本の紹介:活断層地震はどこまで予測できるか2017/01/06 10:34


活断層はどこまで予測できるか
遠田晋次,活断層地震はどこまで予測できるか 日本列島で今起きていること.2016年12月,ブルーバックス,講談社.

 最新の研究成果を盛り込んだ「活断層地震」(内陸地殻内地震:内陸地震)についての本です.21016年4月に発生した熊本地震の調査・解析結果についても,かなり詳しく述べられています.

 まず,地震の定義と地震の種類,地震と断層の関係について述べています.
 「地震とは,数十年から数万年という長期間にわたって地殻内に蓄えられた歪みが,断層という弱い部分から数秒〜数十秒間に一気に地面の揺れ(地震波)として解放される現象をいいます.」
 地震と断層の基本的な事柄について述べています.1923(大正12)年から2016年までのM6.5以上の37個の内陸地震の一覧表が示されています.このうち地震断層が確認されているのは15箇(約40%)です.
 地震断層で見られる局所的な地面の盛り上がり(モールトラック:モグラの通り道)や裂け目(フィジャー)の沈降などが写真で紹介されています.

 以下,興味深い内容について列挙します.

 起震断層と5キロメートルルール,2014年4月の長野県北部の神城断層が動いた地震,内陸地震の発生確率と地震動の超過確率,活断層をあらかじめ避けることは可能か−断層変位ハザード,平成28年熊本地震はどのような地震だったのか,別府湾を含む別府−島原地溝帯がなぜ開いているのか.遅れ破壊型の連動型巨大内陸地震としての天正地震あるいは慶長伏見地震,断層システムの成熟度,J-SHIS地震ハザードステーション,など.

 内容は幅広く,具体例を示して述べられているので,分かりやすいです.活断層に興味のある多くの人に読んで欲しい本です.


モエレ山2017/01/06 20:35

 この冬初めてモエレ沼公園へ行きました.家から雪道を50分歩いて,膝下までの雪の中をモエレ山の頂上まで登り,下りはガラスのピラミッドを見ながら尻すべりで降りてきました.

 その後は,ガラスのピラミッドで昼寝.まだ冬休みなので小学生で賑やかでしたが,二階はほとんど人が来なくて,ぐっすり寝てしまいました.

 家に着いた頃には,日が暮れかかっていました.


モエレ山頂上から
写真1 モエレ山頂上から北東を見る
 当別町の伊達山(標高101m)の傾いた斜面が見えます.手前の三角の白い山は公園の中のプレイマウンテンです.


ガラスのピラミッド
写真2 ガラスのピラミッド
 2階にあるベンチから真上を見上げたものです.左端がてっぺんです.


モエレ山
写真3 南西から見たモエレ山
 標高は61.7mで三角点があります.道路の突き当たりに2本の街灯があり,その間にあるちょっと背の低いポールはGPSです.こちら側の斜面は,山を施工している最中に山体崩壊を起こしました.


今日のモエレ沼公園2017/01/13 16:48

 今日(2017年1月13日(金))の札幌の朝は快晴でした.昼頃から雪がモカモカと降り出しました.ほとんど視界が効かない状態でした.

 モエレ沼公園でクロスカントリーをしました.今年2回目です.気温は低く,スキーはよく滑りました.風もないので,変な吹溜りもなく,気持ちよく滑っていたのですが,後半に雪が降り出しました.


ガラスのピラミッド
写真1 雪の積もったガラスのピラミッド
 ピラミッドの中は薄暗くなっていました.2階で「だるまさんが転んだ」で遊んでいる子供たちがいました.


ガラスのピラミッド
写真2 ガラスのピラミッドの一番長い屋根
 真ん中の上が頂点です.左はエレベータです.


ガラスのピラミッド
写真3 モカモカ雪のガラスのピラミッド
 自動焦点が効かないと思い,無限大にしたのでガラスのピラミッドのてっぺんが収まっていません.


モエレ沼公園2017/01/25 17:42

 今日は風もなく穏やかな天気でした.昼飯を食べてからクロスカントリースキーにモエレ沼公園へ行ってきました.新雪がコースを覆っていて滑りやすかったですが,あまりスピードは出ませんでした.

 コースの途中で三脚を立てている人に写真を撮ってくれと言われて,モエレ山をバックに写真を撮ってあげました.中国・青島の大学の先生だそうで,イサム・ノグチの名前も知っていました.素晴らしい景色だと言って感激していました.

 モエレ沼公園は,イサム・ノグチが設計に関わったことで,日本人よりも海外の人によく知られている印象があります.


モエレ山の夕暮れ
写真1 モエレ山の夕暮れ
 中国・青島の先生が感激していた風景です.


テトラマウンド
写真2 テトラ・マウンド遠景
 中央の林の右にテトラ・マウンドがあります.


テトラマウンド
写真3 テトラ・マウンド
 夕日が射して,くっきりと見えます.


「トンネル技術者のための地盤調査と地山評価」発刊に伴う講習会(札幌会場)2017/01/26 11:31

 2017年1月24日(火)14時から16地40分まで,札幌市の北海道建設会館で表記講習会が開かれました.主催は災害科学研究所で,表記の本に関する全国で最初の講習会です.

 最初に災害科学研究所の理事長である松井 保氏(大阪大学名誉教授)が挨拶しました.
 災害科学研究所は,1934(昭和9)年の第一室戸台風で京阪神地方が大きな被害を受けたことを契機に,災害の防止・軽減に関する研究を行うことを目的として1937(章エア12)年に設立されました.現在,120人ほどの研究員を抱え,16の研究会が活動しています.
 その一つがトンネル調査研究会で,2001年,2009年に比抵抗高密度探査法の本を鹿島出版会から出しています.今回の本では,弾性波探査と電気探査など,幾つかの探査を組み合わせて精度を向上させる方法(複合探査)について述べています.地盤調査には限界・誤差があり複合探査によって確率論的な結論を出すことが必要ではないかと考えています.同時に,系統的な調査を行うこと,既存資料を蓄積し利用すること,トンネルに関しては切羽前方探査を発展させることが重要です.

 講習は,本の章立てに従って進められました.印象に残った内容を列挙します.

(1)弾性波探査のトモグラフィ解析では,理論走時が求められるので観測走時と大きく違わないことを確認する.また,弾性波の通り道を示す波線図が得られるので,弾性波がトンネル断面を通過しているかをチェックし弾性波速度の信頼性を確認する.
(2)弾性波探査と電気探査を行った場合,両者の値をマトリックス表示して地盤の性質を9つに分けることができる.
(3)トンネル施工中の探査では削孔検層を中心に,反射法弾性波探査を組み合わせて精度良く前方地質を把握することができる可能性がある.
(4)掘削が完了した区間で天端の挙動を計測すると切羽前方の弱線を予測できる.
(5)超長尺ボーリング(削孔長1,000m程度)によって,切羽のかなり前方の地質状況を把握できる.掘削方法も進歩している.
(6)ボアホール・スキャンに比べて廉価にできる工業用内視鏡による孔内観察は100mまで実施した例がある.
(7)山岳トンネルCIMを利用することで,切羽前方予測を行うことが可能であろう(予測型CIM).また,AIを利用することで前方探査の精度を上げることが考えられる.


松井保氏
写真1 講演する松井 保・災害科学研究所理事長(大阪大学名誉教授)

 午後の最初は,松井 保氏の特別講演「地盤の可視化技術とトンネル地山の事前評価」でした.
 地盤工学というのは,「群盲ゾウをなでる」のようなもので,様々な分野を総合しなければなりません.その一つの方法として「地盤の可視化」を考えました.トンネル調査・解析というのは地盤における「除荷問題」を解くことです.しかし,地盤についての十分な情報が得られないということも特徴です.そのために,地盤の可視化は不可欠と考えました.

 なお,多くの研究員を抱えて様々な分野の研究を行っている「災害科学研究所」については,以下のHPを見て下さい.
( http://csi.or.jp )
 鹿島出版会から発行されている同研究所の出版物は,アマゾンなどで「地盤の可視化」あるいは「トンネル技術者」で検索すると出てきます.