本の紹介:新型インフルエンザ ― 2020/04/30 16:27
山本太郎,新型インフルエンザ-世界がふるえる日-.岩波新書.2006年(電子書籍版,2011年1月.2009年6月の第三刷をもとに編集・作成.)
目次は次のとおりです.
プロローグ—渡り鳥の死
第1章 今私たちの住む世界—「適切な危機感」を共有するために—
第2章 歴史のなかのインフルエンザ—経験・記憶・対策—
第3章 ウイルスとの共生を考える医学へ—生態系の中で—
第4章 新型インフルエンザにどう対応するか—国境を越えて—
エピローグ—もう一つの世界
インフルエンザについての基礎的な知識からインフルエンザの歴史,そして今後起こりうる事態について述べています.
エピローグでは,架空の新型インフルエンザ拡大の様子が描かれています.
アジアのある国で鳥インフルエンザに由来すると思われる患者群が報告されたところから,世界的な流行へと発展します.
WHO を中心に世界の医療関係者が封じ込め対策に奔走します.方法は,全世界から抗ウイルス薬を集めて発生地から30km圏内の人に抗ウイルス薬を投与して拡大を防ぐというものです.しかし,封じ込めに失敗し世界各地に感染が拡大していきます.死者の数は,1億2千2百万人でした.
しかし,初期の封じ込めによってインフルエンザの世界的な流行を二ヶ月遅らせたことで,2千万人以上の命が救われました.
下に示したのは,本書に出ている図をもとに18世紀以降のインフルエンザなどの世界的流行を年代順に示したものです.
--------------------------------------
1700年以降のインフルエンザなどの世界的流行:( )内は発生間隔
*死者数は,いろいろな数値が公表されています.
1729年:ヨーロッパ,北米,ロシア.
(52年)
1781年:ヨーロッパ,北米,ロシア,インド,中国.
(49年)
1830年:ヨーロッパ,北米,ロシア,インド,中国.
(59年)
1889年:全ての国.
(29年)
1918年:スペイン風邪.N1H1インフルエンザウイルス.死者4,000万人以上.
(39年)
1957年:アジア風邪.H2N2インフルエンザウイルス.約200万人の死者.
(11年)
1968年:香港風邪.H3N2インフルエンザウイルス.約100万人の死者.
(35年)
1977年:ソ連風邪.H1N1インフルエンザウイルス.全ての国.
(9年)
2003年:SARS(重症急性呼吸器症候群).死者774人(厚労省,2003年12月31日時点)
<2006年:この本の出版>
(6年)
2009年:メキシコ,アメリカ・カリフォルニアで新型インフルエンザ.死者18,000人以上.
(3年)
2012年:MERS(中東呼吸器症候群).死者858人(厚労省,2019年11月末まで)
(8年)
2020年:新型コロナウイルス(SARS-CoV-2).COVID-19,死者202,597人(WHO,2020年4月28日)
--------------------------------------
今回の新型コロナウイルスによる死者は,全世界で22万人(2020年4月30日:ジョンズ・ホプキンス大学)を超え,日本では389人(2020年4月29日:ジャッグジャバン株式会社)になりました.長期戦の構えで,本気で対策に取り組まないと大きな被害が出るように思います.
この本は,過去の教訓を学ぶという点で,非常に有益な内容となっています.
目次は次のとおりです.
プロローグ—渡り鳥の死
第1章 今私たちの住む世界—「適切な危機感」を共有するために—
第2章 歴史のなかのインフルエンザ—経験・記憶・対策—
第3章 ウイルスとの共生を考える医学へ—生態系の中で—
第4章 新型インフルエンザにどう対応するか—国境を越えて—
エピローグ—もう一つの世界
インフルエンザについての基礎的な知識からインフルエンザの歴史,そして今後起こりうる事態について述べています.
エピローグでは,架空の新型インフルエンザ拡大の様子が描かれています.
アジアのある国で鳥インフルエンザに由来すると思われる患者群が報告されたところから,世界的な流行へと発展します.
WHO を中心に世界の医療関係者が封じ込め対策に奔走します.方法は,全世界から抗ウイルス薬を集めて発生地から30km圏内の人に抗ウイルス薬を投与して拡大を防ぐというものです.しかし,封じ込めに失敗し世界各地に感染が拡大していきます.死者の数は,1億2千2百万人でした.
しかし,初期の封じ込めによってインフルエンザの世界的な流行を二ヶ月遅らせたことで,2千万人以上の命が救われました.
下に示したのは,本書に出ている図をもとに18世紀以降のインフルエンザなどの世界的流行を年代順に示したものです.
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1700年以降のインフルエンザなどの世界的流行:( )内は発生間隔
*死者数は,いろいろな数値が公表されています.
1729年:ヨーロッパ,北米,ロシア.
(52年)
1781年:ヨーロッパ,北米,ロシア,インド,中国.
(49年)
1830年:ヨーロッパ,北米,ロシア,インド,中国.
(59年)
1889年:全ての国.
(29年)
1918年:スペイン風邪.N1H1インフルエンザウイルス.死者4,000万人以上.
(39年)
1957年:アジア風邪.H2N2インフルエンザウイルス.約200万人の死者.
(11年)
1968年:香港風邪.H3N2インフルエンザウイルス.約100万人の死者.
(35年)
1977年:ソ連風邪.H1N1インフルエンザウイルス.全ての国.
(9年)
2003年:SARS(重症急性呼吸器症候群).死者774人(厚労省,2003年12月31日時点)
<2006年:この本の出版>
(6年)
2009年:メキシコ,アメリカ・カリフォルニアで新型インフルエンザ.死者18,000人以上.
(3年)
2012年:MERS(中東呼吸器症候群).死者858人(厚労省,2019年11月末まで)
(8年)
2020年:新型コロナウイルス(SARS-CoV-2).COVID-19,死者202,597人(WHO,2020年4月28日)
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今回の新型コロナウイルスによる死者は,全世界で22万人(2020年4月30日:ジョンズ・ホプキンス大学)を超え,日本では389人(2020年4月29日:ジャッグジャバン株式会社)になりました.長期戦の構えで,本気で対策に取り組まないと大きな被害が出るように思います.
この本は,過去の教訓を学ぶという点で,非常に有益な内容となっています.