アポイ岳ジオパーク講演会2014/06/27 15:22

 2014年6月23日(月)午後6時半から,様似町立図書館の講堂で開かれました。講師は金沢大学の荒井章司氏と産総研の青木正博氏です。


会場入口のかんらん岩展示
写真1 会場入口に並べられたオマーンと幌満のかんらん岩
 中央は新井田清信さん(元北大准教授)で,幌満かんらん岩一筋に研究をしてきました。


 荒井氏のタイトルは「アポイ岳はオマーン・オフィオライトに勝てるのか?」です。結論は,両者とも優れたフィールドで「相補的」であると言うことでした。
 規模ではオマーンが圧倒的に大きいですが,岩石の新鮮さではアポイが勝っています。また,様々なかんらん岩が産出する点でもアポイに軍配が上がります。
 ほとんど植生の付いていないオマーンの大露頭とそこで見られるモホ面の化石であるかんらん岩とガブロ(はんれい岩)の境界の写真や日本では絶対に見ることができない枕状溶岩の大露頭など興味深い写真を見せてくれました。

 青木氏は「オマーンとジオツーリズム」と題して講演しました。ジオツーリズムの肝は,地質に興味を持って出かける人の心に触れるようなものとすることです。例えば,1980年に山体崩壊を起こしたセントヘレンズ山では,柵の中から山を見るだけという内容でした。自分で色々と考え疑問を持ち,その答えを見つけるという内容になっていなかったために失敗に終わっています。
 オマーンへは5年間で4回行っていますが,地質の全くの素人を含め,いろいろな分野の人と露頭の前で議論し納得すると言うことを大事にしています。青木氏の考える「ジオツアーを進化させる条件」は,1)ガイドが地形地質だけでなく歴史,生活との関連などに広く通じていること,2)関係者が協働して参加者の自由度を高める工夫をすること,3)ガイドが参加者のレベルに併せて対話する柔軟性を持つこと,4)ガイドと参加者の対話を通じて理解を深める工夫をすること,5)ガイドも参加者もいろいろな人がいることです。


左から荒井,青木,澤田の各氏
写真2 左から,荒井章司氏,青木正博氏,澤田結基氏(福山市立大学)
 ちょっと写真がぼけていますが,講演のあとで澤田氏が紹介されました。会場は100人ほど入る階段式の講堂です。席は7割ほど埋まっていました。


 講演会の参加者は,地元の人がほとんどのように見えました。講演後は,かなり鋭い質問が飛びました。人口5,000人ちょっとの町で,月曜日の夜にこれだけの人が集まったのに,ビックリしました。それと,若い人が多いのにも感心しました。札幌でこの手の講演会だと,ほとんどが熟年以上です。

 世界ジオパークネットワークへの加盟に向けて,頑張って欲しいと思いました。