黄砂 ― 2006/04/22 23:54
黄砂 06年4月22日
06年4月18日に東北以南に黄砂が飛来しました.東京都心では00年4月14日以来の黄砂だった言います(例えば,<http://www.asahi.com/>).
01年4月10日には札幌でも黄砂におそわれ,街の中心に煙幕がかかったような状態になりました(<http://www.asahi-net.or.jp/~gf7m-isi/>.この時期は,黄砂が飛来しやすい気象条件にあります.
ところで,黄砂(eolian dust:こうさ)と言うのは,「アジア大陸内部の乾燥・半乾燥地域(タクラマカン砂漠や黄土地帯など)から,偏西風によって東へ長距離かつ広範囲に運搬される砂塵」(地学事典)です.eolianは,「風で形成された」と言う意味ですので,eolian dustは,風成塵というのが正しい用語でしょう.最近の研究では黄土高原,ゴビ砂漠,タクラマカン砂漠などのほかにチベット高原から飛来するものもあるといいます.
この黄砂のもととなっているレス(Loess)は,「主にシルトからなり,灰色ないし淡黄色,均質で無層理,非固結の堆積物で,しばしば垂直の割れ目が発達した風成の陸上堆積物」です(K.M.Yu,2004).この中には,イライトや雲母類粘土鉱物のほかに微粒の石英が含まれています.
火山起源の石英は電子ビームを照射すると青色帯で強く発光します.これに対して,深成岩起源の石英では赤色帯で強く発光し,熱水起源の石英は緑色帯で強く発光します.このような性質を使って,石英粒子の起源を推定することができます.この電子ビームによる発光を,カソードルミネッセンス(CL)と呼びます.
日本にはロームと呼ばれる細粒堆積物が広く分布しています.一般に,ロームというのは風化して粘土化した火山灰のことを指します.関東ロームがその典型で,箱根火山起源の火山灰です.
ところが,日本でロームと呼ばれているものの中に,大陸から飛来した黄砂堆積物があると言われています.石英の起源が火山岩起源か深成岩起源かが分かり,黄砂のもととなっているレスとの対比ができればいわゆる”ローム”の起源を推定することができます.
最終間氷期が終わり,氷期になったとき,地上の水は氷河となって大陸に蓄積されるので全体に乾燥化が進みます.このような気候条件では,今よりもずっと多くの黄砂が日本に飛来したと推定されます.
【END】
06年4月18日に東北以南に黄砂が飛来しました.東京都心では00年4月14日以来の黄砂だった言います(例えば,<http://www.asahi.com/>).
01年4月10日には札幌でも黄砂におそわれ,街の中心に煙幕がかかったような状態になりました(<http://www.asahi-net.or.jp/~gf7m-isi/>.この時期は,黄砂が飛来しやすい気象条件にあります.
ところで,黄砂(eolian dust:こうさ)と言うのは,「アジア大陸内部の乾燥・半乾燥地域(タクラマカン砂漠や黄土地帯など)から,偏西風によって東へ長距離かつ広範囲に運搬される砂塵」(地学事典)です.eolianは,「風で形成された」と言う意味ですので,eolian dustは,風成塵というのが正しい用語でしょう.最近の研究では黄土高原,ゴビ砂漠,タクラマカン砂漠などのほかにチベット高原から飛来するものもあるといいます.
この黄砂のもととなっているレス(Loess)は,「主にシルトからなり,灰色ないし淡黄色,均質で無層理,非固結の堆積物で,しばしば垂直の割れ目が発達した風成の陸上堆積物」です(K.M.Yu,2004).この中には,イライトや雲母類粘土鉱物のほかに微粒の石英が含まれています.
火山起源の石英は電子ビームを照射すると青色帯で強く発光します.これに対して,深成岩起源の石英では赤色帯で強く発光し,熱水起源の石英は緑色帯で強く発光します.このような性質を使って,石英粒子の起源を推定することができます.この電子ビームによる発光を,カソードルミネッセンス(CL)と呼びます.
日本にはロームと呼ばれる細粒堆積物が広く分布しています.一般に,ロームというのは風化して粘土化した火山灰のことを指します.関東ロームがその典型で,箱根火山起源の火山灰です.
ところが,日本でロームと呼ばれているものの中に,大陸から飛来した黄砂堆積物があると言われています.石英の起源が火山岩起源か深成岩起源かが分かり,黄砂のもととなっているレスとの対比ができればいわゆる”ローム”の起源を推定することができます.
最終間氷期が終わり,氷期になったとき,地上の水は氷河となって大陸に蓄積されるので全体に乾燥化が進みます.このような気候条件では,今よりもずっと多くの黄砂が日本に飛来したと推定されます.
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