本の紹介:変動帯の文化地質学 ― 2024/07/07 16:35

鈴木寿志(編集代表)・伊藤 孝・高橋直樹・川村教一・田口公則(編集)、変動帯の文化地質学。京都大学学術出版会、2024年2月。
鈴木氏が文化地質学(Kulturgeologie)という言葉に出会ったのは、2003年8月にオーストリーのグムンデン(陶器の町)で開かれた地球科学学術大会でのことでした。この大会では純粋な地球科学に関する講演は初日だけで、以後3日間は人や社会に関わる地質学に重点が置かれていました。「応用地質学」「大衆地質学」「文化地質学」などです。
帰国後、花こう岩研究などを通じて岡山県立児童会館公園(現太陽の丘公園)にジオトレイルを設置することができました。地質と文化の関係を意識するようになりました。
2011年の東北地方太平洋沖地震では、被害状況調査を行いました。ガイガーカウンターで放射線量を測定しながらの調査でした。悲惨な被害状況を見て、多くの人に自分たちの住む大地のことを知ってほしいと思うようになりました。
2014年の日本地質学会 第121年学術大会・鹿児島大会で文化地質学のトピックセッションを開催しました。
2014年と2015年の2回の日本地質学会学術大会での文化地質学のトピックセッションの発表の中から、18の講演を論文化して「号外地球 文化地質学」(2016年8月)が発行されました。以後、トピックセッションとして「文化地質学」は毎年開催されています。
2017年に開かれた地学団体研究会の旭川総会では、「北海道の文化地質学」と題してシンポジウムが開かれ、9件の発表が行われました。この発表は、論文として「地球科学」の73巻(2019年)に2回にわたって掲載されました。
この本は、総ページ数557頁と大部で、執筆者は編集委員を含めて29名です。一つ一つの論文を紹介できませんので、各部のタイトルだけ紹介しておきます。
序論 文化地質学の提唱と発展
第I部 石材利用の歴史と文化
第II部 信仰と地質学
第III部 文学と地質・災害
第IV部 地域の地形・地質を楽しむ
第V部 地学教育の新展開
総論 変動帯の文化地質学
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