神奈川県大山の東麓 日向山から見城へ2015/05/14 13:28

 神奈川県西部の大山から東に延びる尾根筋には,いくつかの登山道がある。
 相模川支流の玉川の,さらに支流に日向川(ひなた・がわ)がある。この日向川からも,大山への登山道がいくつか通じている。日向川の支沢の奥に,国の重要文化財となっている日向薬師がある。


写真1 玉川から見た大山
 中央左の三角の山が大山である。東から見ると,この形が特徴的である。中央手前の二つの山の左が日向山(ひなた・さん),右が見城(みじょう)である。
 大山の東斜面を源とする日向川は,ほぼ東に流れ下って玉川に合流する。 

 日向薬師から日向川の北の広沢寺(こうたくじ)のある沢(多分,七沢川)まで,日向山(標高404m),見城(標高375m)を経て抜ける道がある。
 この日(4月27日(月))は,厚木市の愛甲郵便局前から玉川沿いに歩き始めて,日向薬師を見物し,広沢寺へ出て七沢川を下り,愛甲郵便局前へ戻るというコースを歩いた。約4時間20分である。

 この季節の関東地方は,暑くもなく寒くもなく湿気もなく最高の気候である。一応,トレイルランニングの出で立ちなので,登山用の帽子では格好が悪いと思いタオルで頭を覆った。これは意外と良い。

 玉川は小野橋付近から下流は直線化されていて堤防道路がある。堤防道路は木がなく,暑さが厳しくなると歩くのもつらい。

 宮ヶ瀬と伊勢原の分岐を左に折れる。この辺で上に着ていたカッパを脱いで,短パンTシャツの姿になる。天気は上々,汗もそれほどかかない。日向川沿いに上っていく。ヤエザクラが満開である。


写真2 日向付近のヤエザクラ
 緑が目にまぶしい。ヤエザクラは満開である。


写真3 日向薬師バス停
 路線バスの終点である。この先を右に折れて日向薬師に向かう。

 日向薬師のバス停の先に「多自然川づくり」の看板がある。この写真を見る限り「どうなのかな」と思ってしまう。整備する前の状態の方がずっと多自然のような気がする。
 このまま日向川沿いに進めば,前回大山に登った時に下山した登山道の入り口に行きつく。


多自然川づくり
写真4 伊勢原市の多自然川づくり事業
 看板写真の上が整備前で,下が整備後である。もう少し時が経てば変わった風景になるかもしれない。

 歩き始めて1時間40分ほどで日向薬師に着く。ゴールデンウィーク前の月曜日とあって,さすがに人は,まばらである。
 現在,国の重要文化財である薬師堂(本堂)は改修工事中である。
 (http://hinatayakushi.com)


写真5 日向薬師の宝物殿
 右に見えるシートが改修中の本堂である。

 ここから登山道に入る。しばらく行くと登山道の全面が露頭になっている。礫岩,砂岩,シルト岩の互層である。火山灰質である。
 ジグザグを繰り返して尾根に出る。大山山頂から尾根伝いにくる道が合流する。日向山の山頂には弁天様の石祠がある。1788(天明八)年の銘があるという。水源保安林なので,山頂付近も木は切られていない。見晴らしは望めない。


写真6 日向山へ向かう登山道に露出している酸性凝灰岩


写真7 酸性凝灰岩の顔つき
 淡緑色の酸性凝灰岩である。中期中新世丹沢層群大山亜層群と呼ばれる地層の一部である。玉川上流から宮ヶ瀬ダムに抜ける谷筋に沿って北東に凸の弓なりの斷層があり,この斷層の西側に大山亜層群や煤ヶ谷亜層群と呼ばれる丹沢層群が分布している。これらの地層は,主にデイサイト質である。


写真8 日向山山頂の弁天様

 尾根伝いに一度下って見城へと向かう。
 地理院地図には日向山から見城への道は描かれていないが,歩きやすい尾根道がついている。
 見城は15世紀に築城された七沢城の背後にあり,常に物見の兵がいたと伝えられている。ここからは,七沢森林公園の橋がはっきりと見える。やはり,水源保安林となっているため,頂上付近の木は,ほとんど伐られていないため眺めはあまりよくない。


写真9 尾根に残された大石
 この付近は,かなり硬質な酸性凝灰岩でできているのかもしれない。狭い尾根の上なので,転石ではなく「風化残留核」と思われる。


写真10 見城山頂
 少し息が上がってきたが,それほど汗もかかず気持ちの良い気候である。


写真11 見城から東を望む
 対岸は七沢森林公園である。この谷を北西−南東方向の断層がとおっている。中央のビルは七沢リハビリテーション病院で,この付近に15世紀に造られた七沢城があったとされている。

 見城からは一気に下る。この付近の地質は流紋岩質の火山角礫岩が主体である。広沢寺ヘと下る道の途中にフェンスと扉がある。獣の侵入を防ぐためのもので,扉を開けて舗装道路へ出ていく。


写真12 廣澤寺
 見城からの途中で垣間見られる廣澤禅寺。


写真13 登山道の途中にある電気柵
 扉にはカギはなく,自由に出入りできる。


写真14 愛宕社
 登山道を降りたところに1532年に創建された愛宕社がある。神仏混淆時代の名残をとどめている。

 ここからは,舗装された道路のひたすら歩く。七沢森林公園入口近くに厚木の地酒である升盛の醸造所があり日本酒,ビール,サイダーを売っていたのでそれぞれ1本ずつ買った。背負っていた飲料水が少なくなっていたので,それほど荷物が増えた感じではない。

 午後3時には愛甲郵便局前に着いた。バスを利用しないでの4時間20分の行程であった。



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