本の紹介:菅政権の成立と改憲問題の新局面 ― 2021/05/02 16:50

九条の会、菅政権の成立と改憲問題の新局面−改憲発議阻止のために−。2021年4月。
2021年2月17日に開かれた「九条の会」事務局主催の学習会の記録です。
布施祐仁氏(ジャーナリスト・「平和しんぶん」編集長):バイデン政権の成立と日米軍事同盟の強化−第5次アーミテージレポートにもふれて−
最初のアーミテージ報告(第1次)が出されたのは2000年です。この中では、日本が集団的自衛権を行使できないことが日米同盟の制約になっているとはっきり述べています。1997年に見直した「新ガイドライン」の実行も求めています。
これについて日本は、2003年に有事法制の制定で対応しています(小泉内閣)。2001年にはPKO(国連平和維持活動)法の改正を行いPKF(平和維持軍)の本体業務が行えるようになりました(小泉内閣)。
2000年4月に小渕恵三内閣から森 喜朗(よしろう)内閣に代わり、2001年4月に小泉純一郎内閣が誕生しています。
第2次報告は2007年に出され、第1次安倍晋三内閣(2006年9月−2007年9月)の憲法改正議論を歓迎しています。この報告で求めていたインド洋やイラクへの自衛隊の派遣は、2015年の安保法制(国際平和支援法:第2次安倍内閣)で実現しました。
さらに、「共同作戦指令センター」の設置を提案しています。これは、2015年11月に米軍と自衛隊の「共同運用調整所」の設置によって、ほぼ実現しました(第2次安倍内閣)。
2012年の第3次報告では、2011年の福島第一原発の事故後にかかわらず、原子力発電の継続を要求しています。
集団的自衛権の行使容認、イラン有事の際のペルシャ湾への掃海艇派遣を求めています。「駆け付け警護」の解禁、国家機密の保全も求めています。前者は安保法制で、後者は2013年の秘密保護法の制定で実現しています(第2次安倍内閣)。
2012年12月には第2次安倍晋三内閣が誕生し、2020年9月まで続きました。
2018年の第4次報告では、辺野古新基地を含む基地の合同使用、台湾有事には米軍と自衛隊が一体で即応できる合同の任務部隊をつくり訓練することを提案しています。
2020年12月に出された第5次報告では、「日本は必要不可欠で対等な同盟国となった」とし「アメリカと日本は今日、歴史上かつてないほどにお互いを必要としている」と述べています。
集団的自衛権の行使容認や安保法制の制定、「自由で開かれたアジア太平洋戦略」の提唱を絶賛しています。
今後の課題として「反撃力とミサイル防衛」を挙げています。敵基地攻撃能力の導入やイージス・システム搭載艦の建造などを期待しているようです。
さらに、アメリカ軍と自衛隊の共同作戦を実行する場合の統一した指揮系統を作ることを提案しています。つまり、自衛隊がアメリカ軍の指揮下で戦争できる体制を作るのです。そして、アメリカ、日本、オーストラリア、インドという4ヵ国のネットワークを作ろうとしています。
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図 第一列島線と第二列島線
(Consortium of Defense Analysts Threats to U.S. Security>
Taiwan think tank on China’s territorial ambitions and decisive military superiority by 2020 の図に加筆)
韓国−佐世保−沖縄−南西諸島−台湾−フィリピン−カリマンタン島を結ぶ第一列島線をアメリカ海兵隊、アメリカ陸軍、陸上自衛隊が守ります。これが破られた場合は、グアムを中心とする第二列島線で戦うという構想です。
第一列島線、第二列島線は、中国が設けた展開目標ラインで対米防衛線です。ただし、この言葉自体はアメリカが中国封じ込めのために設定した戦略ラインのことでした(この段、ウィキペディアより。2021年5月2日閲覧)。
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日米安保条約の実態を見るには、アメリカの世界戦略を見る必要があります。
2021年1月、「インド太平洋戦略枠文覚書」が公表されました。この中では、第1に、「第一列島線」の域内で中国が、空と海を長期的に軍事支配することを防ぐこと、第2に、台湾を含む第一列島線に位置する国を守ること、第3に、第一列島線の外側では陸海空など全領域を支配することとしています。
特に、鹿児島の種子島や奄美大島、沖縄本島、宮古島、石垣島、与那国島、そして台湾を経てフィリピンにいたるまでに地上配備型のミサイルを持った統合部隊を配備することが、中国に対する「優位性の奪還」にとって極めて重要だとしています。
現在、自衛隊が南西諸島にミサイル基地を作ろうとしているのは、このような背景があるのです。
6年以内に中国が台湾に侵攻するという予想があります(デービッドソン米インド太平洋軍司令官、2021年3月9日)。だから南西諸島のミサイル基地が必要だという主張がされます。
アメリカと中国が軍事衝突した場合、南西諸島の基地やアメリカ軍のいる沖縄だけでなく、日本全土が中国の攻撃目標となるでしょう。
アメリカと中国の戦争を予防する外交こそが必要です。
前田哲男氏(軍事評論家):「敵基地攻撃能力」のいま
「敵基地攻撃能力」を日本が保有するという問題は、1955年の国会で憲法第九条の限界を追及したことが発端となって、1956年に鳩山内閣が「統一見解」を出したことに遡ります。この中では次のように述べられています。
「たとえば誘導弾等による攻撃を防御するのに他に手段がないと認められる限り誘導弾等の基地をたたくことは、法理的には自衛の範囲に含まれ、可能であるというべきものと思います。」
2020年8月、自民党政調会は「小野寺提言」をまとめました。そこでは「相手領域内でも弾道ミサイル等を阻止する能力の保有を含めて、抑止力を向上させるための新たな取り組みが必要である」と述べられています。
2020年12月、菅内閣は「スタンド・オフ防備能力の強化について」を閣議決定します。その中身は、1)イージス・システム護衛艦2隻を配備する、2)自衛隊員の安全を確保しつつ脅威圏の外からの対処を行うためのスタンド・オフ防衛能力を強化する,ということです。
2)については、12式地対艦誘導弾の射程距離を900キロまで延長させるとしています。これは日本版巡航ミサイルです。
平時には軍事力で相手を脅す(抑止)、相手が従わないあるいは抑止が破綻したら対処する、つまり敵基地を攻撃するというのが菅内閣の閣議決定です。「抑止・対処」がセットになっているのです。
アメリカとロシア(ソビエト)の間で結ばれていた「INF中距離核戦力全廃条約」が2019年8月に破棄されました。射程500キロから5,500キロのミサイルです。
アメリカは、すでに新型核ミサイルの開発を完了しています。このミサイルの配備場所として南西諸島と日本列島を考えています。台湾を巡ってアメリカと中国が衝突した場合、日本は戦争に巻き込まれることがありえます。
日本国憲法の前文と第九条にもとづいて、軍事力に依存しない安全保障政策を求める努力が不可欠です。
本の紹介:子どもの算数、なんでそうなる? ― 2021/05/05 16:22

谷口 隆、子どもの算数、なんでそうなる?。岩波科学ライブラリー302,2021年3月。著者は整数論が専門です。
非常に面白い本です。小学校低学年の子供を持つお母さん、お父さんはもちろん、「何でこんな答えが出るんだ!」と、孫を叱りたくなるおじいさんも読んでみるのが良いと思います。
大人がおかしいと思う子供の答えには、理屈があるというのが著者の見解です。著者自身の子どもの算数の答えを見ながら、どうしてそう考えるのかを推理しています。
例えば、こんな問題があります。
「たまごが7こありました。なんこかつかったあと見たら、のこりは2こでした。なんこつかったでしょう。」
答えは5個と正しく答えましたが、式を書かせたら、7-5=2と書きました。回答としては間違いとされるでしょうが、この式は問題を時系列で記述したものだというのが著者の考えです。
こんな話題が九つ紹介されて、「結び−誤りは宝物」で終わっています。その後に、「第7話 かけ算の順序・かけ算の種類」の補足説明が付いています。
桜が満開 ― 2021/05/06 12:10
札幌は桜が満開です。
ゴールデンウィークの悪天候が回復し、今朝(2021年5月6日)は、雲が浮かぶ良い天気です。風は、ちょっと冷たくて強いですが、自転車でモエレ沼公園と伏籠川の桜を見に行きました。
写真1 玉葱畑
玉葱の苗はしっかりと根付いて綠の列を作っています。正面の手稲山には、まだ雪が残っています。
写真2 モエレ沼公園の桜の林
プレイマウンテンの東に「サクラの森」があります。今、まさに満開です。tenki.jpによると、エゾヤマザクラ、カスミザクラ、ミネザクラ、ヤエザクラ、ソメイヨシノがあるそうです。
写真3 モエレ沼公園の桜の林
写真4 伏籠川の桜の林
ここも満開です。直線化され残った旧河道跡にある桜の林です。丘珠緑地公園の対岸で、桜の林の左(東)には玉葱畑が広がっています。右手、白い建物の向こうに藻岩山のてっぺんが見えます。
写真5 桜と春香山
初夏の野幌森林公園 ― 2021/05/15 17:13
昨日(2021年5月14日)の札幌は、抜けるような青空になりました。これは家にいるのはもったいないと、野幌森林公園へ自転車で出かけました。
行きは野幌丘陵への登りで、帰りは下りですが、この日は北西の風が強く帰りがきつかったです。
写真1 野幌森林公園の大沢口
江別市文教台南町にある公園への入口です。近くには道立図書館、北海道博物館、北海道埋蔵文化財センター、酪農学園大学、札幌学院大学、北翔大学などがあります。
写真2 林の様子
葉が出始めたばかりで種類によっては、まだ芽が出たばかりのものもあります。この写真に写っているのは広葉樹ばかりですが、公園全体では針葉樹が85%を占めているそうです。
写真3 ニリンソウ
遊歩道の脇に群落をつくっている所もあります。
写真4 タニマスミレ
ほかの草に隠れて目立ちませんが、あちこちで見ることが出来ます。スミレは色々と種類があるようで、タニマスミレと思いますが自信はありません。
写真5 黄色い花
一カ所だけで見られました。名前は分かりません。
写真6 コブシ
ちょっとさみしいコブシの木です。風はちょっと冷たくて青空が気持ちよいです。
写真7 シラネアオイ
野幌森林公園で見ることが出来るとは思っていませんでした。何カ所かで小さな群落をつくっています。
写真8 ヒトリシズカ
何カ所かで見ることが出来ました。
写真9 木々の様子
木々の葉っぱは、出そろっていません。
写真10 オオバナエンレイソウ
小さな群落をつくっています。
写真11 ミズバショウ
ひっそりと咲いていました。
写真12 国道275号の雁来大橋からの豊平川
この時期、水量が豊富です。この先で石狩川へと合流する捷水路です。
写真13 月寒川と札幌西部山地
直線化された月寒川です。支笏火砕流堆積物の台地から流れ出ています。
写真14 夕方の豊平川
カムイの杜トレイルランニングが中止 ― 2021/05/16 18:18
2021年5月23日(日)に、旭川のカムイの杜で開かれる予定だったトレイルランニングが中止になりました。去年も中止で、今年は楽しみにしていましたが仕方ありません。
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図 カムイの杜トレイルランのコース
赤が5kmと10kmコースで青が23kmと43kmのコースです。この地域は高圧変成岩体である神居古潭帯で、10kmコースは緑色岩地域、43kmコースの西側は泥質片岩地域です。地形的には、それほど急峻ではありません。
東を南北に流れる川は伊野川で、北西の大きな川は石狩川です。
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台風でランニング大会が中止とか、コースの整備が出来ないでクロスカントリースキー大会が中止とかありましたが、パンデミックで中止というのは去年に続いて2回目です。
要するに、国内の感染が止まらないというのが大きな障害になっています。
この大会、旭川市の富沢にあるキャンプ場に泊まって参加していました。このキャンプ場は、名前を届ければ無料で使えて、なかなか居心地の良い場所です。
今回は、朝5時頃札幌を発つつもりでいました。朝早くのドライブもなかなか良いものです。
来年はなんとか開催できれば良いなと思います。