第51回日本地すべり学会研究発表会・現地見学会 ― 2012/09/06 22:40
2012年8月28日から31日まで,札幌市教育文化会館と洞爺湖周辺・平取町周辺を舞台に標記行事が行われました.
28日(火)は道民講演会として北大名誉教授の岡田 弘氏と気象キャスターの菅井貴子さんが,災害を共通テーマとして講演しました.
29日(水)と30日(木)は研究発表会,31日(金)は現地見学甲斐が行われました.参加者は500名ほどで,29日にの晩に行われた意見交換会には300名の方が参加し大いに盛り上がりました.
研究発表会に先立って行われた特別講演では,柴崎達也氏(国土防災技術(株))が「すべり面強度の温度依存性の検証」と題して講演しました.
残留せん断状態での室内せん断試験の結果,温度が高くなると垂直応力に対するせん断応力の比(τ/σN)が小刻みな変動(スティックスリップ)を示すことが分かりました.その他の実験と合わせ考えると低温状態ほどすべり面の強度が低下します.このような温度依存性を示す粘土は,スメクタイトを多量に含有し液性限界が120%を上回るような高塑性粘土だけです.また,温度依存性は,せん断速度0.1mm/min(1日当たりに直すと14cmと少し)以上では認められません.
つまり,ゆっくりと移動していて,すべり面粘土にスメクタイトを豊富に含む地すべりでは,秋から冬にかけて地温が低下する時期に,すべり面強度が低下し地すべりが動き出す可能性があると言うことです.
このようなことを念頭に地すべりの経年変動を見ると,これに当てはまると考えられる地滑りがあることを確かめています.
地すべりの誘因として,豪雨や融雪時の水位上昇が想定されてきましたが,秋口に変動を始める地すべりがあることも確かで,非常に興味深い内容でした.この実験ではせいぜい50度の温度差で,せん断変位の挙動が劇的に変わります.この時,スメクタイトを主とする粘土の中で,どのような現象が起きているのか興味があります.
その他に,北海道立総合研究機構地質研究所の田近 淳氏の「北海道における最近の地すべり」,北見工業大学名誉教授の前田寛之氏の「膨潤性粘土鉱物の成因と地すべり」という講演も行われました.
研究発表は,斜面安定,地すべり機構,調査計測,対策,その他,特別セッション地震地すべりの6つのセッションで行われました.発表数は101件でした.その他に,ポスターセッションとして39の発表がありました.ポスターセッションのコアタイムは,芋の子を洗うような賑わいでした.
私が聴講した中で印象に残った発表について述べます.
佐藤壽則氏ほか「大規模地すべり地に見られる高塩分濃度地下水−新潟県釜塚・団子差地すべりの例−」
発表者は渡部直喜氏(新潟大学 災害・復興科学研究所)でした.
私にとって,これはかなり衝撃的な内容でした.この地すべりは新潟県上越市板倉区の丈ヶ岳(北緯37度00分57秒,東経138度20分22秒)の西方に広がる奥行き,幅とも2km,すべり面深度は地すべり中央付近で137mと言う大規模な地すべりです.地すべり地の地質は,新第三紀中新世の寺泊層上部〜椎谷層に相当する海成堆積岩です.
椎谷層というのは,北越急行ほくほく線鍋立山(なべたちやま)トンネルの約8割を占める地質です.鍋立山では,建設中にトンネルボーリングマシンが切羽から数十mも押し返されるという事態が生じています.膨張性地山が原因と考えられていましたが,異常水圧やガスも絡んで地山の強度が低下したと考えられています.鍋立山は,この地すべりの北東にあり,十日町市松代(まつだい)と上越市大島区大島を結んでいます(北緯37度08分28秒,東経138度32度39分).
釜塚・団子差(かまづか・だんごさし)地すべりでは3本の排水トンネルを掘削しています.そのうちの滑落崖に最も近い3号トンネルの水質を分析したところ坑口から700m付近(深度90m程度)を境に排水の水質が劇的に変わりました.水質ヘキサダイヤグラムがロート型に,つまり,陽イオンのナトリウム+カリウムと陰イオンの塩素が極端に多いタイプになります.典型的な化石海水起源の地下水です.この水質は月日が経っても変化せず,地表水とは混合していません.
この高濃度の塩水によって,すべり面付近の間隙水圧は高くなり,間接的に二次・三次の浅い地すべりの発生を助長しています.
小泉良彦氏ほか「国川地すべりの活動特性」
発表者は伊藤克己氏((株)キタック)でした.
国川(こくがわ)地すべりも,釜塚・団子差地すべりと同じく上越市板倉区国川の北西に向いた丘陵斜面で発生した地すべりです.この地すべりの特徴は,活動を始めた崩壊源(上部ブロック)が奥行き約500m,幅約150mであるのに対し,絞り出されるようにして移動した移送堆積域(下部ブロック)は傾斜約2度の緩斜面を約250mも移動したことです.3月8日から9日にかけての下部ブロックの移動量は時速6.7m(15時間で100m)と推定されています.当初はトータルステーションで対応しその後GPSでの観測を行いました.
これに関連してポスターセッションで,畠田和広氏(土木研究所)ほかは,次のような発表を行っています.
国川地すべりが,長距離を高速で移動した要因として,移動土塊の周囲に3mほどの積雪があり,これによって側方を拘束されて最大傾斜方向に移動したこと,移動土塊からの排水が積雪によって阻害されたことを挙げています.
このように高速で移動し,しかも移動体下方に人家があると言う状態で対応を決定するには移動量と移動方向を随時把握することが不可欠と考えられます.雪の塊を載せた土塊の移動の様子を見せてくれましたが,怪物がゆっくりと迫ってくると言う感じでした.
国川地すべりの地質については,地質調査総合センターのウェブサイトに解説記事が載っています.それによると,地すべり地の標高130−140m付近から上方には前期〜中期更新世の礫岩(猿橋層:魚沼層上部に相当)が,それより下方には後期中新世の泥岩(須川層:寺泊層上部〜椎谷層相当層)が分布しています.両者の境界は東南東に−つまり受け盤で−20°以下の傾斜であると推定されています.
その他に,山形県七五三掛(しめかけ)地すべりについての報告が6件ありました.七五三掛地すべりは標高約460mの十王峠付近を頭部とし七五三掛の集落を含んで標高約270mの小網川まで達する大規模な地すべりで,さらにその中が5つのブロックに分かれて活動しています.対策工は集水井を中心に行われていますが,現時点で動きは完全には収束していません.
異常豪雨(30年に1回程度)や地震による斜面災害が,ここ数年増加している印象があります.まず,人の命を失わないこと,そして財産を守ることのためにソフト対策を含めた一層の進歩が求められていると思いました.
28日(火)は道民講演会として北大名誉教授の岡田 弘氏と気象キャスターの菅井貴子さんが,災害を共通テーマとして講演しました.
29日(水)と30日(木)は研究発表会,31日(金)は現地見学甲斐が行われました.参加者は500名ほどで,29日にの晩に行われた意見交換会には300名の方が参加し大いに盛り上がりました.
研究発表会に先立って行われた特別講演では,柴崎達也氏(国土防災技術(株))が「すべり面強度の温度依存性の検証」と題して講演しました.
残留せん断状態での室内せん断試験の結果,温度が高くなると垂直応力に対するせん断応力の比(τ/σN)が小刻みな変動(スティックスリップ)を示すことが分かりました.その他の実験と合わせ考えると低温状態ほどすべり面の強度が低下します.このような温度依存性を示す粘土は,スメクタイトを多量に含有し液性限界が120%を上回るような高塑性粘土だけです.また,温度依存性は,せん断速度0.1mm/min(1日当たりに直すと14cmと少し)以上では認められません.
つまり,ゆっくりと移動していて,すべり面粘土にスメクタイトを豊富に含む地すべりでは,秋から冬にかけて地温が低下する時期に,すべり面強度が低下し地すべりが動き出す可能性があると言うことです.
このようなことを念頭に地すべりの経年変動を見ると,これに当てはまると考えられる地滑りがあることを確かめています.
地すべりの誘因として,豪雨や融雪時の水位上昇が想定されてきましたが,秋口に変動を始める地すべりがあることも確かで,非常に興味深い内容でした.この実験ではせいぜい50度の温度差で,せん断変位の挙動が劇的に変わります.この時,スメクタイトを主とする粘土の中で,どのような現象が起きているのか興味があります.
その他に,北海道立総合研究機構地質研究所の田近 淳氏の「北海道における最近の地すべり」,北見工業大学名誉教授の前田寛之氏の「膨潤性粘土鉱物の成因と地すべり」という講演も行われました.
研究発表は,斜面安定,地すべり機構,調査計測,対策,その他,特別セッション地震地すべりの6つのセッションで行われました.発表数は101件でした.その他に,ポスターセッションとして39の発表がありました.ポスターセッションのコアタイムは,芋の子を洗うような賑わいでした.
私が聴講した中で印象に残った発表について述べます.
佐藤壽則氏ほか「大規模地すべり地に見られる高塩分濃度地下水−新潟県釜塚・団子差地すべりの例−」
発表者は渡部直喜氏(新潟大学 災害・復興科学研究所)でした.
私にとって,これはかなり衝撃的な内容でした.この地すべりは新潟県上越市板倉区の丈ヶ岳(北緯37度00分57秒,東経138度20分22秒)の西方に広がる奥行き,幅とも2km,すべり面深度は地すべり中央付近で137mと言う大規模な地すべりです.地すべり地の地質は,新第三紀中新世の寺泊層上部〜椎谷層に相当する海成堆積岩です.
椎谷層というのは,北越急行ほくほく線鍋立山(なべたちやま)トンネルの約8割を占める地質です.鍋立山では,建設中にトンネルボーリングマシンが切羽から数十mも押し返されるという事態が生じています.膨張性地山が原因と考えられていましたが,異常水圧やガスも絡んで地山の強度が低下したと考えられています.鍋立山は,この地すべりの北東にあり,十日町市松代(まつだい)と上越市大島区大島を結んでいます(北緯37度08分28秒,東経138度32度39分).
釜塚・団子差(かまづか・だんごさし)地すべりでは3本の排水トンネルを掘削しています.そのうちの滑落崖に最も近い3号トンネルの水質を分析したところ坑口から700m付近(深度90m程度)を境に排水の水質が劇的に変わりました.水質ヘキサダイヤグラムがロート型に,つまり,陽イオンのナトリウム+カリウムと陰イオンの塩素が極端に多いタイプになります.典型的な化石海水起源の地下水です.この水質は月日が経っても変化せず,地表水とは混合していません.
この高濃度の塩水によって,すべり面付近の間隙水圧は高くなり,間接的に二次・三次の浅い地すべりの発生を助長しています.
小泉良彦氏ほか「国川地すべりの活動特性」
発表者は伊藤克己氏((株)キタック)でした.
国川(こくがわ)地すべりも,釜塚・団子差地すべりと同じく上越市板倉区国川の北西に向いた丘陵斜面で発生した地すべりです.この地すべりの特徴は,活動を始めた崩壊源(上部ブロック)が奥行き約500m,幅約150mであるのに対し,絞り出されるようにして移動した移送堆積域(下部ブロック)は傾斜約2度の緩斜面を約250mも移動したことです.3月8日から9日にかけての下部ブロックの移動量は時速6.7m(15時間で100m)と推定されています.当初はトータルステーションで対応しその後GPSでの観測を行いました.
これに関連してポスターセッションで,畠田和広氏(土木研究所)ほかは,次のような発表を行っています.
国川地すべりが,長距離を高速で移動した要因として,移動土塊の周囲に3mほどの積雪があり,これによって側方を拘束されて最大傾斜方向に移動したこと,移動土塊からの排水が積雪によって阻害されたことを挙げています.
このように高速で移動し,しかも移動体下方に人家があると言う状態で対応を決定するには移動量と移動方向を随時把握することが不可欠と考えられます.雪の塊を載せた土塊の移動の様子を見せてくれましたが,怪物がゆっくりと迫ってくると言う感じでした.
国川地すべりの地質については,地質調査総合センターのウェブサイトに解説記事が載っています.それによると,地すべり地の標高130−140m付近から上方には前期〜中期更新世の礫岩(猿橋層:魚沼層上部に相当)が,それより下方には後期中新世の泥岩(須川層:寺泊層上部〜椎谷層相当層)が分布しています.両者の境界は東南東に−つまり受け盤で−20°以下の傾斜であると推定されています.
その他に,山形県七五三掛(しめかけ)地すべりについての報告が6件ありました.七五三掛地すべりは標高約460mの十王峠付近を頭部とし七五三掛の集落を含んで標高約270mの小網川まで達する大規模な地すべりで,さらにその中が5つのブロックに分かれて活動しています.対策工は集水井を中心に行われていますが,現時点で動きは完全には収束していません.
異常豪雨(30年に1回程度)や地震による斜面災害が,ここ数年増加している印象があります.まず,人の命を失わないこと,そして財産を守ることのためにソフト対策を含めた一層の進歩が求められていると思いました.

写真1 開会式で檀上に並んだ来賓の方々(右側)と学会役員(左側)

写真2 開会式で挨拶する田近 淳実行委員長

写真3 来賓挨拶をする南 哲行(みなみ・のりゆき)国土交通省砂防部長

写真4 研究発表会の様子
応用地形判読士一次試験の結果 ― 2012/09/19 15:42
応用地形判読士の一次試験の結果が発表になりました.応用地形マスターI級,II級を合わせた合格者は133名で,合格率は29%でした.
最も合格率が良かったのは新潟会場で39%,約4割の受験者が合格し,I級,II級とも2割近い合格率でした.名古屋会場と東京会場ではI級の合格率が1/4程度であるのに対し,II級合格率は1割弱と低いのが特徴です. I級の合格者79名のうち31名が東京会場でした.
試験問題は択一式が基礎知識,専門知識,記述式がA群(平地の地形),B群(山地の地形)と分かれています.百点満点に換算した平均点は,基礎知識が72点,専門知識が71点,A群が48点,B群が57点でした.A群は,臨界低地の微地形と蛇行原(自然堤防帯)の微地形に関する問題でした.B群は,中禅寺湖周辺の地形図読図と岩盤劣化作用を反映した地形について述べる問題でした.
平地の地形についての平均点が低いのは,沖積層調査などでは,あまり地形を読むことをしないためと思われます.沖積低地は戦後急速に人口改変が進んだため,空中写真判読や地形図読図が難しいのは確かです.しかし,米軍が終戦直後に撮影した空中写真や場所によっては昭和10年代に陸軍陸地測量部が撮影した空中写真がありますから,これらを判読することによって原地形の特徴を掴むことができます.
応用地形マスターI級に合格した人は,12月1日(土)に行われる応用地形判読士二次試験受験の受験資格を得たことになります.
合格者数などは,「地質と調査」(全国地質調査業連合会編)の2012年第3号,59-60に載っています.
表1 応用地形判読士 一次試験合格者数
最も合格率が良かったのは新潟会場で39%,約4割の受験者が合格し,I級,II級とも2割近い合格率でした.名古屋会場と東京会場ではI級の合格率が1/4程度であるのに対し,II級合格率は1割弱と低いのが特徴です. I級の合格者79名のうち31名が東京会場でした.
試験問題は択一式が基礎知識,専門知識,記述式がA群(平地の地形),B群(山地の地形)と分かれています.百点満点に換算した平均点は,基礎知識が72点,専門知識が71点,A群が48点,B群が57点でした.A群は,臨界低地の微地形と蛇行原(自然堤防帯)の微地形に関する問題でした.B群は,中禅寺湖周辺の地形図読図と岩盤劣化作用を反映した地形について述べる問題でした.
平地の地形についての平均点が低いのは,沖積層調査などでは,あまり地形を読むことをしないためと思われます.沖積低地は戦後急速に人口改変が進んだため,空中写真判読や地形図読図が難しいのは確かです.しかし,米軍が終戦直後に撮影した空中写真や場所によっては昭和10年代に陸軍陸地測量部が撮影した空中写真がありますから,これらを判読することによって原地形の特徴を掴むことができます.
応用地形マスターI級に合格した人は,12月1日(土)に行われる応用地形判読士二次試験受験の受験資格を得たことになります.
合格者数などは,「地質と調査」(全国地質調査業連合会編)の2012年第3号,59-60に載っています.
表1 応用地形判読士 一次試験合格者数
「歴史の中の大地動乱−奈良・平安の地震と天皇−」 ― 2012/09/19 21:54

1000年以上前の為政者の方が,真剣に庶民のことを考えていたんじゃないだろうか.自然に対する恐れを持っていた分,優れていたんじゃないだろうか.
保立道久著,岩波新書(2012年8月発行)である.
864年に富士山噴火,867年に豊後鶴見岳と阿蘇山で噴火,868年京都群発地震と播磨国地震,869年に陸奥海溝地震(貞観地震津波)と肥後国の地震,871年に出羽鳥海山の噴火,874年薩摩開聞岳の噴火,878年南関東地震,880年に出雲地震と京都群発地震,885年薩摩開聞岳の噴火,886年伊豆新島の噴火,887年南海・東海連動地震,ややおいて915年十和田の大噴火と,まさに大地動乱の時代が9世紀の後半であった.
このような自然の驚異に当時の天皇を初めとした宮廷や庶民がどう対応したか,どんな神話をつくったのかを豊富な資料と知識で解き明かしたのが本書である.日本がヨーロッパなどに比べ後れを取っている文理融合の学術体制を進める糸口としたいという意図もある.
この本を書いた動機は2011年3.11である.そして,長い歴史的視野で見れば,この日本という国土は約600年間隔で大地動乱の時代を経てきている.このような視点から,日本の国をどう造っていくのかを真剣に考える必要がある.
1995年の阪神淡路大震災以来,日本で地震・火山の活動が活発になってきていることは,前から指摘されていることである.日本の国を安心して住むことが出来るようにするには,今,日本人が自然に対して謙虚な態度を取るべきであることを教えてくれる.
家族のもとへ、 あなたを帰す ― 2012/09/27 10:28

地質屋は,津波堆積物の調査を通じて過去に巨大津波があったことを明らかにしてきました.しかし,それが防災に活かされていなかったと言うのが,3.11の教訓の一つだと思います.
副題にあるとおり,東日本大震災で亡くなった方の身元究明に携わった携わった歯科医師たちの証言と著者の解説からなる本です.
3.11で亡くなった方の身元を確定するために,災害発生直後から行動を起こした歯科医師たち.
特に,津波で亡くなった方は,瓦礫にぶつかって遺体が損傷していることが多く,服も身に付いていないことがあり,歯が身元確認の有力な証拠となります.ですから,捜索で見つかった遺体の口を開け,歯の状態をデンタルチャートに記録していくという仕事が大事なのです.この仕事に取り組んだ歯科医師たちには本当に頭が下がります.
身元不明者の数が多いことで日本は特殊な国だそうです.毎年1,000体以上の身元不明者が見つかっていて,2万体以上の死者が「お骨」の状態で引き取り手を待っているという.「歯」による個人識別のシステムが構築されていない日本の現状です.
200ページ少々の本ですが,様々な問題を提起していて重い内容の本です.
副題にあるとおり,東日本大震災で亡くなった方の身元究明に携わった携わった歯科医師たちの証言と著者の解説からなる本です.
3.11で亡くなった方の身元を確定するために,災害発生直後から行動を起こした歯科医師たち.
特に,津波で亡くなった方は,瓦礫にぶつかって遺体が損傷していることが多く,服も身に付いていないことがあり,歯が身元確認の有力な証拠となります.ですから,捜索で見つかった遺体の口を開け,歯の状態をデンタルチャートに記録していくという仕事が大事なのです.この仕事に取り組んだ歯科医師たちには本当に頭が下がります.
身元不明者の数が多いことで日本は特殊な国だそうです.毎年1,000体以上の身元不明者が見つかっていて,2万体以上の死者が「お骨」の状態で引き取り手を待っているという.「歯」による個人識別のシステムが構築されていない日本の現状です.
200ページ少々の本ですが,様々な問題を提起していて重い内容の本です.