生田緑地2024/06/15 18:35

 生田(いくた)緑地は、川崎市多摩区にあり、小田急小田原線・向ヶ丘遊園駅南口から歩いて15分ほどで東口ビジターセンターにたどり着きます。

 標高84mの枡形山(ますがた・やま)を中心とした緑地で、川崎市立 日本民家園、かわさき宙(そら)と綠の科学館、川崎市 岡本太郎美術館などが緑地内にあります。

 

 今回は、東口ビジターセンターの右手の遊歩道を上りながら地質露頭を見ました。

 この付近の地質は、下から内湾性の塊状無層理の青灰色シルト岩からなる飯沼層(上総層群:前期更新世)、礫層・砂層・シルト層からなるオシ沼砂礫層(相模層群:中〜後期更新世)、多摩ローム層、枡形山の北斜面に分布する武蔵野ローム層です。

 

枡形山へ

写真1 枡形山への登り口

 東口ビジターセンターに向かって右側にある枡形山への道の入口です。この写真の右後ろにビジターセンターがあります。「生田緑地MAP」をもらうと道に迷わず済みます。

 

説明板

写真2 地質の説明板

 この道を上っていくと見ることができる地質が説明されています。

 

飯沼層

写真3 飯沼層のシルト岩

 説明板から少し登ったところの露頭です。層理面らしきものが認められますが、塊状で均質です。一応、固結しています。

 

飯沼層拡大

写真4 写真3の部分

 層理面らしきものがありますが、堆積面かどうか判断できません。岩相としては細粒砂岩です。

 

砂脈

写真5 飯沼層中の砂脈

 シルト質砂岩中に見られるほぼ鉛直の細粒砂の脈です。幅は35cmで上が幅広くなっています。走向・傾斜は、N30°E, 85°SEで、この露頭で同じ方向のより細い脈が少なくともあと2条見られます。

 

砂脈拡大

写真6 写真5の部分

 露頭を削っていないので詳細は分かりませんが、形態と破砕されていないことから見ると液状化による砂脈と考えられます。

 

オシ沼砂礫層

7 オシ沼砂礫層

 半固結の地層で、この露頭の下位はシルト質砂岩で上位は砂岩・礫岩の互層です。部分的に腐植土らしき層が挟まっています。礫は完全に円磨された円礫です。吉澤・高橋(2011)によると礫種はチャート・砂岩・閃緑岩とされています。

 


関東ローム層

写真8 関東ローム層

 この付近では関東ローム層の良好な露頭はありません。

 

枡形山頂上

写真9 枡形山頂上広場と展望台

 枡形山には源頼朝の重臣・稲毛三郎重成の居城がありました。さらに遡ると縄文時代のイノシシの落とし穴が発見されています。眺めも良く東京スカイツリーが見えます。

 

<参考文献>

 

 吉澤健吾・高橋 修、2011都会で見られる露頭を題材にした環境教育−神奈川県生田丘陵に分布する更新統を例に−。東京学芸大学紀要 自然系学系、6341-52



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