本の紹介:白井 聡著,永続敗戦論 戦後日本の核心2016/04/06 09:28


永続敗戦論
白井 聡,永続敗戦論 戦後日本の核心(2013年3月,太田出版)

 なかなか難しい本である.

 まず,「永続敗戦」とは何を言っているのか.
 今の日本は,現実に進行している事態を否認する「否認の構造」が崩壊し,「本音モード」に入ってきている.
 「戦後」を批判し否定してきたのは主に右派勢力であった.8月15日を「終戦記念の日」と呼ぶ.実際には,ポツダム宣言を受諾することによって,日本は戦争に負けたことを認めたのである.その結果として,対米従属構造が永続化される一方で,敗戦を否認するという日本人の大部分の歴史認識・歴史的意識の構造が変化していない.

 『敗戦を否認しているがゆえに、際限のない対米従属を続けなければならず、深い対米従属を続けている限り、敗戦を否認し続けることができる。かかる状況を私は、「永続敗戦」と呼ぶ。』(本書,48ページ).

 尖閣諸島や竹島,千島列島の領土問題の本質について述べた部分も掘り下げた議論がなされている.

 実感として,今の日本が歴史的な,つまり,ある程度長い期間で見て曲がり角に来ているのを感じる.やや古い本であるが,今読むに値する内容である.


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