すみだ北斎美術館2017/05/22 10:50

 2017年のゴールデンウィークに「すみだ北斎美術館」へ行ってきました。

 北斎の偉大なところは,もちろんその画業ですが,何よりも年を取ってからも衰えない創作意欲だと思っています。
 一番好きな絵は,長野県の信州小布施北斎館で見ることのできる屋台の天井絵です。
( http://www.hokusai-kan.com )
 北斎が85歳の時(1844年,天保十五年)に半年をかけて描いたものです。

 すみだ北斎美術館は,総武本線の両国駅から国技館の南を通り江戸東京博物館の間の歩道を北に向かい,さらに東へ行った所にあります。町の中に独特の形をした建物があり,どこから入って良いのかしばらく迷いました。

 この時は,開館記念展IIIとして「てくてく東海道−北斎と旅する五十三次−」が開かれていました。
 この美術館がつくった北斎の絵のオリジナル葉書は印刷が非常にきれいで,人に出すのが惜しくなります。


写真1 美術館北側の緑町公園から見た北斎美術館


美術館入り口
写真2 入口


展示場
写真3 展示場


東京スカイツリー
写真4 北斎美術館から見た東京スカイツリー


増田隆一氏講演会2017/05/22 09:43

 地質調査でヒグマに遭うことがあります。
 最初は,歩いている時ではなかったのですが,車で国道277号(八雲熊石線)を八雲町熊石から八雲町市街に向かっている時でした。夜8時過ぎでしたが,かなり大きな熊が道路を横断するように車の前を横切っていきました。
 道道知床公園羅臼線で覆道背面の岩塊除去工事に立ち会っていた時は,削岩機の音がしているにもかかわらず,子どもを2頭連れた熊が斜面を降りてきて,しばらく覆道の付近で草を食べていました。この時は,羅臼ビジターセンターの方が花火などで山へ追い返しました。
 北見の山の中で,下山中に小熊に出会ったことがあります。また,八雲厚沢部線では,道路脇で何かを夢中で食べている,割合小さな熊を見たことがあります。


ヒグマ
写真1 道路脇で食事中のヒグマ

 「ヒグマの遺伝的多様性と移動の歴史」と題する増田氏の講演会がありました。2017年5月20日(土),場所は北大のクラーク会館でした。
 この講演会は北海道自然保護協会が,一般の人も対象として総会後に開いたものです。


在田一則氏
写真2 挨拶する北海道自然保護協会会長・在田一則氏


増田隆一氏
写真3 講演する増田隆一氏

増田隆一・北大大学院理学研究院教授「ヒグマの遺伝的多様性と移動の歴史」

 増田氏の専門は動物地理学,分子系統進化学です。今回の話は,ヒグマをDNA解析によって分類すると3種に分かれるという内容です。

 ヒグマは北海道やシベリア,アラスカからカナダ,チベットやトルコに生息しています。
 北海道では毎年2〜300頭が捕獲されていて,数千頭が生息していると考えられています。
 北海道のヒグマ50数頭のミトコンドリアDNA(mtDNA)の解析から,北海道のヒグマは,道央・道北に棲むグループA,道東に棲むグループB,道南に棲むグループCの三つに分けられることが分かってきました。これは雌のヒグマの生息域で,雄の場合は行動範囲が広いため,これほどはっきりとは分かれないと言います。

 ユーラシア大陸とアメリカ大陸で見ても,この3種に分かれるとのことです。ヒグマのルーツはシベリアにあり,そこから拡散したと考えられます。世界的に見ると,北海道のように狭い地域に3種のヒグマが棲んでいる所はありません。

 熊送りの儀式で使われたヒグマは,道央や道北では春に捕獲した成獣を使いますが,道南では子どもを育てて熊送りに使います。「飼育型熊送り儀式」と言います。どこに住んでいるヒグマを儀式に使ったかが分かるので,その当時の交流範囲を推定することができます。

 今年6月中旬に増田氏の著書「哺乳類の生物地理学」(東大出版会:本体3,800円)が出版されるそうです。


北海道立総合研究機構 地質研究所 調査研究成果発表会2017/05/20 12:44

 2017年5月19日(金),北海道立道民活動センター かでる2・7で表記の発表会が開かれました。
 重点研究「十勝岳」の成果と戦略研究「地域・産業特性に応じたエネルギー分散型利用モデルの構築」の中間報告,それに2つの口頭発表と13のポスター発表がありました。
地質研究所の研究が色々な方面で発展しているのを実感できた講演会でした。


遠藤祐司氏
写真1 開会の挨拶をする遠藤祐司I氏(北海道立総合研究機構 地質研究所 所長)


橋本武志氏
写真2 講演する橋本武志氏(北大地震火山観測センター)

 十勝岳については,札幌管区気象台,北海道大学と共同で研究を進め,火山体内部の構造が浅部,深部とも,かなりはっきりと明らかになってきました。熱水の流動状況やマグマの位置と地震発生域など貴重な情報が得られています。これらが噴火予知に役立つ可能性があります。


鈴木隆広氏
写真3 質問に応える鈴木隆広氏(地質研究所 資源環境部主査)

 北海道の温泉放出熱量については,全道約2,000箇所の温泉の位置と利用可能量をデータベース化することから始めています。
 地中熱については,富良野盆地を例に地下水流道の経路を明らかにし,地下水流同・熱輸送モデルを構築しました。地下水による熱の移流効果を見込んだ採熱が可能になります。


三上智さんの講演会2017/05/20 12:06

 現在の日本をめぐる状況は,国民が選んだ結果です。そんなことも含めて,色々と考えさせられる講演会でした。 

 2017年5月13日(土)午後6時半から8時半まで,かでる2・7で三上智恵さんの講演会が開かれました。

 北海道平和委員会が行っている「沖縄連続講演会 標的の大地 沖縄,そして北海道」の一つです。
 講演のタイトルは「いくさば(戦場)の今,沖縄と不屈の精神」でした。


三上智恵さん
講演する三上智恵さん

 辺野古の新基地は自衛隊が使うことを前提に造られていて,滑走路,軍港,弾薬庫が一体となった基地です。普天間基地の代替基地などではけっしてありません。
 沖縄は,ヴェトナム戦争,イラク戦争で出撃基地となっています。
 また,第二次世界大戦の沖縄戦の教訓は,軍隊がいなければ沖縄で9万4千人という民間人の犠牲はは出なかったと言うことです。
 そして今,先島諸島にも自衛隊の基地を造ろうとしています。

 北海道にも矢臼別演習場があります。古くは長沼ナイキ訴訟などの歴史があります。

i石狩海岸周辺の風車事業2017/05/17 20:56

シンポジウム
石狩海岸周辺の大規模風力発電事業計画の危険性

 世の中には知らないことが沢山あることを痛感したシンポジウムでした。
 低周波音による健康障害は「気のせい」ではなく、人の内耳の仕組みによるものだと言うことでした。

 2017年5月13日,午後1時半から午後5時まで,北海学園大学で開かれたシンポジウムです。ここでは,北大工学研究院教授の松井利仁氏(大気環境保全工学)の講演内容を紹介します。

 なお,北海道自然保護協会の活動については,( http://nc-hokkaido.or.jp )をご覧下さい。
 また,石狩の風力発電を考える会のホームページは,
( https://blogs.yahoo.co.jp/isokomorigumo )です。


松井利仁氏
写真1 講演する松井利仁北大大学院工学研究院教授
 松井教授は,米軍嘉手納基地の騒音による死者は年4人という推計を出しています。裁判の原告側証人を数多く引く受けましたが,全敗だと言っていました。
( 参考:http://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/24298 )

松井利仁氏「風車騒音による健康影響と石狩湾新港周辺の3事業の影響評価」
 札幌では騒音で多くの人が亡くなっています。大気中の有害現象で最も死者が多いのは,PM2.5を含む微少粒状物質によるものです。交通騒音での死者は,受動喫煙などと同じ程度で,ベンゼンやダイオキシンなどの化学物質による死者に比べ多くなっています。
 札幌市での交通騒音など環境騒音による死者の推計値は,約21人╱年です。

 低周波音とは何か。
 環境省では周波数が100Hz以下の音を低周波音としています。その中で20Hz以下の音を超低周波音と言います。
 低周波音は,高架橋の揺れによって発生したり,エコキュート(ヒートポンプ式の給湯器)から発生したりします。風力発電の風車も低周波音を出します。
 低周波音の大きな特徴は,減衰しにくいことです。例えば,4,000Hzの音は2km程度で−70dBくらいになりますが,100Hzくらいの低周波音は−30dB程度にしかなりません。
 低周波音は室内にも侵入してきます。部屋の中では分布が不規則で,壁の近くで共鳴した音のレベルが高くなります。縦方向でも床や天井でレベルが高くなります。

 低周波音が健康に及ぼす影響は様々です。1977年の西名阪自動車道の事件で,低周波音が健康に影響を及ぼすことは明らかにされていました。症状は,頭痛,肩こり,めまいのほか,睡眠障害(不眠),イライラなどです。これは,発電風車による健康影響と全く同じです。

 音は,内耳にある前庭を通して蝸牛に届きます。耳は,40Hzくらいの低周波音に敏感で,めまいなどの平衡機能が障害を受けます。低周波音の特徴は,小さな音でも蝸牛に影響し,気になって眠れないという状況を起こします。この「気になる」というのは騒音計では測定が難しいのです。
 蝸牛の前にある前庭への低周波音の刺激では,圧迫感や振動感で眠れなくなります。風車病の特徴である,めまい,頭痛,肩こりが出ます。これは,「気になる」と言うことではなく,低周波音の物理的刺激によって起こるものです。


風車騒音と健康障害
風車騒音と風車病・睡眠障害の因果関係(松井,当日配付資料による)

 日本では,2004年に環境省が「低周波音問題対応の手引書」を出していて,その中で低周波音による物的苦情に関する参照値,心身に関わる苦情に関する参照値というのを示しています(表1)。
 ここで注意しなければならないのは次の点です。
(1)環境省の参照値は,10人に1人が寝室で「気になる」レベルです。
 *苦情者における許容レベルの周波数特性は、全体として一般成人における寝室の許容レベルの 10 パーセンタイル値に近い傾向を示した。(手引,26p)
(2)参照値を下回れば苦情が無くなるわけではないです。1%の人が「気になる」音は,参照値より約10dB低いという結果が出ています。
(3)参照値は対策などの目標値ではありません。しかし,低周波音発生源の事業者は,この参照値よりも緩い環境基準値などを比較対象としています。
(4)室外機など定常的・連続的な低周波音であれば参照値は適用可能ですが,風車騒音は連続的であるものの規則的な変動があり,より「気になる」音です。
(5)広帯域の低周波音は,内耳で加算され,より「気になる」のです。

表1 物理的苦情(上:建具のがたつきなど)・心身に係わる苦情(下:睡眠障害)に対して,低周波音が原因かどうかを判断するための「目安」(松井,当日配付資料による)
 *A特性音圧レベルでは,極めて低いレベルでも「気になる」。
風車騒音レベル


 現在,工事に着工していたり計画されてたりしている石狩湾岸の風力発電所について,公表されているデータをもとに評価すると次のようになります。

<石狩コミュニティウィンドファーム>
(1)圧迫感・振動感を知覚することによる睡眠障害などの健康リスクが,300人以上に発生する可能性があります。
(2)工業団地で,極めて高い健康障害の発症率が予想されます。低周波音の曝露人口1,000人に対して,32人が影響を受け,そのうち18人が就労困難になるリスクを負います。
(3)北側と南側の住宅地で100人に1人以上の健康障害発症率となります。

<銭函風力発電>
 曝露人口は87,250人で,影響人口は384人と推計されます。圧迫感・振動感を知覚することによる睡眠障害などの健康リスクです。

<石狩湾新港区域内洋上風力発電>
 曝露人口は348,876人,影響人口は1,899人という結果になります。

 風車騒音に対する日本の現状は,水俣病への対応と共通点があります。
 水俣病では,経済成長のブレーキになるとして当時の通産省は,「原因は厳密には特定できない」とし,これに多くの科学者が同調しました。1956年に公式に「発見」されたあと,1959年に熊本大学水俣病研究班が原因物質は有機水銀であると発表しました。

 風車騒音被害では,環境省が「原因は厳密に特定できていない」とし,日本騒音制御工学会を中心に科学者が被害を否定しています。

 その特徴は以下のようなものです。
(1)低周波音などによる環境性睡眠障害を「不快感」による睡眠への影響とし,心理的反応であるかのように矮小化しています。
(2)「風車病」は知見が不十分だとしています。
(3)内耳にある前庭がどのような働きをしているのかを知りません。
(4)平均値によって評価して,個人差や高感受性の人たちを考慮していません。
(5)疫学・公衆衛生,過去の公害事件を知らず,学ぼうともしていません。

 風車病を防ぐ方法は八方ふさがりのように見えます。その中で,かなり難しいですが,騒音規制法の指定地域とすることは,一つの方法と思います。これは,自治体(市)の権限でできることです。


総合討論
写真2 総合討論の様子


共謀罪(その3)2017/05/16 15:03

 何のために共謀罪法組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律等の一部を改正する法律を作ろうとしているのだろうか。

 やはり,大きな動機は安倍政権が自分のやりたいことをやるために,反対意見を押さえ込むというのが一番大きいのではないかと思います。
 一つの意見として,アメリカで発生した9.11テロ以後,できるだけ早い段階で犯罪を防止するという流れがあるといいます。
 そのために,通信傍受やGPSによる捜査などが取り入れられるようになっています。日本では1999年に盗聴法が成立します。2003年に有事法制成立,2013年に特定秘密保護法成立,2015年に安保法成立,2016年に改正通信傍受法施行,同じく改正刑事訴訟法で司法取引・通信傍受対象拡大などができるようになりました。

 日本でのテロ行為としては,オーム真理教の地下鉄サリン事件が引き合いに出されます。オーム真理教は,1989年に坂本 堤弁護士一家殺害事件を起こしています。しかし,警察は事件性無しとして,この事件の捜査を行っていませんでした。
 オーム真理教は,1995年に地下鉄サリン事件を起こし,その捜査の中で坂本弁護士一家を殺害したことが明らかになりました。
 警察が,適切な対応を取っていれば,地下鉄サリン事件は防げた可能性があったと考えます。何しろ,警察は坂本弁護士一家が失踪したとするデマ情報を流していたのですから。

 日本での犯罪は減っているという,はっきりとした統計があります。例えば,一般刑法犯の発生率は,2002年の2,240人╱10万人を最高値として,2016年には780人╱10万人と激減しています。一般刑法犯というのは,刑法犯から自動車運転による業務上過失致死傷と危険運転致死傷を除外したものです(ウィキペディア,日本の犯罪と治安,最終更新 2017年5月6日 (土) 22:18 )。

 情報通信技術が発達する一方で,犯罪発生率は減少しているという状況があるわけです。そこで,警察の仕事が少なくなるのを防ぐために,犯罪のにおいがしただけ捜査ができる共謀罪を成立させたいという強い意志が法務省・警察庁にあるのではないかという話が出てきます。


共謀罪の過程
図1 犯罪に至る過程と共謀罪(ビデオニュース,2017年4月22日をもとに作成)
 左から右へと犯罪の確実度が高くなります。「漠然とした考え」ではさすがに共謀罪は成立しないでしょう。しかし,法定刑4年以上の犯罪を「決意」した段階で共謀罪は成立します。
 殺人については準備をした段階で殺人予備罪が適用され,窃盗は実行に着手すれば未遂でも窃盗未遂罪があります。

 この法律によって,どれだけ多くの犯罪が作られるかを考えると恐ろしくなります。当然,情報通信技術のための予算と人員が大幅に増えるでしょう。


長瀞(その7)2017/05/14 10:44

 今日一日の露頭めぐりも最後である。ライン下りの船着き場から歩いて野上駅に行った。待つことしばし,電車に乗って隣の樋口駅で降りた。

 樋口駅のプラットホームから見ると,国道を挟んだ向かいの小学校の塀に「水」と書いた看板がある。これはやっぱり「寛保洪水位磨崖標」を見なくてはと行ってみた。


水の看板
写真38 秩父線樋口駅ホームから見た長瀞第二小学校塀の看板
 この看板の水平線まで,荒川河床から24mまで水が来たという(荒川上流河川事務所のウェブサイト)。段丘上にあった集落は,ほぼ水没したという。


磨崖標
写真39 寛保洪水位磨崖標
 長瀞第二小学校の裏へ回り込むようにして行って左に折れると,坂の上り口左手にある。後ろの建物は圓福寺である。
 寛保2年7月27日(西暦1742年8月27日)から4昼夜に及ぶ豪雨によって旧暦8月1日(同8月30日)夜,水位が最高に達し,この付近一帯はすべて水没したという(磨崖標説明看板による)。


水の字
写真40 片岩の壁面に刻まれた「水」の字
 露頭の一番上に「水」の字が見える。この露頭は,多分,泥質片岩である。ここから対岸を見ると家の屋根よりも高い位置にあることが分かる。現在は上流に三つのダムがあり,洪水の危険は小さくなっている。

 ここから国道と並行な細い町道をたどっていくと板石塔婆(いたいし・とうば)に出る。途中やや急な坂があるが,歩道が無く車がビュンビュン走る国道を歩くよりはずっと安心である。坂を上ってしばらく行くと広い道路にぶつかる。これを右に曲がると左手に板石塔婆がある。地理院地図では「野上下郷石塔婆」と表示されている。


板石塔婆
写真41 板石塔婆
 高さ約5m,幅1m,厚さ13cmの一枚岩で作られたもので,樋口駅周辺で掘られた緑色片岩が使われているという(「長瀞たんけんマップ」による)。台座に使われている石には,紅れん石片岩がある。


板石塔婆横
写真42 板石塔婆を横から見る
 表面は微妙にたわんでいるが,この薄さの石材を良く掘り出したものと感心する。長瀞町大字小坂字城山の「仲山城」で討ち死にした阿仁和直家夫人の芳野御前(妙円尼)が十三回忌追善供養で建てたものという(現地説明版による)。建てられたのは1369年11月(応安二年十月)であるので,足利義満が三代将軍に就いた翌年である。南北朝分立の時代である。

 今回の最後の見学地,キャンプ村河原の褶曲に向かう。国道140号から白鳥橋を渡り,右岸の県道を上流に向かって歩く。途中に「岩田の大石(おおいわ)」というのが草むらの中に転がっている。昔は水田であったのであろう。

 県道をしばらく歩いてキャンプ村の入口に着く。このキャンプ場は私設なので,河原に降りるには入口で必ず断ってから行く。
 河原は緑色片岩を主体とする連続露頭で,どこへ行っても褶曲が見られ褶曲のオンパレードである。


岩田の大石
写真43 岩田の大石
 草むらの中にぽつんと石が転がっている。現地説明版によると「新編武蔵風土記稿」に「村名の起こり」と記されているという。後ろの建物は介護老人保健施設である。


緑色岩
写真44 緑色岩の連続露頭
 キャンプ場から降りた河原の露頭状態である。降り口のやや上流から下流を見ている。


褶曲構造
写真45 緑色岩の褶曲構造


褶曲構造
写真46 褶曲構造


褶曲構造
写真47 褶曲構造

 これで長瀞の主要な露頭は見た。多少心残りはあったが帰ることにした。
 白鳥橋で荒川を渡り,すぐに左へ曲がると古い町並みの中を通って樋口駅へ行くことができる。
 
 秩父鉄道で寄居へ出たところで,八高線で八王子へ行こうと思った。しかし,待ち時間が長いので,東武東上線で池袋に出て帰った。
 秩父へは,特急を使わなければ神奈川県からでも4千円ほどで往復できる。秩父鉄道はICカードが使えないが,その他はカードが使えるので結構自由に行動できる。


樋口駅
写真48 秩父鉄道・樋口駅
 秩父方面行きも寄居方面行きも1時間に2本程度の発車間隔である。駅員が不在の場合は,運賃表の右にぶら下げてある小さな「乗降車駅証明書」を取って降りる駅で渡して料金を払う。


長瀞(その6)2017/05/13 11:15

 金石水管橋上流の河原から昔の渡し舟の乗り場への道を上り町道に出た。11時を過ぎ日差しが強く少しへばってきた。
 「長瀞ライン下り」の舟の終着点である船着き場に雁行配列した脈がある。「杉型」(右ずれ)と「ミ型」(左ずれ)の両方が見られる。


船着き場上流
写真30 ライン下り船着き場やや上流の様子
 礫ないし砂の河原となっていて,流れも少し穏やかである。


ミ型雁行脈
写真31 ミ型雁行脈
 緑色片岩主体で黒色の泥質片岩が挟在している。中央の泥質片岩にミ型雁行脈が見られる。右端の車はライン下りの客を運ぶバスと舟を運ぶクレーン付のトラックである。




ミ型雁行脈
写真32 ミ型雁行脈
 雁行脈の方向はN20゚Eで,脈自体の方向はN20゚〜30゚Wで傾斜は鉛直である。


ミ型雁行脈
写真33 ミ型雁行脈
 泥質片岩上に2列見られる。


杉型雁行脈
写真34 杉型雁行脈
 雁行脈の方向はN30゚E,脈自体はNSで傾斜は80゚Eである。


杉型雁行脈
写真35 杉型雁行脈


杉型雁行脈
写真36 緑色片岩と泥質片岩の互層
 ここでは,ほぼ等量の互層である。


ハイアロクラスタイト
写真37 正体不明の露頭
 ハイアロクラスタイト風の岩石である。緑色片岩の中に挟在しているようである。


長瀞(その5)2017/05/13 09:51

 秩父鉄道の長瀞駅で,お土産の「秩父プリン」を5個買った。種類はリンゴ,サクランボ,モモ,ミカン,ブルーベリーなど7種類くらいある。瓶詰めなので結構重い。
 駅前から国道に出てコンビニエンスストアでおにぎりと飲み物を買って再び駅に戻り,荒川左岸の町道を北に向かう。見事な桜並木である。

 途中に赤鉄石英片岩の露頭があるはずだが,入口を見逃してしまい金石(かないし)水管橋のすぐ上流で川に降りた。
 金石水管橋は人道橋で,一見普通の橋であるが橋桁の下流側に導水管が付けられている。今回は,左岸のものしか見ていないが,両岸の橋台の根元には水神宮の碑が建てられているという(ウィキペディア,最終更新 2017年2月25日 (土) 05:22)。


金石水管橋
写真25 金石水管橋と片岩露頭
 中央の黒褐色の岩は赤鉄石英片岩だろうと思う。周辺は緑色片岩である。秩父鉄道の長瀞駅付近から野上駅付近までが川下りのコースとなっている。


左岸岩石崩壊
写真26 金石水管橋のやや上流左岸の岩石崩壊
 片理の発達した緑色片岩で,片理はゆるく川側(東側)に傾斜している。ゆるい流れ盤での崩壊である。


右岸岩石崩壊
写真27 受け盤での岩石崩壊
 上の写真と同じ場所の右岸である。崩壊の頻度は少ないが川方向の鉛直に近い分離面によって崩壊するようである。


珪質片岩の褶曲
写真28 珪質片岩中の褶曲構造
 金石水管橋付近の露頭で見られる褶曲構造である。緑色片岩には褶曲構造は見られない。


水神宮
写真29 水神宮
 右岸橋台の根元にあるものである。


長瀞(その4)2017/05/12 20:07

 埼玉県立自然の博物館から荒川左岸の町道を歩いて国道140号に出て親鼻橋を渡り,すぐ右に折れて町営住宅の脇の小道を川に降りた。紅れん石片岩の露頭とポットホールである。

 紅れん石というのは,その名のとおり緑れん石と固溶体をつくる鉱物で,緑れん石が鉄を含むのに対し紅れん石はマンガンを5〜22%含む。
 

紅れん石片岩とポットホール
写真18 紅れん石片岩とポットホールの露頭
 国道140号の親鼻橋から見た紅れん石片岩露頭である。中央付近の2階建てのようになっている岩である。岩の影にポットホールがある。


ポットホール
写真19 ポットホールと紅れん石片岩
 直径2m以上はあるポットホールである。見事に岩をくりぬいて孔が形成されている。褐色に見えるのは紅れん石片岩である。対岸も含め周辺は緑色片岩のきれいな露頭が続いている。


紅れん石片岩
写真20 紅れん石片岩と緑色片岩
 川の流れに洗われて紅れん石片岩と緑色片岩の見事な互層が見られる。


紅れん石片岩
写真21 紅れん石片岩
 この色と光り具合が,実際の紅れん石片岩の感じに最も近い。


紅れん石片岩
写真22 紅れん石片岩
 露頭へ降りて行く小道の途中にある紅れん石片岩である。左が下流で,この写真は川側から見たものである。

 紅れん石片岩の露頭から上がって,町道,県道を歩いて皆野(みなの)中学校の河原にある蛇紋岩の露頭に向かった。皆野中学校の西側に舗装された広い道路が川へと続いている。川はキャッチアンドリリースの釣り場になっているらしい。

 釣り場付近から県道の栗谷瀬橋付近まで蛇紋岩の露頭が点々とある。三波川帯中の蛇紋岩としては,長瀞東方の釜伏山の西から南にかけて比較的大きな岩体が分布している。
 蛇紋岩を見たあとは親鼻駅まで歩き,長瀞まで電車に乗った。


蛇紋岩
写真23 皆野中学校河原の蛇紋岩露頭
 硬質な塊状蛇紋岩が主体である。


アスベスト
写真24 蛇紋岩中の鉱物脈
 縦の白色の脈は石英の可能性が高い。右下がりの脈はその繊維状の形からアスベスト(鉱物としては判定できない)と推定される。その他にロジンジャイトと思われる白色の部分もある。