CIMから広がる新たな世界2015/06/02 18:45


土木學會誌,2015年6月号
土木學會誌,2015年6月号
 表紙の写真は,夕張シューパロダムの完成によって水面下へ沈んだ「三弦橋」(下夕張森林鉄道夕張岳線第一号橋梁)である。

 土木學會誌の第一〇〇巻 第六号は,CIM(Construction  Information Management)の特集である。

 国交省では,すでに設計や工事で試行を始めていて,三次元モデルで可視化することによって業務が効率化できることが分かってきている。一方,三次元モデルの作成に時間と費用がかかることが問題として浮かび上がっている。さらに問題は,入札・契約制度のあり方にも及ぶとされている(同誌,高村論文)。

 CIMは,計画・調査・設計段階から三次元モデルを導入し,施工・維持管理でも三次元モデルと連携させて建設生産性を向上させようという<考え方>であるとしている(同誌,TeamCIM論文)。
 したがって,CIMはトータルマネジメントであり,「良質な社会資本が,長く,良好な状態でサービスを世の中に提供するということ」(同誌,佐藤・矢吹対談)が目的である。

 維持管理に的を絞ると,精緻な三次元モデルは必ずしも必要ではない。米国陸軍工兵隊では,設計・施工段階の情報をEXCELの標準フォーマットに入力して維持管理段階へと引き継いでいるという(同誌,森論文)。

 地形モデル取得の方法,施工の生産性向上,三次元設計データのCIMとの連携,CIMの現状と課題など興味深い記事が並んでいる。