雨竜湿原(1)2008/09/06 21:23

雨竜湿原 遙か彼方の山は暑寒別岳.南暑寒岳は雲の中.
雨竜沼湿原 08年8月13日

 お盆休みに雨竜沼湿原に行ってきた.
 札幌から国道275号を北上して当別町,月形町,浦臼町,新十津川町と過ぎて,尾白利加川を渡る.この辺りから西に折れて尾白利加川沿いに行くのであるが,入り口がいまいちよく分からない.雨竜町市街に入ってしばらく行くと道路標識に「雨竜沼登山口」とある.看板通りに曲がって左(西)に行き,T字路を右に行くと尾白利加川の沿った道路に出た.
 しばらく行くと尾白利加ダムの堤体道路を渡り山道に入っていく.昔は集落があったという国領を過ぎると尾白利加川の支流のペンケペタン川の流れに沿ってのぼっていく.道は突然舗装になったり砂利道になったりで,スピードに注意しないとハンドルを取られる.なかなか着かないので少々心配になった頃,雨竜湿原ゲートパークの駐車場に着くが,それを横に見てさらに進むと南暑寒荘の駐車場に着く.きれいな管理小屋と南暑寒荘が建っている.暑寒別天売焼尻国定公園雨竜湿原である.
 札幌を出てから約2時間半である.公園維持費一人500円.南暑寒荘は1泊1,000円,テントは一張り700円.混んでいなくて良いところだ.南暑寒荘は山小屋なので予約は不可で管理棟で受付をする.70人収容可能で,60張り可能なキャンプ場もあり泊まる場所には困らない.

 30分くらいで白竜ノ滝に着く.滝は玄武岩の岩脈で堆積岩との接触面を見ることができるという(岩見沢地学懇話会編,1986,空知の自然を歩く.北海道大学図書刊行会).今回はどの程度時間がかかるか分からないので滝を上から見るだけにした.
 第二吊り橋を渡ったところから急な登りになる.玉石が道に出ていて足の短い人には辛い道である.対岸に崖を見ながら登っていくとペンケペタン川の流れの見えるところに出る.実に水量が豊富である.ここまで来れば湿原はもうすぐである.

 湿原の入り口に小川があり,ここで靴を洗って下の植物の種などを洗い流す.雨竜沼湿原は国指定の「特別保護区域」で北海道の天然記念物である.木道の外を歩くこと,タケノコ・落ち葉・落ち枝を取ること,昆虫を含む動物を捕ること,たき火・野営場以外での炊事が禁止されている.
 ここまで登山口から約3時間かかった.昼飯を食べて木道をゆっくりと歩く.白いウメバチソウ,紫のエゾリンドウ,タチギボウシ,黄色い可憐なウリュウコウホネなど,数は少ないがいろいろな花を見ることができた.湿原の中を尾白利加川の支流であるペンケペタン川の源流が蛇行しながら流れ,その周辺に沼が点在している.今の時期は,湿原と言うより草原と言った方が当たっていて主体をなすのはイネ科の牧草のような草でこれが湿原全体を黄緑色に彩っている.沼はその高さから,少なくとも2段あり,高い段の沼と低い段の沼が隣り合っていたりして,不思議な感じである.
 木道の突き当たりの三叉路をさらに南暑寒岳に向かって斜面を登ると湿原が一望できる展望台に着く.がっしりした木の展望台であるが,下に向かってひしゃげている.雪の重みに耐えられなかったのであろう.まあ,人が2,3人乗ったからといってすぐ崩れることはないだろう.
 湿原を1周している木道をゆっくりと入り口へ戻る.南暑寒岳はずっと雲に隠れて頂上は見えない.

 帰りは1時間40分で戻ることができた.南暑寒荘の前のキャンプ場でコーヒーを飲み元気を取り戻して帰路につく.途中,浦臼町の鶴沼で温泉に浸かり,疲れをいやす.今度は紅葉のきれいな時に来るのがいいのかなと思う.

【END】

雨竜湿原(2)2008/09/06 21:25

南暑寒荘と管理棟
建物も前の芝生のキャンプ場もきれいで気持ちがいい.

雨竜湿原(3)2008/09/06 21:38

白竜ノ滝
堆積岩中に貫入した玄武岩が滝を作っている.対岸には堆積岩の上に溶岩が載っているのを見ることができる.

雨竜湿原(4)2008/09/06 21:40

湿原の中の沼
湿原のほぼ真ん中を川が蛇行しながら流れていて,ペンケペタン川となって流れ出す.川の流路より高いところに沼が点在している.また,沼自体も高さに違いがあり,不思議な光景を作っている.

アポイ岳(1)2008/09/07 13:30

アポイ岳山頂直下から見たピンネシリ
↑上の写真はアポイ岳頂上直下から見たピンネシリ.

アポイ岳 08年8月15日

 アポイ岳は襟裳岬の北西約25kmにある標高810mの山である.幌満かんらん岩体と呼ばれる日高変成帯の代表的かんらん岩体で東西8km,南北10kmの拡がりを持っているが,その中心とも言えるのがこのアポイ岳である.
 また,アポイ岳は国指定特別天然記念物『アポ岳高山植物群落』であり,麓から広葉樹林帯,針葉樹林帯,ダケカンバ帯,ハイマツ帯と移り変わっていき,高山植生帯であるハイマツが標高300mくらいから生えているという不思議な植生を示していることでも有名である.ヒナギクに似たヒダカソウ,アポイツメクサなどの植物が咲き,麓付近ではシャクナゲがたくさん見られる.

 8月15日はあいにくの曇り空で途中激しい雨に見舞われたが,国道336号,いわゆる黄金道路をひたすら走っていくと新冠辺りからは雨が降った形跡が無く何とか天気は持ちそうである.国道沿いのエンムル岬の付け根から見るとアポイ岳はハイマツ帯から上の方は雲に隠れて全く見えない.
 様似の市街地を抜け海沿いの国道をしばらく行くとアポイ岳と書いた青い看板があるので,ここを左に曲がる.ビジターセンターの駐車場のさらに奥の川に面したところに登山者用駐車場がある.ビジターセンターにはアポイ岳のパンフレット,イラストマップ/コースタイムのビラがある.ポンサヌシベツ川沿いに行くと入林許可証名簿記入所がある.

 わりあい緩やかで整備された登山道を登る.まだ所々にシャクナゲが咲いている.以前来た時に比べ山全体が落ち着いた雰囲気になっている.ポンサヌシベツ川を渡った小さな沢の所に靴洗い場がある.しばらくは広葉樹林とエゾマツの林の中を歩く.所々に熊よけの鐘が釣ってある.鳴らすと耳が痛くなるくらいの音を出すが音色はなかなかいい.
 やや急な登りになり5合目に到着した.ここまで約1時間である.出会った人は3人ほどで避難小屋の軒下で親子連れが昼食を食べていた.
 ここの標高は382mで登山口との比髙は約275mほどである.小休止する.この地点は2万5千分の1地形図では「避難小屋」,ビジターセンターのパンフでは「山小屋」,アポイ岳ファンクラブのビラでは「5合目休憩小屋(山小屋)」となっている.パンと水を飲んで元気を付け今度は尾根道を上る.この先がアポイ岳らしい地域である.

 アポイ岳の山頂からほぼ真西に延びた尾根と取っつきに馬の背がある.ここまでの登りはけっこうきついが道の脇にいろいろな花が咲いている.この時期,目立つのは黄色いサマニオトギリ,白い花が密集したアポイハハコ,五弁の白い花アポイツメクサ,ピンクのネジバナ,ツリガネニンジンに似た紫の花などである.花の種類はビジターセンターのパンフや植物図鑑,インターネットで調べたが自信がない.
 5合目から登り始めた時は雲が低く頂上も下もよく見えなかったが,登るにつれて雲が上がっていった.5合目から馬の背までの間の登山道にはかんらん岩が直接顔を見せている.かなり蛇紋岩化した部分も見られる.

 馬の背から幌満お花畑の分岐付近まではわりあい平坦な道である.9合目手前で雲が完全に上がり頂上がはっきりと見えた.これはラッキーであった.
 登り始めて2時間半で頂上に着いた.パンフにあるように頂上はダケカンバの林である.ここでワカメスープとおにぎりの昼食を取る.汗で全身濡れてしまったが風がないので特に寒くはない.
 ゆっくりと休んで幌満お花畑に向かって下る.休んでいるうちに雲がまた出てきた.お花畑には花は全くなかった.ここから分岐までの斜面の道は岩がゴロゴロしていて歩きにくい.馬の背で少し休んでその後は一気に下る.帰りは2時間かかった.

 アポイ山荘で汗を流しさっぱりして札幌に向かう.帰りも途中で土砂降りの雨に遭う.頂上付近で雲が上がったのが嘘のようである.

【END】