相模ダムと宮ヶ瀬ダム2014/08/25 21:02

 相模川には古くから相模ダムがあった。東京から中央本線に乗って,小仏トンネルを過ぎてしばらくすると「与瀬」の駅があった。ここで降りれば,相模湖へ歩いて行くことができる。
 相模ダムは戦争での中断を挟んで,1947(昭和22)年に完成した重力式多目的ダムである。高さは約58m,堤頂長196m,常時満水位は標高167mである。現地に設置されている説明版を見ると物資のない時代に,これだけの急峻な場所によく造ったものだと思う。
 地質図を見ると,ダムサイトのすぐ近くを西北西−東南東方向の地質断層が通っている。地質は主に古第三紀の付加体堆積物である。


写真1 建設初め頃の相模ダム(ダムサイト説明版)


写真2 相模ダム
 規模は小さいが,この時期に満々と水をたたえているのが印象的である。

 相模川にはこのほかに,道志川の合流点下流に城山ダムがある。相模川の合流点のすぐ上流に横浜水道沈殿池があり,ここから相模原市谷ヶ原浄水場へ導水路が通じている。この谷ヶ原浄水場は自然沈殿と微生物による濾過を行う緩速濾過方式も採用している浄水場である。

 宮ヶ瀬ダムは相模川支流の中津川に造られ重力式コンクリートダムである。堤高は156m,堤頂長375m,常時満水位標高286mである。直下流に設けられた副ダムである石小屋ダムで取水して,津久井導水路で道志川の横浜水道沈殿池へ水を送っている。

 さすが宮ヶ瀬ダムは大きく堤頂の通路の幅は17mほどある。


写真3 左岸から見た宮ヶ瀬ダム
 右岸に工事の時に使ったインクラインがあり,現在も運転している。遠くの三角の山は丹沢山か。


写真4 放水路
 やはり迫力がある。右岸の四角い建物は愛川第1発電所である。


写真5 ダム天端の通路
 広い。下を覗かなければ高さは忘れる。


写真6 湖岸に露出する岩盤
 酸性の火砕岩類のように見える。左の露頭は破砕されているのに対し,右側は塊状である。宮ヶ瀬ダムは,ダムサイト直上流の火砕岩類を原石として使用した。RCD工法で造られたので,ダム堤体は上流側の勾配がやや緩くなっている。インクラインはコンクリートを積んだダンプを所定の高さに運ぶために設けられたものである。


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