石狩河口の晩秋 ― 2012/11/01 17:57
今日の夕方は,どんよりと曇った秋空でした.夜になって雨になりました.
石狩川河口から望来海岸へ行ってみました.まだ葉っぱは完全に落ちていなくて,一面黄色の世界でした.
石狩川河口から望来海岸へ行ってみました.まだ葉っぱは完全に落ちていなくて,一面黄色の世界でした.

写真1 河口から約11km の生振捷水路付近の石狩川です.曇り空を映して灰色の川面です.

写真2 同じ所から西を望んだ風景です.中央の遠くに手稲山が見えます.手前の水溜まりは浚渫土砂のため池だと思います.

写真3 望来海岸です.遠くは浜益方面の山々です.

写真4 望来海岸から石狩の方を見ました.一面,黄色の世界です.
地層処分 ― 2012/11/20 12:47
放射性廃棄物は,人間の手の届かない所へ棄てるしかないのだろう.それにしても「トイレなきマンション」に頼ってきた代償はあまりにも大きい.国民的な合意を得て放射性廃棄物の処分方法を決めなければならない.このことだけでも,原子力発電に頼るエネルギー政策は,すぐに,やめなければならないと思う.

吉田英一著,地層処分----脱原発後に残される科学課題.2012年11月発行,近未来社.
放射性廃棄物を地下300mより深いところに埋めて処分しようというのが「地下処分」です.この本では,放射性廃棄物の処分を次のように分けています.ですから,地層処分というのは,一度使った核燃料の再処理を前提としています.地層処分と直接処分という言葉が,ちょっと,ややこしいです.
放射性廃棄物の処分
管理---コンクリート建屋で何万年も隔離する.
処分---地下処分---地層処分:再処理で出た高レベル放射性廃棄物を地下に埋設する.
直接処分:再処理しないで放射性廃棄物を直接地下に埋設する.
その他の処分---海溝処分・海洋底下処分・氷床処分・宇宙処分・消滅処分
なお,学術会議が2012年9月に出した「回答 高レベル射性廃棄物の処分について」では,次のように高レベル放射性廃棄物という言葉を使っています.
『本回答において、「高レベル放射性廃棄物」とは、使用済み核燃料を再処理した後に排出される高レベル放射性廃棄物のみならず、仮に使用済み核燃料の全量再処理が中止され、直接処分が併せて実施されることになった場合における使用済み核燃料も含む用語として使用する。』
<http://www.scj.go.jp/の「回答」欄.要旨のiiページ>
この本では,再処理して出てきた高レベル放射性廃棄物を地下に埋設して,ある程度の年数が経ったら完全に密閉してしまう方法に関連するいろいろな問題を検討しています.日本全体の地下環境から,地下に掘削したトンネル周辺の地下環境まで,非常に分かりやすく書かれています.超長期の安定性をどう評価・予測するかというのがポイントです.
仕事としては,いろいろな地質現象を解明でき,分野横断的な視点が必要で非常に面白い対象だと思います.著者は,地下処分について自由に議論できる場が不可欠で,情報の透明性が確保・維持された科学者集団による「認識共同体」の形成が必要だと述べています.
これは,ほんとに大事なことだと思います.いずれにしても,現在すでに存在している放射性廃棄物を,最終的にどう処分するかの研究は進めなければなりません.若い人に魅力のある分野とするためにも大事なことだと思います.
今も大飯原子力発電所では放射性廃棄物が生産され続けています.これをどう処理するのか,早急に対応を考えなくてはならないでしょう.
放射性廃棄物を地下300mより深いところに埋めて処分しようというのが「地下処分」です.この本では,放射性廃棄物の処分を次のように分けています.ですから,地層処分というのは,一度使った核燃料の再処理を前提としています.地層処分と直接処分という言葉が,ちょっと,ややこしいです.
放射性廃棄物の処分
管理---コンクリート建屋で何万年も隔離する.
処分---地下処分---地層処分:再処理で出た高レベル放射性廃棄物を地下に埋設する.
直接処分:再処理しないで放射性廃棄物を直接地下に埋設する.
その他の処分---海溝処分・海洋底下処分・氷床処分・宇宙処分・消滅処分
なお,学術会議が2012年9月に出した「回答 高レベル射性廃棄物の処分について」では,次のように高レベル放射性廃棄物という言葉を使っています.
『本回答において、「高レベル放射性廃棄物」とは、使用済み核燃料を再処理した後に排出される高レベル放射性廃棄物のみならず、仮に使用済み核燃料の全量再処理が中止され、直接処分が併せて実施されることになった場合における使用済み核燃料も含む用語として使用する。』
<http://www.scj.go.jp/の「回答」欄.要旨のiiページ>
この本では,再処理して出てきた高レベル放射性廃棄物を地下に埋設して,ある程度の年数が経ったら完全に密閉してしまう方法に関連するいろいろな問題を検討しています.日本全体の地下環境から,地下に掘削したトンネル周辺の地下環境まで,非常に分かりやすく書かれています.超長期の安定性をどう評価・予測するかというのがポイントです.
仕事としては,いろいろな地質現象を解明でき,分野横断的な視点が必要で非常に面白い対象だと思います.著者は,地下処分について自由に議論できる場が不可欠で,情報の透明性が確保・維持された科学者集団による「認識共同体」の形成が必要だと述べています.
これは,ほんとに大事なことだと思います.いずれにしても,現在すでに存在している放射性廃棄物を,最終的にどう処分するかの研究は進めなければなりません.若い人に魅力のある分野とするためにも大事なことだと思います.
今も大飯原子力発電所では放射性廃棄物が生産され続けています.これをどう処理するのか,早急に対応を考えなくてはならないでしょう.
佳境に入った北の峰トンネル工事 ― 2012/11/28 17:36
旭川と占冠を結ぶ旭川十勝道路の「北の峰トンネル」の工事が佳境を迎えています.
2012年11月末現在,終点側坑口(占冠側)から約500mまで掘削が進んでいて,富良野盆地の西縁に分布している活断層,富良野断層帯の御料断層が切羽に出現しています.
御料断層は平野側に分布する前期更新世の十勝火砕流堆積物と山地側の新第三紀の泥岩・崖錐堆積物の境界となっていて,断層の山側に地下水を貯留しています.この断層の山側区間はウォータータイト・トンネル(「防水トンネル」)で施工することになっています.ウォータータイト・トンネルとなる区間は全長740mで,トンネル全延長(2,928m)の25%になります.この区間ではトンネル断面を円形にして,注入工とAGF工法を併用して掘削することになっています.注入工を実施した範囲は,御料断層山側の十勝火砕流堆積物出現区間以外の断層近傍200m区間で,地上から注入を行いました.
起点側坑口からトンネル中間部までは破砕質泥岩が出現します.この泥岩には溶出量基準を超えるヒ素が含まれているために,盛土材として有効利用するためには対策が必要です.そのために,先行して試験盛土を行い,モニタリングを行っています.リスク評価に「サイト概念モデル」を用いているのが特徴です.さらに,盛土内に重金属を含んだ掘削ズリを封じ込めるために,現地で入手可能な材料による吸着層工法を検討していて,大幅なコスト縮減が図られる予定です.
トンネルが地震の揺れで被害を受けた例は,恐らくないだろうと思います.しかし,活断層でトンネルが破壊された事例は,丹那トンネル施工中のトンネル閉塞(1930年11月26日の北伊豆地震.M=5.1)や稲取トンネルの変状(1978年1月14日の伊豆大島近海地震.M=7.0)などがあります.御料断層が動いた場合,トンネルが被災することは避けられないでしょう.
地震調査研究推進本部の評価では,御料断層の最新活動期は約1,800yBP〜1,600yBPで,活動間隔は8,000年〜6,000年となっています.ですから,御料断層が活動し,トンネルが被災する可能性は現在のところ,きわめて低いと考えて良いようです.
今回は,北海道環境地質研究会主催の現地見学会で,トンネル切羽,試験盛土現場を見ることができました.忙しい中,対応して下さった現場の方々や研究会の幹事・案内者の方に深く感謝します.
実は,現役の頃,北の峰トンネルの調査のプロポーザルに応募したことがありました.この時に,ウォータータイト・トンネルを計画していることを知り,切羽を見たいと思っていました.念願が叶いました.

写真1 清水山からみた北の峰トンネル予定地
富良野市街北方の清水山,富良野ワインのワインハウス展望台からみたトンネル予定地です.
トンネルは,右側の緩斜面の下から中央の小山(「ナマコ山山列」)の向こうを通って左の低地に出ます.「ナマコ山山列」の右裾野に御料断層,左裾野に中富良野ナマコ山断層があります.
中央を流れるのは空知川,手前の川は富良野川です.

写真2 試験盛土
掘削ズリを盛土の中に封じ込めるための試験盛土です.モニタリングを行っています.

写真3 終点側坑口

写真4 終点側坑口から約500mの切羽近傍の状況
インバートを切羽直近まで作りながら進んでいます.ロードヘッダーで掘削中です.

写真5 切羽の様子
右肩に十勝火砕流堆積物,左側にBT面堆積物と呼ばれる新期の堆積物が出現しています.核残しで掘削しているので,切羽全面を見ることはできません.切羽に近づくこともできません.かなり注意が必要な切羽だという印象を受けました.

写真6 北の峰トンネルの説明版
右が南(占冠側),左が北(旭川側)です.縦断図右側の水色の部分がウォータータイト・トンネルの区間です.ピンク色が十勝火砕流堆積物です.