本の紹介:図解 プレートテクトニクス入門2013/12/09 12:49



木村 学/大木勇人,2013年9月,図解 プレートテクトニクス入門
なぜ動くのか? 原理から学ぶ地球のからくり(講談社 ブルーバックス)

 実に分かりやすい本です。2ページに1枚くらいの感じで解説図があります。しかし,図以上に文章が分かりやすく,読んでいてイメージを描くことができます。これが素晴らしいです。
 教科書の編集に携わった大木氏と「プレート収束帯のテクトニクス学」などの著書がある木村氏の共著です。文章の分かりやすさは大木氏の,内容の深さは木村氏の知識と技量が発揮されています。

 星野通平(ほしの・みちへい)氏の「反プレートテクトニクス論」(2010年8月,イー・ジー・サービス出版部)の中に出てくるプレートテクトニクスの要約が,皮肉なことに,プレートテクトニクスの分かりやすい解説になっていましたが,それを遙かに上回る内容と分かりやすさになっています。

 プレートテクトニクスの基本原理として,アルキメデスの原理を使って説明しています。アルキメデスの原理は,中学校までの理科では学習内容になっていないと言うことで,ていねいな説明をしています。このような方針が貫かれているのが,この本が分かりやすくなっている理由だと思います。

 一方で,チベット高原の広範囲な上昇の原因が,リソスフェアのマントル部分が剥がれ落ちて,比重が小さくなったリソスフェアが浮かび上がってきたというデラミネーション説,日本周辺のマイクロプレートの分け方の諸説など,いろいろな説があることも紹介しています。

 現在の地球科学に興味を持つ,すべての人にお勧めです。


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