本の紹介:図説 堆積構造の世界2022/09/12 08:18

堆積構造の世界

 日本堆積学会監修・伊藤 慎 総編集、

フィールドマニュアル 図説 堆積構造の世界。朝倉書店、20227月。

 

 層理と葉理の区分、知っていましたか? 

 層厚が1cm以下の堆積構造が葉理で、1cm以上が層理という区分があります。堆積物の粒度階区分と一緒に最初の付表のページに出てきます。

 

 目次は以下のとおりです。

 

 第1章 堆積構造の基礎

 第2章 砕屑性堆積物の堆積構造

 第3章 生物(化学)源堆積物の堆積構造

 第4章 火山性砕屑物の堆積構造

 第5章 生痕化石

 第6章 堆積相解析

 文献

 索引(項目)

 索引(地層、堆積物)

 

 この目次を見て分かるとおり、堆積構造のでき方の基本事項を述べたあと、ほとんどの堆積物構造について露頭写真と説明文で示しています。生物(化学)源堆積物や生痕化石は、あまりなじみがないですが、堆積環境を知る上では重要な指標になります。

 なんと言っても、堆積構造を示す写真がカラーなのは、堆積構造を具体的に理解するのを大いに助けてくれます。

 

 風成堆積物の項目がないのがちょっと残念です。砕屑性堆積物の一方向流で形成された堆積構造に含まれるのでしょうが、津波堆積物、トラバーチンやトゥファ(淡水性炭酸塩堆積物)が入っているので一項設けて欲しかったと思いました。

 年縞堆積物についても記述がありません。年縞は流れのない環境で1年ごとに縞模様ができる堆積構造です。

 

 ざっと全体に目を通しただけですが、誤植が多少あります。例えば、21ページ図1Aの写真の「正逆化」などです。

 

 「フィールドマニュアル」と銘打っているように、露頭で出会った不思議な構造が何かを調べるのにも役に立つ非常に優れた本だと思います。

 

 



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