本の紹介:過労死落語を知ってますか2018/12/10 14:54


過労死落語を知ってますか

桂 福車(ふくしゃ)・松井宏員(ひろかず),過労死落語を知ってますか.2018年11月,新日本出版社

表紙:落語「エンマの願い」の上演中に涙があふれ言葉に詰まる福車師匠


この本は,松井宏員氏の「過労死落語を知ってますか」,『桂福車の過労死落語「エンマの願い」』,桂 福車『落語を通じて伝えたい「過労死防止」の大切さ』の三つからなっています.


過労死の実際を落語で知ってもらおうと,落語作家の小林康二(やすじ)氏と故桂 福車氏が落語を作り演じるまでのことを中心に,「全国過労死を考える家族の会」の人たちの活動を交えて述べています.


一度,生で福車師匠の噺を聞いてみたかったなと思います.福車師匠は,2018年2月に56才で亡くなりました.この本では,松井氏が「桂福車さんを悼む」を書いています.


「あとがき」で小林康二氏は,『ヨーロッパには「自らの権利を放棄する者は,他人の権利を侵害する.」との格言があり,イタリアでは憲法35条で労働者に週の休息及び年次有給休暇を保障するだけでなく,「この権利は,放棄することができない」と定めている.』と書いています.


裏表紙

裏表紙:「全国過労死を考える家族の会」のメンバー


日本の労働環境は今,ますます悪化しつつあります.

2018年12月8日,「改正」出入国管理法が成立しました.信じられないような技能実習生に対する権利侵害の実態を隠したまま強行可決されたこの法律は,日本人労働者の権利侵害を助長させるでしょう.


しかし,「あきらめたら試合終了」(安田純平氏,2018.11.2)ですし,「正義は勝つ」のは子供でもよく知っています.