は失敗するのか。ちくま新書,2015年10月。

 地方創生,国家戦略特区(国家戦略特別区域)など,最近の政治が何を目指しているのかが分からないものが多すぎる気がします。印象としては,本当は一部の人たちの利益のための政策を,その目的を隠して受けの良い言葉で国民を騙しているという感じです。加計学園の問題は,図らずも露骨にその狙いが明らかになってしまった例だと思います。
 ちょっと古いですが,今でも考える材料を与えてくれる本です。

 著者達の問題意識は,
 「そこに,2014年秋から全国的に『人口減少』→『地方消滅(自治体消滅)』→『地方創生』という唐突かつ周到に仕組まれた国の政策が展開することになる。ここでも『震災復興』と同様に,一見すると,地域社会をよくしようという『善意』が前面に立ちながらも,『選択と集中』という言説に象徴されるように,結果として国による政策がそれぞの地域社会で奮闘する人たちの活動を妨げ,地域社会における市民生活の維持をかえって困難にさせようとしている。」(本書008頁)
 ということです。

 「こうした事態に直面して,金井も山下も,もう一段深いところで地域社会の統治機構を読み解いていかなければならないという問題意識を共有し,本書が企画された。」(同009頁)

 政府が進める「地方創生」にどう対応するのがよいのか,から始まり,自治体は誰のためにあるのか,統治技術としての科学など様々な議論がされています。

 具体的事例が示されていると,もっと理解しやすいのだろうと思います。


コメント

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。

名前:
メールアドレス:
URL:
コメント:

トラックバック

このエントリのトラックバックURL: http://geocivil.asablo.jp/blog/2017/09/07/8672219/tb

※なお、送られたトラックバックはブログの管理者が確認するまで公開されません。