紹介:素粒子で地球を視る 高エネルギー地球科学入門 ― 2014/05/29 14:31

田中宏幸・竹内 薫,素粒子で地球を視る。2014年5月,東京大学出版会。
1936年に「透過力の強い素粒子」であるミュオン(μ中間子)が発見され,鉱山やピラミッドの内部でミュオグラフィ観測が行われてきました(本書,はじめに ip )。
ミュオグラフィ観測というのは,X線や弾性波などに比べて透過力が非常に高いミュオンを使って巨大物体の透過画像(ミュオグラフィ)を得る観測のことです。
日本でも,2006年には,活火山である浅間山の浅部構造がミュオグラフィ観測によって明らかにされました。2007年には昭和新山のミュオグラフィ観測による透過画像が得られ,ドーム下のマグマの通路は冷え固まったマグマで満たされていることが分かりました(本書,128−133)。
さらに,フォッサマグナのミュオグラフィ観測により,断層破砕帯の密度は周囲より20%低いこと,降雨後に断層破砕帯の密度が上昇し,その後,低下していく様子が捉えられました。
また,地すべりの地下水位のモニタリングへの適用が始まっているそうです。
目次は次のようになっています。
2章が素粒子についての解説です。私は,全く歯が立ちませんでした。ここが理解できないと3章も理解できません。
はじめに
1 ミュオンとピラミッド
2 素粒子の生いたちとその性質
3 地球圏の超高エネルギー現象
4 地球を透かす素粒子
5 素粒子で地球を観測する
おわりに
300mを越える土被りのトンネル調査では,弾性波探査は精度が極端に落ちます。弾性波がトンネル断面に届かないからです。例えば,長野県の伊那谷と木曽谷を結ぶ国道361号権兵衛トンネルは,最大土被りが約670mあります。このような大土被りトンネルでは,弾性波探査の精度は大きく低下し,トンネル断面付近の地山状態を把握することが難しくなります。
すでに,地すべり調査への応用が行われているこの探査法への期待は大きいものがあります。
この本は,「高エネルギー地球科学への入門書ですが,高校生から大学院生までの幅広い読者層を想定しており,不親切にならないよう,関連する理論的な背景もきちんと解説しています.」(本書,はじめにii)と言う姿勢で書かれています。演習問題もあり,高エネルギー地球科学の優れた解説書となっています。
1936年に「透過力の強い素粒子」であるミュオン(μ中間子)が発見され,鉱山やピラミッドの内部でミュオグラフィ観測が行われてきました(本書,はじめに ip )。
ミュオグラフィ観測というのは,X線や弾性波などに比べて透過力が非常に高いミュオンを使って巨大物体の透過画像(ミュオグラフィ)を得る観測のことです。
日本でも,2006年には,活火山である浅間山の浅部構造がミュオグラフィ観測によって明らかにされました。2007年には昭和新山のミュオグラフィ観測による透過画像が得られ,ドーム下のマグマの通路は冷え固まったマグマで満たされていることが分かりました(本書,128−133)。
さらに,フォッサマグナのミュオグラフィ観測により,断層破砕帯の密度は周囲より20%低いこと,降雨後に断層破砕帯の密度が上昇し,その後,低下していく様子が捉えられました。
また,地すべりの地下水位のモニタリングへの適用が始まっているそうです。
目次は次のようになっています。
2章が素粒子についての解説です。私は,全く歯が立ちませんでした。ここが理解できないと3章も理解できません。
はじめに
1 ミュオンとピラミッド
2 素粒子の生いたちとその性質
3 地球圏の超高エネルギー現象
4 地球を透かす素粒子
5 素粒子で地球を観測する
おわりに
300mを越える土被りのトンネル調査では,弾性波探査は精度が極端に落ちます。弾性波がトンネル断面に届かないからです。例えば,長野県の伊那谷と木曽谷を結ぶ国道361号権兵衛トンネルは,最大土被りが約670mあります。このような大土被りトンネルでは,弾性波探査の精度は大きく低下し,トンネル断面付近の地山状態を把握することが難しくなります。
すでに,地すべり調査への応用が行われているこの探査法への期待は大きいものがあります。
この本は,「高エネルギー地球科学への入門書ですが,高校生から大学院生までの幅広い読者層を想定しており,不親切にならないよう,関連する理論的な背景もきちんと解説しています.」(本書,はじめにii)と言う姿勢で書かれています。演習問題もあり,高エネルギー地球科学の優れた解説書となっています。
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