「日本列島“大変動期” 最悪のシナリオの備えろ」2012/10/09 17:56



 NHK取材班による本です.今回の東日本大震災で得られた様々な観測記録から,日本列島の地震・津波災害について何が言えるのかをまとめたものです.

 さすがNHKと思わせる取材力で,第一線の成果を紹介しています.3.11の地震が巨大化したメカニズムとして,これまで認識されていなかった超巨大なアスペリティが動いたこと,さらにプレート間の変動が宮城沖から福島沖へと場所を移して行ったこと,これまで地震が起きないとされていた海溝寄りの浅いプレート間でも変位が発生したこと,海底地すべりが発生していたことなど,総合的に今回の地震のメカニズムに迫っています.

 今回の地震で日本列島だけでなく,全世界的に地震の活動期に入ったのではないかと言う.地震考古学からのアプローチも紹介されています.さらに,巨大地震と火山噴火との関係についても述べられています.

 今回の地震で何が分かったのか,我々はどう備えなければならないのかを考えさせてくれる内容です.


最高の天気の摩周湖2012/10/09 21:02

 10月8日に北海道東部の景勝地を巡ってきました.ここでは,川湯温泉の硫黄山,摩周湖を紹介します.

 アトサヌプリ火山(川湯温泉の硫黄山)は,屈斜路カルデラのカルデラ内に形成された後カルデラ火山で現在も活動中です.アトサヌプリ火山自体は,成層火山の形成→軽石噴火・カルデラ形成→溶岩円頂丘群の噴出という活動史を持っていて,現在活発に噴気を挙げているのは,アトサヌプリ山新期円頂丘溶岩と呼ばれるものです.この新期溶岩の周辺には古期溶岩が分布していて,北西に位置するマクワンチサップ,サワンチサップ,南西のリシリなどの溶岩ドームがあります.これら火山は約1万年前から活動していて岩質はデイサイト質です.

 アトサヌプリの見所は,何と言っても噴気孔に直接触れられることです.シューシューと音を立てて蒸気が噴出している噴気孔の回りには黄色い硫黄の結晶が付いています.また,噴気孔から流れ出している水をなめると,ピリッとした酸性水独特の味を経験することが出来ます.

写真1 摩周湖第三展望台からのアトサヌプリ
 中央の灰色の山がアトサヌプリ,その背後にマクワンチサップ,右にサワンチサップが見える.


写真2 アトサヌプリ


写真3 アトサヌプリ
 噴気孔とその周辺の硫黄の結晶


 アトサヌプリを後にして,摩周湖のカルデラ壁のつづら折れを登っていきます.登るに従ってアトサヌプリとその背後の屈斜路湖が見えてきます.カルデラ壁の尾根に着くとすぐに第三展望台があります.標高が660mで第一展望台より約100m高いのです.

 この展望台で西を見ると硫黄山,マクワンチサップ、サワンチサップが間近に見え,その向こうに屈斜路湖が横たわっています.そして,南西に阿寒富士,雌阿寒岳,雄阿寒岳が見えます.北東には斜里岳も見えます.湖面には溶岩ドームであるカムイシュ,その向こうにカムイヌプリ(摩周岳)です.

写真4 湖面のカムイシュと対岸のカムイヌプリ


写真5 左から阿寒富士,雌阿寒岳,雄阿寒岳


写真6 カムイヌプリと遠方の斜里岳