城ヶ島2014/03/03 17:35

 城ヶ島は三浦半島の突端にある東西に長い島である。最も簡単にいくには,京浜急行(京急)久里浜線終点の三崎口駅前から城ヶ島行きのバスに乗る。
 京急の本線は,堀ノ内から別れて浦賀に行く路線である。京急の線路幅は,新幹線と同じで普通の在来線より広くなっている。


写真1 京急三崎口駅の河津桜

 2月20日過ぎに行ったのだが,三崎口駅では河津桜が満開であった。
 バスは台地の畑の中を通り,市街地に入り三崎港をぐるっと回って城ヶ島大橋を渡る。城ヶ島の停留所は,島の北西にある。途中,白水歌碑で降りて歩いても良い。島は東西に長く,約1.8km,南北には約600mである。


写真2 城ヶ島大橋


写真3 白色砂岩
 ほぼ東西の走向で南(左手)に75度程度で傾斜している。


写真4 楫(かじ)の三郎山南斜面のタフォニ


写真5 小規模なスランプ構造


写真6 断層


 停留所のバス転回所から西に進むと海岸に出る。ここは酸性凝灰岩が主体の砂岩で,露頭は一面真っ白である。地層の傾斜は70度ほどで南に傾斜しているので上から堆積構造を見ることができる。スランプ層,断層,級化構造などが見どころであろう。また,楫の三郎山の南斜面にはタフォニが見られる。酸性凝灰岩を材料とする白色砂岩と灰褐色砂岩が互層しているが,灰褐色砂岩が浸食に強く白色砂岩は風化によって粒子がばらばらになってしまうようである。


写真7 京急ホテル西側の波食台露頭


写真8 波食台と7万年前の段丘
 遠くに馬の背洞門が見える。

 京急ホテルの西の浜に立つと全体の地質構造を眺めることができる。なかなか見事な露頭である。この付近では,白色砂岩の割合が少なくなり,地層の傾斜は緩くなっていて走向も変化しているようである。この波食台(波食棚)の海面からの高さは5mほどである。


写真9 緩い向斜構造
 走向・傾斜を測っていないのではっきりとは言えないが,向斜構造のように見える。馬の背洞門の西側の波食台である。


写真10 馬の背洞門


 南側の波食台を東に歩いて行くと馬の背洞門に行き当たる。途中の地層は小汚い褐色がかった灰色の砂岩が主体である。
 馬の背洞門は軽石を含む砂岩・礫岩互層である。ここから道は台地に上がる。この台地は島全体に広がっていて,標高は20m〜30mである。この段丘にはロームが載っていて,約7万年前の箱根火山の軽石層があるので,(MIS5a)に対比できるようである。


写真11 城ヶ島灯台
 1870(明治3)年に建てられた灯台で,水面からの高さは約30mである。

 城ヶ島灯台からバス停に向かう途中のお土産屋さんで乾燥アオサ(アオノリ)を売っていたので買った。店のおばさんに勧められて,取れたてのコンブも買った。どちらも素晴らしく美味かった。



コメント

_ yoshi ― 2017/01/05 14:20

城ヶ島の互層(スコリアと凝灰岩)はどうしてできたのでしょう?

_ 石井正之 ― 2017/01/06 12:31

yoshi様 2017年1月6日

Q:城ヶ島の互層(スコリアと凝灰岩)はどうしてできたのでしょう?

A:
 城ヶ島には,三崎層(1,200万年前〜400万年前)と初声層(はっせ・そう:400万年前〜300万年前)が分布しています.
 特に見事なスコリアと凝灰岩の互層が見られるのは,島の北西の灘ヶ﨑と言われる場所です.この付近では,泥や砂などの堆積岩類は見られず,火山灰が固まった凝灰岩が主体の地層が見られます.これは,三崎層が深さ2,000m〜3,000mの深くて陸から離れた場所で堆積したためです.

 火山噴火では,白っぽい軽石質の噴出物と黒っぽいスコリア質の噴出物が交互に噴出することがあります.これは,よく知られているように溶岩の成分の違いによるもので,石英などの成分が多いと白っぽくなります.
 例えば,北海道・樽前山の9,000年前の活動では,下に赤橙色軽石噴出物があり,ほとんど時間差なくその上に灰色スコリアが噴出しています.
https://gbank.gsj.jp/volcano/Act_Vol/tarumae/text/exp15-2.html

 そのほか,軽石や火山灰が流れてくる間にスコリアを取り込んだとか,軽石や酸性火山灰を噴出した火山とスコリアを噴出した火山は別であったとか,いろいろな可能性が考えられます.

 城ヶ島の地質については,日本地質学会から「城ヶ島たんけんマップ−深海から生まれた城ヶ島−」( http://www.geosociety.jp > 出版物 > リーフレット > リーフレットシリーズ一覧 :税込み400円)が出版されています.

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