安倍首相の憲法観2013/07/07 12:31

 大学で,それなりに勉強してきた人間として看過できない発言だと思います。

 安倍首相は,2013年7月3日,日本記者クラブでの9党首討論会で次のように述べました。

福島民主党党首:「私は憲法は国家権力を縛るものだと思っています。立憲主義です。総理はこれに同意をされますか。もし同意をされるとすれば、自民党の憲法改正案はこれに則ったものでしょうか」

安倍首相:「まず、立憲主義については、『憲法というのは権力を縛るものだ』と、確かにそういう側面があります。しかし、いわば全て権力を縛るものであるという考え方としては、王権の時代、専制主義的な政府に対する憲法という考え方であってですね、今は民主主義の国家であります。その民主主義の国家である以上ですね、同時に、権力を縛るものであると同時に国の姿についてそれを書き込んでいくものなのだろうと私達は考えております」

(以上二つの発言は,「ビデオニュース・ドットコム ニュースコメンタリー(2013年07月06日」の記事より)

 この発言で分かることは,安倍自民党は日本を「本来の意味での憲法」を持たない国にしようとしていると言うことです。
 「国の姿についてそれを書き込んでゆく」というのは,国防軍を持つと言ったことのほかに,
 「(国民の責務)第12条 ・・自由および権利には責任および義務が伴うことを自覚し,常に公益および公の秩序に反してはならない。」とか
 「第24条 家族は,社会の自然かつ基礎的な単位として,尊重される。家族は,互いに助け合わなければならない。」
と言う国民を縛る文言が,自民党の憲法改正草案に書き込まれていることを指していると考えられます。

 憲法改正の発議は国会議員であれば誰でもでき,両院それぞれの過半数の賛成で議決できるという規定(自民党憲法改正草案 第100条)も,この流れで見ると良く理解できます。

 憲法が,憲法でなくなるという,近代国家として初めての試みをしようとしているようです。