本の紹介:チェルノブイリの祈り ― 2018/05/17 09:40
スベトラーナ・アレクシエービッチ,チェルノブイリの祈り 未来の物語.2011年6月,岩波現代文庫.
読み終わるのに半年近くかかりました.途中で読むのが辛くなったためです.
チェルノブイリ原発事故の被災者から聞き取ったことが描かれているのですが,その内容はロシア文学の伝統を強く感じさせます.人間の内面に迫っています.
亡くなった消防士ワシーリイ・イグナチェンコの妻,リュドミーラの語りに始まり,人間とは思われない姿で亡くなった事故処理作業者の夫を自宅で最後まで看取った妻,ワレンチナ・チモフェエブナ・パナセビッチの語りで終わります.
原発事故現場に派遣された「兵士たちの合唱」,放射能をまき散らす原発の周辺に住む「人々の合唱」等々,多くの人が自分のことを,時に黙り込みながら語っています.
福島の原発事故で被災した人たちが,これからどうやって心をたもち,生きていくのかを考えざるを得ません.
非常に重い内容ですが,これからの世界を考える上で貴重なものを与えてくれます.
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