茂木清夫「とらわれずに考えよう 地震・火山・岩石破壊」(古今書院)2009/10/27 20:06

山は茂木氏の故郷の月山.
 茂木清夫氏は「地震防災対策強化地域判定会」の第3代会長であったが,判定会の役割が東海地震に対して警戒宣言を出すか出さないかという二者択一で,注意報を出すという選択肢がないことが改善されないために,1996年に自ら会長を辞めた地震学者である.
 その生い立ちから現在までの活動を綴ったものである.

 東京大学では卒業論文で,水の表面波の回折波測定装置をそれまでの電気抵抗を計る方式と全く別の方式で開発しそれを後に英文で発表した.
 1914年の桜島噴火の際の地殻変動から火山噴火のメカニズム「火山体膨張収縮モデル」を構築した.
 学位論文では様々な状態の物質の破壊実験を行い,その時発生する微少破壊振動(アコースティック・エミッション:AE)が破壊する物質の不均質性によって異なることを明らかにした.
 MIT に留学した後,真の三軸圧縮試験装置を開発し中間主応力の役割を明らかにした.この結果の破壊式は「茂木ークーロンの破壊条件式」と呼ばれている.茂木の破壊式の特別な場合が,クーロンの式である.
 
 これらの実験地震学の知識を使って様々な活動を行ってきた.浜岡原子力発電所の建設についてははっきりと見解を述べている.東南海地震が迫っている今,このことは真剣に考えないと日本は壊滅的な打撃を受ける可能性がある.つまり,地震により原発から放射能が漏れた場合,それは東京を直撃するのである.このことがもたらす影響は誰にでも分かることである.

 特に,分野を問わず,若い学生に読んで欲しい本である.

【END】

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