本の紹介:キーウの遠い空2024/02/03 11:48

キーウの遠い空

 オリガ・ホメンコ、キーウの遠い空 戦争の中のウクライナ人。中央公論新社、20237月。

 

 「あの日のこと」から始まるこの本は、20235月で終わっています。ロシアがウクライナに侵攻する前の状況、戦争が始まってからことが述べられています。

 

 ソビエト社会主義共和国連邦(ソ連)のなかのウクライナで生まれた著者は、十歳ころに日本の墨絵と版画に強い印象を受けました。ウクライナ語で書かれた日本の昔話を読んで不思議な思いを抱きました。

 

 キーウ国立大学の文学部でウクライナ語学科に入った二年生の時に、ウクライナは独立しました(1991824日)。これをきっかけに東洋学科ができ、迷わず日本語を学ぶことを決めました。最初60人くらいいた同級生は、卒業する時には2人でした。

 

 日本に留学し福沢諭吉や日本の戦後の婦人雑誌の商品広告における女性のアイデンティティーにつて研究しました。

 

 ロシアの侵攻以来、日本でもウクライナのことが色々報道されるようになりましたが、そこでは語りきれない部分が残っていると感じたので、このエッセイ集を出しました。

 

 著者の思いは「ウクライナの人びとの心にどのような変化が起きたのか知らせたい」と言うことです。