ニュートリノによる地球内部構造観測2008/01/11 20:39

ニュートリノによる地球内部構造観測
 宇宙から飛んでくるニュートリノを,南極氷床に設けた検出器で観測して地球内部の構造を明らかにしようという計画が進行中である(朝日新聞09年1月11日朝刊) .ニュートリノは地球を貫通してくるため地球内部,特にマントルと外殻の境界面の構造を知ることができるという.
 現在,地震波トモグラフィーによって,マントルと外殻の境界にはコールドプルームが沈み込んだ場所(密度が大きい)とホットプルームが湧き上がっている場所(密度が小さい)があることが明らかにされている.コールドプルームはアジア大陸の下,ホットプルームはアフリカ大陸の大地溝帯の分裂やタヒチ島付近の火山活動の原動力となっていると考えられている.また,収束帯で沈み込んだプレートがマントル中を落下していく過程で,深さ670km付近で一度停滞することも知られている.
 このような地球内部の大規模な構造を明らかにするのがこの計画の目的であろう.

 地球視の中では生物の大絶滅が何回か起こっている.最も有名なのは,白亜紀(Cretaceous)と第三紀(Tertiary)の間に発生し恐竜の大絶滅をもたらした事件で,これはユカタン半島に落下に落下した直径10kmほどの隕石によるものであることが,地層中のイリジウム含有量などから明らかにされた.
 この事件以上に大規模であったのは,ペルム紀(Permian)と三畳紀(Triassic)の間に発生した大絶滅である.この原因は地球規模での火山活動であると考えられている.この大規模火山活動によって,それまで一つのまとまっていた超大陸パンゲアが分裂を始めた.この時,ホットプルームの大発生のような現象が起こったのではないだろうか.
 このような現象に対しても,この観測はヒントを与えてくれる可能性がある.

 なお,プルームテクトニクスについては,ウィキペディアに質の高い記事がある.