SAPPORO★テイネトレイル20212021/08/23 10:18

ロードでのランニング大会が、新型コロナの感染拡大により中止が相次ぐなか、トレイルランニングの大会は開催されています。

 

2021822日(日)にサッポロテイネスキー場とその周辺で開かれたこの大会は、33kmのロングコース、16kmのミドルコース、ロングコースとミドルコースを回る49kmのエキスパートコース、それにテイネオリンピア周辺を回る5kmのショートコースで行われました。

ミドルコースに出たかったのですが、練習していなかったので5kmコースにしました。

このコースは、テイネオリンピアの聖火台に向かって走り始め、林の中を通って戻ってくるという優しいコースでした。

ほとんどが小学生とその付き添いのお父さんのようで、小学生はスタートから猛然と飛び出してオリンピアの斜面を元気に登っていきました。

 

5kmのコース

図1 ショート約5kmのコース(TrailNoteによる)

 リストGPSの記録では距離は4.6kmです。このコースは手稲山大規模地すべり地の中にあります。急な登りは、ほとんどありません。

 

スタート前

写真1 スタート前の様子

10人1列に並び、2列ずつ、つまり20人ずつスタートします。前後は2mほど間隔を開けています。黄色い門をくぐってからUターンして聖火台を目指して斜面を登っていきます。スタートしてからマスクを外します。

正面左手の山は、1974年の札幌冬季オリンピックで男女回転コースの出発点になった838mの山です。

 

坂を登る

写真2 聖火台に向かって

正面の突き出しているのが聖火台です。緩い斜面ですが走って登るのは、かなりきついです。

 

白樺林

写真3 スタートから1km付近

ほとんど上り下りのない白樺林のなかを走ります。

 

ゴール目指して

写真4 3.5KM付近

目の下にゴールが見えます。ここから急坂を下り、最後に聖火台まで上りゴールへ下っていきます。

 

聖火台から

写真5 聖火台から石狩湾を望む

 



新版資本論2021/08/23 11:54

20199月から2ヶ月ごとに刊行されていた新版資本論(日本共産党中央委員会社会科学研究所 監修、新日本出版社)が、20217月発行の第12分冊で全巻そろいました。

12分冊の巻末には、総目次、人名索引、文献索引が付いています。

 

新版資本論全12冊

資本論全12分冊

 

隔月刊なので、なんとか2ヶ月で各分冊に目を通すことができました。とても理解したとは言えませんが、剰余価値が生み出され資本家の手に資本が蓄積していくのだと言うことは何とか理解できました。

この本には大量の注記があります。ここを読んでいると前に進むのが遅くなります。今回は、この部分は飛ばして読みました。

 

資本論全体を何とか読んでみたいという学生時代から気になっていたことが実現しました。人類の歴史のなかで資本主義社会が終着点でないことは明らかです。では次の社会はどんな社会になるのか。その指針を与えてくれる内容であることは間違いないでしょう。

 


シンポジウム 地すべり技術の現状と課題2021/08/30 15:38

2021824日、日本地すべり学会関東支部創立15周年記念シンポジウム「地すべり技術の現状と課題」が開かれました。オンラインで視聴しました。

  3名の講演と質疑応答がありました。

 

落合貴博氏(日本森林技術協会):最近の土砂災害と森林の機能について

 

2017(平成29)年7月九州北部豪雨災害が発生しました。朝倉市黒川地区では758時からの24時間雨量が829mmでした。佐田川支流の疣目(いぼめ)川上流で発生した崩壊の土砂は約1km下流まで達しました。

 

森林は、樹冠や林床被覆で降雨を受け止め、根茎で崩壊を抑制します。地表に達した降雨は不飽和帯を鉛直に移動しますが、飽和状態になると飽和側方流となり表層崩壊が発生します。

樹齢20年あるいは5-10年くらいの場合に、崩壊が多い傾向にあります。この程度の樹齢では、根茎の強度が小さく土を補強する効果が小さいためと考えられます。根茎は土の粘着成分を増加させる効果があります。根茎が地盤を補強する効果としては、杭のように剪断力で抵抗する効果とアンカーのように引張り力で対抗する効果とが考えられます。

ロックボルトとロープネットを用いる地山補強工法は、根茎と似た効果を発揮します。

 

2013(平成25)年の伊豆大島で発生した土石流の調査を行いました。崩壊源は深さ2mほどで溶岩層が露出し、その上に透水性が高く脆弱な火山灰と透水性の低い風成土(レス)が互層状に載っています。崩壊は風成土の上面で発生していました。ここで、ツバキ、ヤブニッケイ、ヒサカキの根茎調査を行いました。大型室内試験も行った結果、根茎の崩壊抑止効果は10-20%で、水平根の効果の方が大きいことが分かりました。

 

土屋 智氏(国土防災技術):九州北部豪雨に伴う斜面崩壊の発生場の特徴

 

2017(平成29)年7月の九州北部豪雨では、朝倉市の山間部での崩壊が多く、マサ土、泥質片岩、火山砕屑岩の地域で崩壊が発生しました。崩壊面積が2,000m2以下の小さい表層崩壊地が約60%を占めます。崩壊地の比高(H)に対する奥行き(L) 、L/H率は2.5以下が80%を占めていて、一般的な「崖崩れ」よりも多いです。

対象地域の面積に対する崩壊地面積の割合は16.5%で、崩壊の深さが平均1mとすると崩壊土砂量は約500m3となります。降雨強度が大きかったことが主な要因と考えられます。

今回の豪雨では、標高200-250mの地域で表層崩壊が多発しています。また、斜面勾配が20-25度のところで約45%の表層崩壊が発生しています。

 

檜垣大助氏(日本工営):地形情報を生かした斜面災害リスクへの対応

 

1847年の善光寺地震では地すべり移動土塊によって犀川(さいかわ)がせき止められ、その後決壊し洪水が発生しました。

青森県・南八甲田の赤倉岳東斜面の蔦川地すべりは、奥行きが7kmに達する巨大地すべりです。

*八甲田地域にはもう一つ赤倉岳がありますが、この赤倉岳は南側のものです。

 

地すべりの活動性を評価する方法としてAHP法があります。評価の要素としては、滑落崖の明瞭性、流動域の表面形状、地すべり地形の位置、開口・段差の位置、移動体末端の状況などがあります。さらに、地すべり移動体内の微地形の従順化を加えます。

地すべり移動体は、一度動いているので表流水が地下に浸透しやすくなっています。地形の開析度、重力的安定性、最近の活動履歴のほかに地質によるケース分けを行います。

 

尾根の遷急線より下の凹型斜面では、降水は地下に浸透し、下方のある地点で表流水となり沢ができます。この凹型斜面の沢地形のない凹地を0次谷と言います。二重山稜が発達する尾根では谷の発達が悪いです。これも降水が地下に浸透しやすいことが原因です。

 ヒマラヤでは、斜面の途中に遷急線が形成されていて、その下方で崩壊が発生しています。

 

阿蘇山では1990年、2001年、2021年に豪雨による崩壊が発生しています。火山灰地域での崩壊です。斜面での火山灰層の厚さは、火山灰等厚線図の値の1/4程度です。

地すべりは再活動するので住民との協働によるハザードマップの作成が有効と考えます。

近年豪雨が多発しています。遷急線の後退のような大規模な地形改変をもたらす斜面変動が発生する可能性があります。

 

この後、質疑応答に移りました。

表層崩壊抑制に対する樹木の根茎の効果、面積2,000平方メートルの表層崩壊には幾つかの小崩壊が含まれているのではないか、AIの利用による危険度評価など活発な議論が行われました。