野幌原始林 ― 2020/04/14 14:15
札幌の東に広がる野幌(のっぽろ)原始林は,今,フクジュソウとミズバショウが見頃です.
4月13日(月),あまり天気が良いので自転車で出かけました.家から原始林の大沢口まで約1時間ほどです.
その昔,原始林クロスカントリースキー大会は,大沢口を発着点としていました.今回は,その10km のコースを逆に廻りました.遊歩道には雪は全くありませんでした.
大沢口ではキツツキが木を叩く音が響いていました.姿を見ることは出来ませんでした.遊歩道の道ばたにはフクジュソウやエゾエンゴサクが,湿地にはミズバショウが花を咲かせていました.小さな流れの中でカモの夫婦が,人を気にすることなく水の中の餌をついばんでいました.
野幌原始林の周回遊歩道
大沢口から反時計回りに廻りました.約10kmになります.南の直線道路は車も通る舗装道路でずっと下り坂です.東側の遊歩道は緩い上り下りがあります.荻野沢貯水池付近が最も標高が低く約20m です. 大沢貯水池付近が標高25mくらいで,大沢口の標高約60m まで,ほぼ登りが続きます.
花の名前のある場所は,反時計回りでその花に最初に出会った場所です.
写真1 豊平川と札幌西部山地
雁来大橋から西を望む.一番左に恵庭岳,右へ空沼岳,狭薄山,札幌岳,藻岩山,砥石山,白い頭が見える無意根山,神威岳,百松沢山と連なっています.さらに右には手稲山があります.
写真2 遊歩道の様子
遊歩道は,ほぼ乾いていてぬかるんだところは,ほとんどありません.ようやく柳の芽が出始めたところで,緑になるのはまだです.
写真3 ミズバショウ
満開の花もあります.標高の高いところでも湿地には咲いています.東側の沢では一面に咲いているところもあります.
写真4 フクジュソウ
日当たりの良い道路脇に群落をつくっています.お日様に顔を向けているのが健気に見えます.
写真5 エゾエンゴサク
今回は一箇所だけで見ることが出来ました.
写真6 ミズバショウとフクジュソウ
こんな風景も見られました.大沢貯水池上流の沢です.
写真7 ミズバショウの群落
沢一面にミズバショウが咲いていました.写真6とほとんど同じ場所です.
写真8 多分エゾサンショウウオの卵
一生懸命探しましたが,この一箇所だけでした.
写真9 カモの夫婦
遊歩道で散歩中の人が見ていましたが,全く気にする様子もなく一心に水に顔を突っ込んで何かを食べていました.
写真10 帰りの雁来大橋
日が暮れかかって雲が出て風が冷たくなってきました.
自宅から野幌原始林を廻って帰ってきた総距離は40km でした.最後は尻が痛くなって自転車を押して歩きました.
思った以上に人が歩いているのにビックリしました.多分,賢い「コロナ対策」だと思います.大沢口の駐車場は,ほぼ一杯でした.公共交通に乗らず野外に出て遊ぶのが一番の予防になるでしょう.
そんなことを考えると、市内の公園は前倒しでトイレを開放して思い切り遊べるようにして欲しいです.
熱海市の姫の沢公園 ― 2020/04/15 18:00
東海道線・熱海駅の北西に十国峠(日金山:ひがねさん.標高771m)があります.熱海駅前から十国峠行きのバスに乗って姫の沢公園で降ります.ここから十国峠まで,簡単なアスレチック施設のある遊歩道がついています.アスレチックは全部で40基あり,一巡するとかなり体力を使います.姫の沢公園入口付近は標高450mほど,峠の広場は標高750m ほどですから300m を登ることになります.
写真1 姫の沢公園入口のガイドマップ
この図の下の中央付近が入口です.この日は橙色の A コースをたどり,A ・B コース合流を登って左上の峠の広場まで行きました.帰りは 青色のB コースを下って姫の沢公園のバス停から帰りました.サクラが少し咲いている程度でしたが,十分楽しめました.
写真2 こんな遊具が(ちから時計)
遊び方はいろいろでしょうが,こんな風にして遊びました.長針と短針になっています.( )内はガイドマップに載っている遊具の名前です.
写真3 ヒノキ林の中を歩く
A コースの下の方はヒノキの植林の中を歩きます.遊歩道の脇に遊具があります.
写真4 登って移動して降りる(忍法城壁登り)
簡単な遊具ですが油断すると真っ逆さまに落下します.幸い下が柔らかいので落ちても怪我はしません.
写真5 鎖のうんてい(カラ巣)
背の小さい子にはちょっと厳しいです.揺れるので腕の力も必要です.
写真6 綱伝いと横棒渡り(オラウータンと丸太の歩道橋)
「ねむの広場」と名前が付いている広い場所に遊具が並んでいます.背後は伊豆の山々です.
写真7 展望台(火の見やぐら)
風はちょっと冷たいですが快晴です.真鶴岬,大島が一望です.
写真8 十国峠手前から富士山
峠の広場から十国峠に向かうと実朝の歌碑の先で富士山がくっきりと姿を現します.ちょっと感動します.
この日は風が強かったので,十国峠の手前でお弁当を食べて降りてきました.遊具はまだまだあります.
写真9 早咲きのサクラ
公園入口の反対側に咲いていたサクラです.ヒメノサワザクラというのがありますので,それかもしれません.帰りのバスは20分ほど遅れてきました.車はいくらでも通るけど人は見かけないので,ちょっと心細くなりました.
城ヶ島 ― 2020/04/17 14:54
神奈川県・三浦半島の先端にある城ヶ島は,東西に長い島で南側の海岸は全面岩盤が露出しています.
岩盤を構成する地質は,中新世から鮮新世の三崎層(深海堆積物:約1,200万年前~440万年前)と初声層(はっせそう:陸源堆積物;440万年前~400万年前)です.その上に関東ローム層が載っています.
地形的には,島のてっぺんに広く分布する平坦面は,約8万年前に隆起して離水した三崎面で,急崖の下に約7,000年前に離水した沼 I 面と約5,000年前に離水した沼 II 面があります.1923(大正十二)年9月1日に起きた大正関東地震で,島は1.6m ほど隆起したとされていてます.
(参考:日本地質学会 地学教育委員会編,2010,地質リーフレットたんけんシリーズ 城ヶ島探検マップ-深海から生まれた城ヶ島-)
2020年3月20日に出かけました. 京浜急行・久里浜線の終点,三崎口駅からバスに乗って30分ほどで城ヶ島に着きます.1960年に開通した長さ575mの城ヶ島大橋を渡ります.この日は快晴で,橋から富士山がはっきりと見えました.
風が強く,吹き飛ばされそうでしたが島の南側に行くと風が弱くなり,それほど気にならなくなりました.
写真1 城ヶ島大橋から西を見る
富士山がくっきりと見えました.
写真2 島の北北西の灘ヶ崎
猛烈な風が吹き付けてきます.地層は三崎層で凝灰岩主体です.左が南です.
写真3 潮だまりのカニ
海は大波ですが,潮だまりにはカニ,ヤドカリ,アメフラシ(ウミウシ)がいて結構楽しめました.
写真4 南海岸の三崎層
ここでは,地層の傾斜は南へ30℃ほどになっています.
写真5 初声層と馬の背洞門
この付近から東の海岸には初声層が露出しています.遠くの洞が馬の背洞門で大正関東地震前は,その足下は波に洗われていたそうです.
写真6 高台から馬の背洞門
標高約30m の三崎面から馬の背洞門が,遠くに房総半島が見えます.
帰りのバスは渋滞で,三崎口駅まで約1時間かかりました.すっかり日が暮れて夕焼け空に富士山がシルエットをつくっていました.
お土産は拾った貝殻.その中で,20cmくらいのホラガイが収穫でした.
本の紹介:岩田健太郎,新型コロナウイルスの真実 ― 2020/04/25 14:37
新型コロナウイルスの感染者が出て横浜港に停泊していたダイヤモンド・プリンセス号に乗船して船内の様子をユーチューブで公開した感染症専門医の書いた本です.
ウイルスというのは「他の生物の細胞の中に入らないと生きていけない微生物」という「ざっくり」とした定義から始まって,感染症対策のイロハ,ダイヤモンド・プリンセスで起こっていたこと,日本の新型コロナ対策,これからも起こるであろう感染症に向き合う心構えについて述べています.
感染症に対してどう行動すれば良いのかを知ることが出来ます.今回の新型コロナウイルスでは手指(しゅし)にウイルスが付いているという前提で,手指を消毒することが肝と述べています.
また,感染症があぶり出した日本社会の悪弊も見えてくる内容になっています.状況に応じて対応を変えられないと言うことです.
全てに納得できる訳ではありませんが,「不寛容に対しては,絶対に不寛容であるべきです」という言葉には納得です.
新型コロナウイルスの毎日の感染者は,全国で見ると2020年4月15日くらいを境に減少しているように見えます(都道府県別新型コロナウイルス感染者数マップ(ジャッグジャパン株式会社提供):https://gis.jag-japan.com/covid19jp/ のデータによる).このまま推移すると5月の中旬には一度収まるかもしれません.ゴールデンウィークにどの程度,感染を抑えられるかが鍵になりそうです.
しかし,一度収まった北海道で再び感染者が増えているように,何回かぶり返すのだろうと思います.
精神面も含めて健康に生活することが,いま特に重要と思います.
本の紹介:新型インフルエンザ ― 2020/04/30 16:27
目次は次のとおりです.
プロローグ—渡り鳥の死
第1章 今私たちの住む世界—「適切な危機感」を共有するために—
第2章 歴史のなかのインフルエンザ—経験・記憶・対策—
第3章 ウイルスとの共生を考える医学へ—生態系の中で—
第4章 新型インフルエンザにどう対応するか—国境を越えて—
エピローグ—もう一つの世界
インフルエンザについての基礎的な知識からインフルエンザの歴史,そして今後起こりうる事態について述べています.
エピローグでは,架空の新型インフルエンザ拡大の様子が描かれています.
アジアのある国で鳥インフルエンザに由来すると思われる患者群が報告されたところから,世界的な流行へと発展します.
WHO を中心に世界の医療関係者が封じ込め対策に奔走します.方法は,全世界から抗ウイルス薬を集めて発生地から30km圏内の人に抗ウイルス薬を投与して拡大を防ぐというものです.しかし,封じ込めに失敗し世界各地に感染が拡大していきます.死者の数は,1億2千2百万人でした.
しかし,初期の封じ込めによってインフルエンザの世界的な流行を二ヶ月遅らせたことで,2千万人以上の命が救われました.
下に示したのは,本書に出ている図をもとに18世紀以降のインフルエンザなどの世界的流行を年代順に示したものです.
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1700年以降のインフルエンザなどの世界的流行:( )内は発生間隔
*死者数は,いろいろな数値が公表されています.
1729年:ヨーロッパ,北米,ロシア.
(52年)
1781年:ヨーロッパ,北米,ロシア,インド,中国.
(49年)
1830年:ヨーロッパ,北米,ロシア,インド,中国.
(59年)
1889年:全ての国.
(29年)
1918年:スペイン風邪.N1H1インフルエンザウイルス.死者4,000万人以上.
(39年)
1957年:アジア風邪.H2N2インフルエンザウイルス.約200万人の死者.
(11年)
1968年:香港風邪.H3N2インフルエンザウイルス.約100万人の死者.
(35年)
1977年:ソ連風邪.H1N1インフルエンザウイルス.全ての国.
(9年)
2003年:SARS(重症急性呼吸器症候群).死者774人(厚労省,2003年12月31日時点)
<2006年:この本の出版>
(6年)
2009年:メキシコ,アメリカ・カリフォルニアで新型インフルエンザ.死者18,000人以上.
(3年)
2012年:MERS(中東呼吸器症候群).死者858人(厚労省,2019年11月末まで)
(8年)
2020年:新型コロナウイルス(SARS-CoV-2).COVID-19,死者202,597人(WHO,2020年4月28日)
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今回の新型コロナウイルスによる死者は,全世界で22万人(2020年4月30日:ジョンズ・ホプキンス大学)を超え,日本では389人(2020年4月29日:ジャッグジャバン株式会社)になりました.長期戦の構えで,本気で対策に取り組まないと大きな被害が出るように思います.
この本は,過去の教訓を学ぶという点で,非常に有益な内容となっています.