紹介:「本は,これから」2010/12/14 20:25




 池澤夏樹編「本は、これから」(岩波新書,2010年11月)には,編者も入れて37人の人が文章を寄せています.
 電子端末がいくつか発売され,コンテンツも整えられつつあります.2010年は,電子書籍元年だという話もあります.このような状況で,紙の本になじんできた人たちが,それぞれの立場から本のこれからについて語っています.

 池澤夏樹氏の序のあと漫画家の吉野朔美氏の漫画が初めに登場します.そのあとは,名前の五十音順に,それぞれの人の文章が並んでいます.
 「本」の形が変わると言うこと以上に,電子書籍の与える影響は大きいと感じたり,それでも紙の本は残るのではないかと思ったり,それぞれの文章を読みながら考えさせてもらえます.
 出久根氏(作家・古書店主)の「追放本」の話,中野氏(近世文学)の「・・日本の知識人でたかだか百四十年前の福沢の『学問のすゝめ』を、刊行された姿のままで読める人が何人いるだろうか。」という文章はとても印象深い.