本の紹介:夢がつむぐ童話集2021/10/06 20:03

夢がつむぐ童話集

文と絵 高口啓三、夢がつむぐ童話集。デザインエッグ社、20217月(第2版)

 

 不思議な童話です。

 命とは何か。生命の始まりから命がどのようにつむがれてきたのかを童話として表現しています。それぞれのお話の主人公は、ホシムクドリであったり、細胞であったり、炭素原子であったり、カイギュウであったりしますが、お話の進行に子供たちが登場します。

 細胞から宇宙までの命のつながりが分か内容となっています。

 

 著者の高口さんは、北海道の高校で理科の教員を務めていました。それで、子供たちに自然科学や環境問題について興味を持ってもらいたいと思い、この童話を書いたと「あとがき」で述べています。

 それぞれのお話の扉に描かれている絵も高口さんが書いたものです。なかなか味のある絵です。

 

 アマゾンで買うことが出来ます。一度手に取ってみて損は無い本です。

 

アポイ岳2021/10/11 11:08

 2021108日、何年かぶりにアポイ岳に登ってきました。

 

 前の日は浦河町西幌別の国道336号脇にある「きむら旅館」に泊まりました。工事関係者に人気の宿のようで、たまたまこの日は空いていたので泊まることが出来ました。外から見るとかなり古ぼけていますが、中は改装をしたばかりのようできれいです。値段が手頃で、料理の味が良く、品数も豊富で、食べきれないくらいです。

 

 8日は9時半前に上り始めました。ゆっくり登って11時半に五合目に着きました。

 しばらく休んで午後1時に「馬の背」に到着。暑くもなく寒くもなく風もなく気持ちの良い天気です。ここで昼ご飯をゆっくりと食べ、山のコーヒーを飲み、頂上へは行かず、午後2時過ぎに降り始めました。

 帰りもゆっくりと歩いて午後5時前に登山口に着きました。少し暗くなりかけていましたが、なんとか無事戻ってきました。

 

砂岩

写真1 砂岩の露頭

 標高120m付近の登山道脇の露頭で、5万分の1地質図「浦河」では岡田ユニットの含礫泥岩・砂岩・砂岩泥岩互層となっています。見かけから判断すると砂岩のようです。岡田ユニットというのは後期白亜紀の日高帯・イドンナップ帯の付加コンプレックスです。

 今回は転石も含め、石は一切たたいていません。

 

平坦斜面

写真2 平坦な斜面

 標高140m付近の登山道がまっすぐな平坦な斜面です。浦河図幅では中位段丘堆積物としています。

 

かんらん岩

写真3 かんらん岩露頭

 標高210m付近にかんらん岩の露頭が現れます。かなり緩んでいて、分離した岩塊や開口した不連続面が見られます。冬島川の東側支流の上流の沢の手前です。

 

山麓緩斜面堆積物

写真4 山麓緩斜面堆積物

 標高240m付近の登山道脇で見られる堆積物で、角礫とシルト質粘性土から構成されています。西の冬島川と東のコトニ川に挟まれた斜面には、斜面形状から判断して山麓緩斜面堆積物が分布していると考えられます。

 

5合目から頂上

写真5 5合目からの頂上

 5合目から見た頂上です。頂上付近のカバ類はすでに葉を落としています。

 

5合目から7合目

写真6 5合目から7合目と「馬の背」

 中央の一番高い尾根が7合目で、そのすぐ右に馬の背の広場があります。

 

かんらん岩

写真7 5合目のかんらん岩

 

蛇紋岩化

写真8 蛇紋岩化したかんらん岩

 割れ目に沿って蛇紋岩化した濃緑色の部分があり、白色のロジン岩(多分)が形成されています。登山道の標高460m付近です。

 

マグネシウムかんらん岩

写真9 マグネシウムに富むかんらん岩

 標高520m付近の登山道に露出しているかんらん岩です。

 

はんれい質岩

写真10 はんれい岩質岩の転石

 登山道に落ちている、はんれい岩質岩の転石です。一目でかんらん岩とは違う顔つきをしていることが分かります。白色の部分は斜長石、黒色の部分はかんらん石や輝石です。斑糲岩の糲は玄米のことで、黒色鉱物の中に白い斜長石の結晶が米粒のように散らばっていることから名付けられたと言います(久城ほか編、1989106p)。この転石は、そんな風には見えないですが。

 

互層

写真11 かんらん岩とはんれい岩の「互層」

 風化に強いはんれい岩の薄い層が飛び出し、かんらん岩の部分がへこんでいます。7合目と馬の背の中間付近です。このような「互層」は6合目から7合目にかけてよく見ることができます。

 

馬の背から頂上

写真12 馬の背から西を見る

 馬の背の広場から西を見た風景です。尾根の左にエンルム岬、親子岩が見えます。

 

馬の背から頂上

写真13 馬の背から頂上を見る

 頂上は雲に覆われたり晴れたりしています。

 



コンプレッションタイツ2021/10/12 10:40

 山登りで下山する段になると足が攣って困っていました。特に夏場は汗もかくので大量の水を持ち、塩熱サプリを持って登っていました。それでもダメで、帰りの車の運転がつらいのです。

 

 そこでコンプレッションタイツと言うのを使ってみました。

 効果てきめん。下山時に足が攣ることも無く、翌日の筋肉痛もほとんど無くなりました。

 

 これは良いものだと思い少し調べたら、コンプレッションタイプ、サポートタイプ、防寒タイプなど、現場作業をする人向けの色々なタイツがあることが分かりました。値段も2,000円くらいからあります。

 

 地質踏査は、ずっと歩き続ける訳ではないので足が攣るということはありませんが、移動速度が上がるし疲れも少ないので効率は上がるだろうと思います。

 

 少しでも身体への負担を減らして、少しでも長く山を歩き続けたいと思いました。

 

 ちなみに私が買ったのは、ゴールドウィンで発売している「アドバンス カーゴ ロング タイツ」というやつで本体価格7,000円でした。



2021年 北海道森林マラソン in 白旗山2021/10/18 15:17

 今年最後の走りは、札幌市の白旗山でした。

 


コース図

図 白旗山の7kmコース(TrailNoteによる)

 スタートしてすぐ少し下りますが、その後は上り下りを繰り返しながら3.8kmの折り返し点に向かいます。ここからは、ほぼ下りでゴールに向かいます。

 折り返してからのコースは、札幌国際スキーマラソンの50kmコースですので、景色は違いますが懐かしく思い出しながら走りました。スキーマラソンでは、この辺りと羊ヶ丘の北海道農業研究センターの圃場に出てからの最後の数kmが一番楽しい区間でした。

 

 白旗山競技場はスキーのクロスカントリーのために造られた競技場で、2007年のノルディックスキー世界選手権に合わせて整備されたと記憶しています。この大会では、札幌ドーム内に雪を運び込んでクロスカントリースキーのコースを造り、屋外とつなげてスプリントが行われました。

 このコースが、クロスカントリースキーコースとして整備される前にランニングのクロスカントリー大会があり、出た記憶があります。この頃は、スキー場のゲレンデを走るクロスカントリー走大会が結構ありました。



小学生たち

写真 スタートした小学生たち

 グランドを3/4周して森の道に向かう小学生たちです。思いっきりのスピードで走っています。右に見える建物が管理塔です。グランドの中はサッカーコートになっています。怪しげな雲が見えますが、雨は降らず快適な天気でした。

 

 競技場の管理棟の前に1500mのグランドがあり、ここをスタートして森の中の道を走ります。クロスカントリースキーのコースなので道幅は広いのですが、下は採石が敷かれた所がほとんどで、あまり走りやすいとは言えません。おまけに、この時期は落ち葉が敷き詰められた状態になっていて地面の状態がよく分かりません。特に下りでは下手をすると足首を捻ります。

 

 前日は、夜中まで結構な雨が降っていて、しかも寒くなり、どうなることかと心配しましたが、スタートの時点では日が差して暖かくなりました。一応350ミリリットルの水と塩熱飴を持って走りましたが使わずに済みました。1リットルほど水を飲んだ夏の大会とは大分条件が違います。

 なんとか1時間以内でゴールしたかったのですが、1分弱遅れてしまいました。

 

最後に。

 今回ネットで申し込んだのですが最後に参加料の決済ボタンを押さず、参加登録されていませんでした。完全に私の不手際でしたが、大会事務局の方に丁寧に対応して頂いて参加することが出来ました。

 大会事務局および株式会社札幌スキッド(005-0003 札幌市南区澄川35丁目2-5 TEL011-842-2730)の方々に感謝です。

 

 今年はカムイの杜、手稲、白旗山と三つの大会に出ました。藻岩山のヒルクライムは中止になりました。道路を走る大会は東京オリンピックのマラソンコースを走る大会が直前に中止になったのをはじめ、ほとんどありませんでした。

 この冬のシーズンのクロスカントリースキーの大会から順調に開催されると良いのですが。

 

 

 


本の紹介:宇宙の終わりに何が起こるのか2021/10/24 20:56

宇宙の終わりに

ケイティ・マック、吉田三知世訳、宇宙の終わりに何が起こるのか。講談社、20219月。

 

 現在、最新の観測データと矛盾しない宇宙の終わりのシナリオは、1)ビッグクランチ、2)熱的死、3)ビッグリップ、4)真空崩壊,5)ビックバウンスの五つです。それぞれについて最新の科学的成果をもとに述べています。

 

 こういう理解で良いのか不安な所がありますが、概要を述べます。

 

 ビッグクランチ(Big Crunch)というのは、宇宙が急激な収縮を起こして潰れてしまう現象です。銀河までの距離と年齢と赤方偏移から宇宙が加速度的に膨張していることが明らかにされました。この宇宙の膨張が反転すると、最後に宇宙空間は高温プラズマで満ちて物質が完全に分解されます。

 

 熱的死というのは、宇宙が膨張を続けエントロピーが増大して、あらゆる活動が停止する現象です。ここでは宇宙定数、ダークエネルギーなどが説明されます。

 

 ビッグリップ(Big Rip)は、ダークエネルギーの一つである「ファントムエネルギー」によって宇宙がズタズタに引き裂かれる現象です。「宇宙の距離はしご」、「状態方程式のパラメーター」(ω)などが説明されます。

 

 真空崩壊は、現在「偽の真空」にとどまっているヒッグス場が「真の真空」へ転がり落ちていく現象です。この辺りの話になるとヒッグス場とか量子トンネルとか、何を言っているのかほとんど分かりません。イメージとしては分かる気もしますが。全てが一瞬で消滅するので、痛さも痒みも感じることが出来ないのが真空崩壊です。真空崩壊は、理屈の上では起こる確率は天文学的に低いけれども「いつでも起こる可能性がある」という点で特殊です。

 

 ビックバウンス(Big Bounce)は、宇宙が「特異点」で跳ね返り、収縮と膨張を何度も繰り返す現象です。宇宙は、三次元の空間と時間という四次元の世界ですが、その外側に「大きな余剰次元」が存在し、我々が認識している宇宙は一つのブレーンの上に存在しています。このようなブレーンが、より広大な時空の中に含まれていて、他にもいくつものブレーンがあり宇宙があります。これらのブレーンが相互作用をして収縮と膨張を繰り返します。

 

 標準宇宙論模型には、放射、通常の物質、ダークマター、宇宙定数の形のダークエネルギー(Λ)の四つの基本要素があります。さらに宇宙の極初期にインフレーションと呼ばれる急激な膨張がありました。しかし、インフレーションが、どうやって始まったのか分かっていません。ダークマターが何なのか、宇宙定数がなぜ存在するのか分かっていません。


 素粒子物理学の標準模型には陽子と中性子を造っている「クォーク」、ニュートリノと「レプトン、「ゲージ粒子」が含まれています。ここでもダークマターやダークエネルギーについて何も言えないし、パラメーターがきっちり正しい値でないと全てが台無しになる個所があります。

 

 現在の科学の到達点に立っても宇宙の終わりに何が起こるのか、はっきりとしたことは言えないというのが、現段階での到達点のようです。

 宇宙理論にしても素粒子理論にしても、まだまだ分からないことが多く魅力的な学問分野であることが良く分かる内容となっています。