日本地質学会北海道支部 2024年度例会 個人講演会2024/06/24 16:34

 表記講演会が2024622日(土)午後1時から4時まで、北大理学部5号館大講堂で開かれました。

 

2024年度個人講演会

地質学会北海道支部2024年度例会(個人講演会)プログラム

 

 今回、例会に参加したのは、福地亮介氏ほかの「日勝峠に分布する周氷河性斜面堆積物のバイオマーカー分析による堆積学的評価」が聞きたかったからです。

 

 福地氏ほかの講演は次のような内容でした。

 今回の発表は、日勝峠の周氷河性斜面で行った2本のボーリングコアを用いて行ったバイオマーカーの分析と評価です。

 ボーリングでは、上から黒土、樽前-dテフラ(Ta-d9千年前)、淘汰の悪い礫混じりのシルト〜砂層(周氷河性斜面堆積物)が採取され、2本のうちの1本では風化基盤岩である花こう閃緑岩を確認しています。

 結果は、9千年前に向かって草本(そうほん)的な環境から木本(もくほん)的な環境に変化したことを示しています。

 時代を決める火山灰が樽前-dテフラだけなので、時間の尺度が得られにくいのが残念ですが、道総研の廣瀬さんが、堆積物中の火山ガラスを拾い出せば時代が決められる可能性があると助言していました。

 

 日本工営の松井 昭氏の発表は、安平町早来の露頭の紹介です。ここでは、クッタラテフラ(Kt-1:約4万年前)から支笏・恵庭・樽前のテフラが見られます。さらに、それぞれのテフラが正断層で切られていて、下位のテフラほど変位が大きくなっています。

 要旨集に露頭の緯度・経度が示されているので、土地所有の農家に断って誰でも見学することはできるそうです。

 

 東海大学の岡本 研氏は、士別市のエゾ層群が火山島と海溝の間にあった堆積場で形成されたことを理解させる教材を作成しました。16ページ、オールカラーの冊子を700部つくり、教育関係者に配布しました。

 露頭観察から出発して、その成り立ちを考えていくという教え方は、非常に好感が持てます。

 

 その他の発表は、バイオマーカーを扱ったものが多く、北大地球惑星科学部門の沢田研究室の面々が元気に発表していました。

 

 なお、この講演会の要旨集は日本地質学会のサイトからダウンロードできます。

(日本地質学会ホームページ>左の欄の「支部」>北海道支部(北海道)>(個人講演会)プログラムの右の画像をクリック)