本の紹介:輝山 ― 2022/01/17 20:34

澤田瞳子、輝山。徳間書店、2021年9月。
江戸後期、弘化年間(1840年代後半)、江戸から石見国大森銀山にやってきた中間、金吾が見て経験した銀山の様子を描いた小説です。
異常出水、縦坑への落下、そして「よろけ」。鉱山町独特の厚い人情。背後にある政治的な動き。
私が地質学鉱物学科に移行し大学3年で最初に入った調査地が渡島半島西海岸の上ノ国町でした。約1ヶ月の地質調査の後半の宿が、上ノ国町の鉱山の宿舎でした。そこで夕食時に進められたのが、鉱夫の人たちが「バクダン」と呼んでいた焼酎のビール割りでした。
4年の卒論では青森県西目屋村の尾太鉱山を調査しました。鉱山の宿舎に寝泊まりし野外調査や鉱内の観察を行いました。
鉱山は山深い場所にあるのが一般的ですが、鉱山に関わる人たちは、地質調査、探査、機械、電気、化学など様々な分野の人が働いています。当然、採掘に関わる人たちが一番多いです。これらの人たちが醸し出す独特の雰囲気が鉱山町にはあるように思います。
時代は異なりますが、この小説は非常に上手に鉱山町の雰囲気を伝えていると思います。
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