紀伊半島における四万十付加体研究の新展開2012/10/14 10:44



 プレートテクトニクスの考えにもとづいて紀伊半島の四万十帯の地質を解明した論文集です。紀州四万十帯団体研究グループの編著です。

 かって、紀伊半島の海岸線を通る高速道路のトンネル調査に関わったことがありました。泥岩主体の地層では、土被りが50m ほどしかない所で天端崩落が頻繁に発生しました。切羽近傍では掘削によって割れ目が開いて、地山弾性波速度が極端に小さくなっていることが分かりました。付加体堆積物の怖さを実感した現場でした。

 この論文集は、第一部:四万十付加体の地質と構造、第二部:四万十付加体に関する諸問題、再三部:構造発達史、からなっています。巻末には「紀伊半島四万十帯(四万十付加体)20万分の1地質図」(カラー)が付いています。

 四万十帯には堆積時の初生層序が成り立つ付加体があり、これに対して付加シークエンスという用語を用いていて、複合岩類である付加コンプレックスと区別しています。

 現在、紀伊半島沖で地球深部探査船「ちきゅう」による深部掘削が進行中ですが、前期中新世までの四万十付加体の地質がまとめられたことの意味は大きいと思います。

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