本の紹介:九月、東京の路上で ― 2023/10/29 16:15

 加藤直樹、九月、東京の路上で 1923年関東大震災 ジェノサイドの残響。ころから、2014年3月初版、2023年3月 9刷。
 100年前の関東大震災の時に東京を中心とした路上で、民間人、警察、軍によって行われた朝鮮人、中国人そして日本人の虐殺の記録です。
 朝鮮人あまた殺され
 その血百里の間に連なれり
 われ怒りて視る 何の惨虐ぞ
         萩原朔太郎
 この本の中表紙に記された詩です。この詩は大震災の折、群馬県で起こった藤岡事件への怒りから震災の翌年に発表したものです。東京の路上で起きた惨虐は、このようなものであったことが、この本を読むと分かります。
 今の時代、そんなことは起きないでしょうと安心するわけにはいきません。
 2005年8月にニューオリンズをハリケーン・カトリーナが襲った際に、自警団が黒人に対して暴力を振るいました。1995年の阪神淡路大震災の時に、バットを持った自警団に囲まれた記者がいます。
 そして、関東大震災の時に各地で起きた朝鮮人たちの虐殺を認めようとしない人びとが、自治体の長にも政府の中にもいます。
 未曾有の大震災におののいた
 「普通の日本人」と行政は、
 デマに煽られ朝鮮人虐殺へと走った。
 100年前のヘイトスピーチは
 残響となって、いまも
 この街を覆っている。
(本書の帯の文章)
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