寒地土木研究所の講演会2007/12/06 14:56

 昭和61年(1986年)から開かれている講演会が,札幌市の教育文化会館で12月5日に開かれた.
 特別講演は,三井物産北海道支社の高木雄次氏による「グローバルな視点で見た北海道:七つの宝に期待」というものであった.広い土地,豊かな自然,北に開かれた戦略的位置,豊富な水,札幌という大都市,進取の気性に富む人,ホッカイドウというブランド力で,これらを生かした地域造りに期待できる.

 一般講演は5つで,そのうち興味深かったのはサロマ湖や能取湖などの汽水湖への流氷の流入を防ぐ「アイスブーム」(流氷制御施設)の話である(山本泰司寒地土研寒冷沿岸域チーム上席研究員).
 流氷の厚さ,移動方向,移動速度などを海底に設置した計器で観測し,水理模型実験を行い,数値計算でシミュレーションを行って能取湖のアイスブーム設置を計画している.
 真水は+4℃で密度が最大になるので気温が下がると表面から凍っていくが,塩水の場合は対流が発生して表面温度が約-1.5℃になって初めて凍るという.
 厳しいオホーツクでの冬の漁業を支援するすばらしい成果であると感じた.

 つくば中央研究所の佐々木靖人地質チーム上席研究員は,寒地土木研究所とつくば中央研究所の連携研究の例として「自然的原因による重金属汚染対策の技術」と題して講演した.土壌汚染対策法の基準をごくわずか上回る溶出量を示す掘削土の処理をどうするかについて,現在検討されている内容の話である.重金属リスクマップを作成しどこにリスクがあるのかを示し,特に長期溶出リスクや掘削ズリの大きさの効果などを含めたリスク判定手法,対策方法などについて検討している.

 北海道開発土木研究所は,2006年度から独立行政法人土木研究所のなかの寒地土木研究所となり新しいスタート切った.さらに,現在,国交省関係の研究所を一つにまとめる作業が始まっている.北海道の社会基盤整備の基礎研究を行う所として充実させていくことが必要であろう.

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