改正土壌汚染対策法について ― 2010/04/02 10:37
環境省>水・土壌・地盤環境の保全>土壌>土壌汚染対策法 と辿ると土壌汚染対策法の法,施行令等が出ています.
この中に,「土壌汚染対策法を一部改正する法律による改正後の土壌汚染対策法の施行について」があります.
<http://www.env.go.jp/water/dojo/law/kaisei2009/no_100305002.pdf>
以下,いくつか気の付いた点について述べます.なお,地下水の扱いについては,いろいろと述べられていますので,「施工について」などの条文をじっくり読む必要があります.
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「第1 法改正の経緯及び目的」では,改正の趣旨が述べられています.
それに続いて,「・・自然的原因により有害物質が含まれて汚染された土壌を法の対象とすることとする。」としています.
届出義務の対象となる土地の形質の変更とは「いわゆる掘削と盛土の別を問わず,土地の形質の変更の部分の面積が3000平方メートル以上であれば、届出が義務付けられることとする。」
「土地の形質の変更の内容が盛土のみである場合には、当該盛土が行われた土地が汚染されていたとしても、当該土地から汚染が拡散することはないことから、届出は不要とする((3)参照)。
トンネルの開削の場合には、開口部を平面図に投影した部分の面積をもって判断することとなる。」
地下水汚染の到達距離の概ねの距離が特定有害物質ごとに示されている.
「六価クロムについては、これを三価クロムに還元する方法による措置も考えられ、これは「土壌汚染の除去」に該当するが、現時点では、当該方法による除去の効果の持続性については、技術的に保証されているとはいえないことから、当該措置の実施による要措置区域の解除は、行わないことが妥当である。」
「地下水経由の観点からの土壌汚染がある場合であって、当該土壌汚染に起因する地下水汚染が生じているときは、特定有害物質の種類ごとに土壌溶出量基準の3倍から30倍までの溶出量をもって定められている第二溶出量基準(規則別表第4)に適合するものであるかどうかによって、指示措置の内容を定めることとする(規則別表第5の2の項から6の項まで)。」
「地下水の水質の測定(地下水モニタリング)は、地下水汚染が生じないことを確認するものであることから、措置の期限は定められない。」
「原位置不溶化は、・・土壌溶出量基準に適合する状態となっただけであって特定有害物質が除去されているわけではないことから「原位置での浄化による除去」には該当しない。また、シートによる覆い、覆土、舗装等、地表面からの飛散等の防止のため何らかの措置が必要となる。」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
札幌郊外の早春 ― 2010/04/09 07:18
今年は雪が少なく,いつになく雪が消えるのが早いです.いつもは雪が溶けるとその下からすぐにフキノトウが出てくるのですが,おかしなもので今年は枯れ草色の野原にフキノトウの黄緑が目立ちます.まだ蕾のフキノトウを天ぷらにするとその苦みと,さくさくした歯ごたえに春を感じることが出来ます.

丘珠藤木川と藻岩山
サッポロさとらんどのやや南からの景色.左は雪堆積場.雪が少なかったとは言っても5m ほどの高さに雪が堆積しています.この付近にはキタキツネが住んでいて,一度は子ギツネ4匹を見ました.

篠路新川
モエレ沼から流れ出す川で,古い地図(例えば明治29年の5万分の1)ではこの途中にもう一つの沼があって,モイレ沼と呼ばれていました.今のモエレ沼には名前は付いていませんでした.
この時期あちこちでカモを見ることが出来ます.

札幌大橋と暑寒の山々
暑寒の山々は雪が多く,遅くまで白い姿を見せています.札幌大橋は下流側に新しい橋を造る工事を行っています.

茨戸川と手稲山
川面にはまだ氷が残っています.手稲山のスキー場が白い筋となっています.

石狩川とカニ籠
堤外地(堤防の川側)に残る旧河道とモズクガニを捕るカニ籠です.本流とは狭い水路で繋がっています.

堤防脇の水路
堤防に沿って堤内地(川と反対側)に掘られた水路です.この水路で茨戸川の最上流部と中流部が繋がっています.

札幌軟石の倉庫(1)
東区丘珠町の農家の倉庫です.伏籠川の自然堤防沿いには古い道路があり,古くから人家があったようです.

札幌軟石の倉庫(2)
東区丘珠町丘珠中学校の西側

札幌軟石の倉庫(3)
東区丘珠町丘珠墓地の南側
「ヤンガー・ドリアス期の寒冷化は彗星衝突による」 ― 2010/04/09 11:49
1万5千年前頃から急激な温暖化に向かっていた気候が,1万3千年前頃から急激に寒冷化した.この寒冷化の時期をヤンガー・ドリアス期と呼んでいる.
このヤンガー・ドリアス期は,当時北アメリカのローレンタイド氷床の縁辺部にあったアガシ−湖が決壊して北大西洋に真水(海水に比べ密度が小さい)が大量に流入したため,北上してきた温かな海水が薄められて密度が小さくなり潜り込めなくなって海洋の深層水循環が弱まったことが原因で起こったと考えられてきた.アガシ−湖が決壊した時の水の通路や運ばれてきた礫などが証拠とされてきた.
これに対して,1万3千年前頃,北アメリカに彗星がいくつも落下し,それによって大量のススが発生して寒冷化したという説が唱えられてきた.つまり,K-T 境界と同じ事件がこの時起こったという.そして,黒色の地層がアメリカ各地で発見され,その地層には1)イリジュウムを含む磁性粒子,2)磁性微小球体,3)木炭,4)スス,5)炭素,6)ナノダイヤモンドを含むガラス状様炭素,7)地球外のヘリウムを含むフラーレン,を含まれている.これらは地球外天体の衝突とそれによるバイオマスの燃焼の証拠である.
約12,900年前の黒色の地層は北アメリカの50以上の遺跡で同定されていて,この黒色の地層の上部には絶滅した大型動物の化石やクローヴィス期の人工物は全くない.つまり,この黒色の地層が形成された時期に一大イヴェント(ヤンガー・ドリアス-イヴェント)があったことを示している.
一連の論文やウェブサイトを見る限り,かなり説得力のある説である.
<http://cosmictusk.com/video-clovis-comet-theory>
*ヴィデオでの説明.炭素層の露頭も見ることが出来る.
<http://homepage3.nifty.com/a-kitamura/sanko.htm>
<http://www.pnas.org/content/104/41/16016.full>
*Firestone,R.B. et al.(2007)の12,900年前の大型動物絶滅,ヤンガー・ドリアス期の寒冷化,クローヴィス文化の終焉についての論文(上の2列目のウェブサイト)の日本語訳が掲載されている.
Firestone らの論文では(supporting infomartion(SI))に,黒色の地層の露頭写真を含め詳しい図が載っている.この論文の Fig7に空中写真で見た楕円地形が載っている.この楕円地形は衝撃によって形成されたとされている.グーグルアースで見ると北緯34度40分,西経78度25分から北緯34度50分,西経78度40分にかけて,北西−南東方向にいくつもの湖や楕円地形が分布しているのが分かる.
<http://www.arukazan.jp/bbs/>
*ここで紹介したウェブサイトが載っている.火山,地震,地すべり,洪水などについての質の高い掲示板である.
【END】
改正土壌汚染対策法と自然由来マニュアル ― 2010/04/12 21:22
土壌汚染対策法の改正関連文書
2010年4月1日から改正土壌汚染対策法が施行されました.それにともなう各種文書が公表されています.
<自然由来マニュアル10年3月版>
今回の土壌汚染対策法(土対法)の改正を受けて2010年1月に出された「建設工事に置ける自然由来重金属等含有岩石・土壌への対応マニュアル(暫定版)(案)」の改訂版(自然由来マニュアル)が公表されました.
以下,ざっと目を通した限りでの2010年1月版との違いです.一連の規則,細則などの結果を考慮して書き換えられた物ですが,2010年2月末時点で環境省が明らかにしていた事項を踏まえて書かれているために,不明な点は関係部局への確認が必要であると断っています.実務の上で最も重要と考えられる環境省の「土壌汚染対策法の一部を改正する法律による改正後の土壌汚染対策法の施行について」は3月5日の日付となっています.
(自然由来マニュアル本編)
[ http://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/region/recycle/pdf/recyclehou/manual/sizenyuraimanyu_zantei_honbun.pdf ]
p1:視線由来→自然由来
p5:適用範囲の前までが大きく代わっている.改正土対法の解説が丁寧に書かれている.
p8-9:用語の定義も増えている.
p19:暴露経路は図が入って分かりやすくなっている.
p41:(6)資料の保管が追加されている.
p43:(2)バックグランド値の項に盛土についての記述が追加されている.
p46:表4.8.4元素別分解法が追加された.
p71:図が分かりやすくなっている.
<自然由来マニュアル資料集>
[ http://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/region/recycle/pdf/recyclehou/manual/sizenyuraimanyu_zantei_siryou.pdf ]
p 資料3:2-1条例集.
p 資料6:不溶化処理土壌の評価方法.
p 資料14:参考文献追加
<土壌汚染対策法について(法律、政令、省令、告示、通知)>
[ http://www.env.go.jp/water/dojo/law/kaisei2009.html ]
改正土壌汚染対策法の本文,政令,省令,通知がまとめられています.このほかにパブリックコメントの結果というのがあります.
これらの中では,「○土壌汚染対策法の施行通知等」が最も注意を要する文書だと思います.
【END】
小澤一郎氏の講演「低炭素都市の実現に向けて」 ― 2010/04/27 14:07

2010年4月9日(金)に日本都市計画学会 低酸素社会実現特別委員会 委員長の小澤一郎氏の標記の講演がありました.
小澤氏は東大工学部都市工学科を卒業して旧建設省に入り,都市計画に携わってきました.小澤氏の都市計画に対する考えは,都市計画は社会・経済的施策を地域という空間に統合的に実施するものであると言うことです.
そのために,今は低炭素都市を目指すというのが一つのキーワードであるというのが今回の講演です.
現在,2020年に二酸化炭素排出量を25%削減(1990年比)することが目標となっているますが,そのためには都市・地域の複合的効果,短期・中期の国土計画や都市計画の取り組み,都市規模の政策課題と低炭素化を結合させることが不可欠と,小澤氏は考えています.
海外では,オランダのハーグやロンドンの事例が紹介されました.
国内では千葉県柏市の温暖化条例による町づくり,東京都千代田区の省エネ対策プログラムの展開などが紹介されました.
長野県の飯田市では,公共施設を低炭素エネルギーのセンターとして整備し,そこを中心に半径100m 程度の範囲を一つのまとまりとして,低炭素型地域エネルギーシステムを構築する計画が進行しているとのことです.
飯田の場合,燃料として木質ペレットボイラーと太陽熱の統合システムによって50%以上の炭素削減を目指しています.飯田の周辺には木材は豊富であること,太陽熱による給湯システムはローテクであるため飯田くらいの町であれば町工場で製作が可能であること,と言った利点を利用できます.
地域の将来像を共有しながら地域の経済が活性化する(実利が得られる)方法を見つけ出すことが重要と言うことでした.
*非常に興味深い講演でした.日本には街路計画はあっても都市計画はないのではと思っています.ですから,飯田市のような試みが成功して全国に広がり,落ち着いた住みやすい町のネットワークができたらと思います.