本の紹介「辞書を編む」2013/12/17 14:04

 「三省堂国語辞典(三国)第7版」の編纂に携わった飯間氏の著書である。『三国』は無事,書店に並んでいます。

 辞書の編集方針の決定から自分の目や耳で確かめるための用例採集,編集方針に従ってどの用語を載せるかの取捨選択,選んだ用語の意味を説明する語釈,さらに手を入れて磨き上げる手入れについて,『三国』第7版の編纂を例に述べています。この本の「おわりに」によれば,『三国』の編纂作業と同時進行で,この本を書いたそうです。

 あの「船を編む」の作者,三浦しをん氏が,ゲラを読んだそうで,本の帯文を寄せています。
 小型辞書として何を特色とするか,どんな言葉を載せるかと言ったことについての説明が,非常に面白いです。


飯間浩明「辞書を編む」(2013年4月。光文社新書


 ところで,地学関係の用語を説明したものは,地学団体研究会の「新版 地学事典」(1996年,平凡社)が,最もまとまっていて新しいものです。この事典では,「プレートテクトニクス」は杉村 新氏,「対の変成帯」は丸山茂徳氏が執筆しています。
 2004年に出版された「地質学用語集−和英・英和−」(日本地質学会編,共立出版)は,日本語で引くと英語の単語が書いてある(その逆もある)もので,語釈は載っていません。

 同じく2004年には「応用地質用語集(CD-ROM)Ver.1.0」(応用地質学会)が出版されています。
 「武田裕幸・今村遼平責任編集,1996,応用地学ノート」(共立出版)と言うのがあります。索引を辞書として使うことも可能ですが,言葉の定義がきちんと載っているわけではありません。

 「地すべり 地形地質的認識と用語」(地すべりに関する地形地質用語委員会 編,2004,日本地すべり学会)があります。この本は,国際的・国内的に「地すべり」の定義が固まったことを受けて,地形地質的認識に基づいた用語の解説を行うことを目的としています。

 さらに,「新版 地学辞典 第1巻 地球物理学・資源工学・土木地質学。竹内 均・片山信夫・森本良平・木村敏雄責任編集 」((1970,古今書院),「新版 地学事典 第2巻。片山信夫・森本良平・木村敏雄編集」(1998,古今書院),「新版 地学辞典 第3巻 地史・構造地質学・古生物学・堆積学・地形学・土壌学。竹内 均・片山信夫・森本良平・木村敏雄責任編集」(1973,古今書院)と言うのがあります。

 意外に便利なのが「地形学辞典」(町田 貞・井口正男・貝塚爽平・佐藤 正・榧根 勇・小野有五編,1981,二宮書店)です。この辞典は,挿絵が比較的豊富で理解を助けてくれます。

 最新の地球科学の成果を反映した日本語の辞書があればと思います。基本的には,平凡社の「新版 地学事典」でまず調べて,McGraw-Hillの「Dictionary of Geology & Mineralogy」(2003)で必要に応じて補っています。
 それにしても,「新版地学事典」が出てから17年が経ちます。信頼できる地質学の辞典があれば良いなと思います。

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