丹沢山地 塔ノ岳 ― 2015/05/15 15:15
丹沢山地は1,500m級の山々からなる。最も高いのは蛭ヶ岳で,標高1,673mである。丹沢山地の一番南東にあるのが塔ノ岳で標高は1,500mに少し足りない。
登山道は秦野市大倉から大倉尾根をたどるコースが最も一般的であるようだ。登山口である大倉バス停の標高は,約300mである。小田急の渋沢駅からバスに乗って約15分で大倉に着く。1時間に2本くらいの割合でバスが出ている。
大倉には,神奈川県立秦野戸川公園があり,川遊びや自然観察ができる。公園の中を流れる川の名前は,水無川である。戸川というのは,水無川左岸(東岸)の地名で,公園のパークセンターやビジターセンターのある右岸は,堀山下である。
ヤビツ峠からのコースは,約700mの登山口からアップダウンを繰り返しながら登っていく。登山口の標高は高いが,アップダウンの繰り返しがあるので,きつそうである。
ただし,このコースだと,東(上位)から丹沢層群の唐沢層,本谷層,四十八瀬川層が露出している。
今回はバスの便が良い,大倉口からの往復とした。
2015年4月30日(木),この日は曇りで,暑くもなく寒くもない絶好の登山日和である。麓は,まさに燃えるような新緑がまぶしいくらいである。案内板に沿って舗装道路をしばらく行くと克重陶房の窯があり,石を敷き詰めた登山道に入っていく。
写真1 登山道入口?
登山届は,大倉バス停のビジターセンターの前で出すことができる。
右の道は上大倉の集落へ通じていて行き止まりである。左の道をさらに登っていくと克重陶房があり石を敷き詰めた道に入っていく。
写真2 克重陶房の窯
数日前に焼いて,現在,冷ましているところだそうだ。
写真3 山のトイレ
いわゆる「バイオトイレ」で清潔である。手前に立つ緑の箱はチップ箱で,100円を入れた。
杉林の斜面を登っていくと,大観望との別れになる。大観望からが大倉尾根上の道となる。眺望のきく「大倉山の家」が最後の水場で,たっぷりの水が流れている。
写真4 杉林を抜けて尾根に出る
ようやく杉林を抜けて大倉尾根に出る。この先に大観望がある。新緑が鮮やかである。
写真5 大倉高原山の家からの眺め
秦野,小田原,真鶴岬が見える。
しばらく登ると「駒止の茶屋」がある。標高は約900mである。「堀山の家」を過ぎ,「花立山荘」まで来ると眺めがよくなる。標高は約1,300mである。
階段,階段また階段でペースは上がらない。自分の歩幅で歩けないのがつらい。 この付近では,まだ木々の葉は茂っていなくて山桜が満開である。
しばらく行くと,鍋割山からの登山道と合流する。あとは,頂上を目指して登っていく。
写真6 階段,階段,また階段
階段をひたすら上る,振り返るとどこまでも続く階段。
写真7 こんな楽しいところも
やせ尾根の上の平坦な道。
写真8 露頭あり
露頭があると足を止めてしまう。
大倉尾根周辺は,丹沢層群蛭ヶ岳亜層群の四十八瀬川層(しじゅうはっせがわ・そう)と呼ばれる前〜中期中新世の地層で,玄武岩・安山岩の溶岩および火砕岩で構成されている。この地層は塔ノ岳,丹沢山,蛭ヶ岳と丹沢の主山稜を形成している。
写真9 安山岩か
見た目ではガラス質の安山岩である。
写真10 花立山荘手前の露頭
この付近から山頂にかけては,玄武岩の分布域のようである。
トレイルランニングの出で立ちなので,ハンマーもルーペも持ってきていない。途中を楽しみながら,無事往復するだけ。
写真11 花立山荘のヤマザクラ
木々の芽はまだ十分に出ていない。マツの間でピンクが印象的である。
頂上はかなり広く,水曜日であるが,大勢の人が眺望を楽しんでいる。
あいにく富士山は雲に隠れて北側のすそ野が少し見えるだけであるが,南に真鶴岬から江の島までの海岸が見える。東には三ノ塔と大山が見える。北は丹沢山から蛭ヶ岳までの山々が連なっている。
写真12 塔ノ岳の頂上にて
雲が多く,富士山は足下が見えるだけであったが,眺めはさすがに素晴らしい。
塔ノ岳山頂の石は,多分,玄武岩。
頂上から眺めていると,丹沢山地の山容は何となく違和感がある。
つまり,山体が丸みを帯びているのである。そのくせ,斜面は急峻で,至るところに崩壊が見られる。地すべりも多く,特に丹沢山から北東に延びる尾根の東側にある地すべりは巨大である。
地形全体の特徴は,丹沢山地主稜の南東側から流れ出る玄倉川に向いた斜面は急峻であるが,その反対側はややなだらかな地形を呈している。
写真13 丹沢山と蛭ヶ岳
正面のなだらかな山体が丹沢山,その左の高い山頂が蛭ヶ岳である。いずれも,なだらかな山体である。丹沢山の南西斜面は崩壊が著しい。
大倉登山口から大観望を経てここまで,約2時間45分であった。今回は,トレイルランニングのスタイルであるが,ほとんど走らないで歩いてきた。荷物は2リットルの水と菓子バン2個,それに飴という軽いスタイルで登ってきた。
登山道としては整備されているが,階段が多くトレイルランニングのコースとしては,あまり楽しいコースではない。
帰りは,足に異常が出ないように,用心しながら下る。約2時間で登山口に戻った。
6月7日には丹沢ボッカ駅伝競走が,秦野戸川公園スタート,花立山の家ゴールで行われるそうである。40㎏~10㎏の袋に詰めた小石を背負って,1チーム4人でゴールを目指すというレースである。ボッカと言うのは,「歩荷」のことで山へ荷物をあげる人たちのことである。
私の母親の実家は,昔の津久井町青野原である。今は,相模原市緑区になっている。高校生の頃,塔ノ岳,丹沢山,蛭ヶ岳を経て焼山から青野原へ抜けたことがある。丹沢山で1泊した。この頃,ポッカと言う言葉を聞いたような気がする。
懐かしい登山となった。
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