礼文島 ― 2009/03/11 21:17

礼文島
「花の島 礼文島」.稚内からフェリーで2時間.現在の運賃は片道2,400円.
稚内港の乗り場が,ドーム状の防波堤のある北埠頭から中央埠頭に移り空港のようになった.利尻島,礼文島へのフェリーのほかに,反対側にコルサクフ行きの国際フェリーターミナルが出来た.
昔は切符を買って乗船名簿を書いて,乗る時の切符を切ってもらい乗船名簿を渡していたが今は自動改札になった.
稚内港を出ると右手にノシャップ岬の段丘を見ながら外海に出る.岬を回る辺りから大きく揺れるようになる.あとは一目散に礼文島に向かう.利尻島はどこから,いつ見ても見飽きない山容をしている.礼文島は海にへばりつくように海の彼方に見えてくる.
フェリーが着くのは島の南側の香深港である.香深港に入る前の利尻岳の姿はいつ見てもいい.港の背後の山は,標高はそれほどでもないが海に向かって落ち込むような斜面をしている.役場やホテルは海岸にへばりつくように建っている.
この日は快晴で利尻岳には雲一つかかっていない.夕日に照らされた利尻岳を見ながら宿に向かう.今は,島にレンタカーがあるが昔は稚内で借りてフェリーで運ばなければならなかった.
昔の礼文島は若者の天国だった.フェリーが着くたびに民宿のワゴン車が港で待ちかまえていて,旅行者はそれぞれの宿に散っていく.フェリーが出る時はそれこそ五色のテープが舞ってにぎやかなものだった.仕事できている人間は何となく侘びしい気持ちにさせられた.
着いた日と翌日は風もなく快晴で暖かく天国のような気候である.こういう天気はめったになく仕事もはかどった.
しかし,その日のうちに早々と明日は全便欠航という話が伝わってきた.天気図を見ると低気圧が南北に二つ並んでやってきている.今年の気圧配置の特徴であるが,太平洋上に高気圧が頑張っていて南を通過するはずの低気圧が北に上がってくる.
その日の夜半から風が強くなり出した.最初はみぞれ模様であったが大して降らず,風がだんだん強まっていく.夜半過ぎから宿の建物が風で揺れだした.突風が当たると揺れるというのを一晩中繰り返していた.夜が明けても風はやまない.時々雪が舞うが大したことはない.ひたすら風が吹く.外に出るのが怖いくらいの風である.
次の晩も風が吹き続けて,朝に少し風は弱まったがフェリーは欠航である.昼前から再び風が強くなり,海は白波で一杯になる.この日は天気が良く島の西海岸の元地に通じる道路を歩いて桃岩展望台に行こうとしたが風が強くて諦めた.
結局,二日間,島に閉じこめられて三日後に稚内に渡ることが出来た.礼文に関わって長いが,完全に二日間閉じこめられたのは初めてである.最も,十日間閉じこめられたという話を聞いたことがあるので,まだ幸運な方である.
花の季節もいいが,秋の礼文島は西海岸の夕焼けがきれいだし,西から雪雲が迫ってくるのを見るのもいい.それぞれの季節にそれぞれの良さがある.
【END】
礼文島の項おしまい
「花の島 礼文島」.稚内からフェリーで2時間.現在の運賃は片道2,400円.
稚内港の乗り場が,ドーム状の防波堤のある北埠頭から中央埠頭に移り空港のようになった.利尻島,礼文島へのフェリーのほかに,反対側にコルサクフ行きの国際フェリーターミナルが出来た.
昔は切符を買って乗船名簿を書いて,乗る時の切符を切ってもらい乗船名簿を渡していたが今は自動改札になった.
稚内港を出ると右手にノシャップ岬の段丘を見ながら外海に出る.岬を回る辺りから大きく揺れるようになる.あとは一目散に礼文島に向かう.利尻島はどこから,いつ見ても見飽きない山容をしている.礼文島は海にへばりつくように海の彼方に見えてくる.
フェリーが着くのは島の南側の香深港である.香深港に入る前の利尻岳の姿はいつ見てもいい.港の背後の山は,標高はそれほどでもないが海に向かって落ち込むような斜面をしている.役場やホテルは海岸にへばりつくように建っている.
この日は快晴で利尻岳には雲一つかかっていない.夕日に照らされた利尻岳を見ながら宿に向かう.今は,島にレンタカーがあるが昔は稚内で借りてフェリーで運ばなければならなかった.
昔の礼文島は若者の天国だった.フェリーが着くたびに民宿のワゴン車が港で待ちかまえていて,旅行者はそれぞれの宿に散っていく.フェリーが出る時はそれこそ五色のテープが舞ってにぎやかなものだった.仕事できている人間は何となく侘びしい気持ちにさせられた.
着いた日と翌日は風もなく快晴で暖かく天国のような気候である.こういう天気はめったになく仕事もはかどった.
しかし,その日のうちに早々と明日は全便欠航という話が伝わってきた.天気図を見ると低気圧が南北に二つ並んでやってきている.今年の気圧配置の特徴であるが,太平洋上に高気圧が頑張っていて南を通過するはずの低気圧が北に上がってくる.
その日の夜半から風が強くなり出した.最初はみぞれ模様であったが大して降らず,風がだんだん強まっていく.夜半過ぎから宿の建物が風で揺れだした.突風が当たると揺れるというのを一晩中繰り返していた.夜が明けても風はやまない.時々雪が舞うが大したことはない.ひたすら風が吹く.外に出るのが怖いくらいの風である.
次の晩も風が吹き続けて,朝に少し風は弱まったがフェリーは欠航である.昼前から再び風が強くなり,海は白波で一杯になる.この日は天気が良く島の西海岸の元地に通じる道路を歩いて桃岩展望台に行こうとしたが風が強くて諦めた.
結局,二日間,島に閉じこめられて三日後に稚内に渡ることが出来た.礼文に関わって長いが,完全に二日間閉じこめられたのは初めてである.最も,十日間閉じこめられたという話を聞いたことがあるので,まだ幸運な方である.
花の季節もいいが,秋の礼文島は西海岸の夕焼けがきれいだし,西から雪雲が迫ってくるのを見るのもいい.それぞれの季節にそれぞれの良さがある.
【END】
礼文島の項おしまい
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