「はやぶさ」が帰ってくる! ― 2010/06/07 16:16
小惑星イトカワにタッチダウンして試料採取を試みた小惑星探査機「はやぶさ」が、6月13日午後11時頃に大気圏に突入しオーストラリアのウーメラ沙漠へ着陸する軌道修正に成功しました。「はやぶさ」本体は大気圏突入の際に上空で燃え尽き、着陸カプセルだけが回収されます。
小惑星の試料を手にすることの意義は次のように考えられています。
<http://www.isas.jaxa.jp/j/enterp/missions/hayabusa/object.shtml>
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なぜ小惑星をめざすのか
私たち人類がこれまでサンプルを採取したことのある地球以外の天体は月だけです。しかし9つの惑星や月のように大きな天体は変成してしまったため、太陽系の初期のころの物質について知ることができません。小惑星は惑星が誕生するころの記録を比較的よくとどめている化石のような天体だといわれています。そこで、小惑星からサンプルを持ち帰る技術が確立されれば、「惑星や小惑星を作るもとになった材料がどんなものであったか」「惑星が誕生するころの太陽系星雲内の様子がどうであったのか」についての手がかりを得ることができます。」
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火星軌道と木星軌道の間にある小惑星帯からは多くの隕石が地球に到達し、研究されてきました。しかし、試料由来位置のはっきりしているものではないこと、地球大気との接触で変質していること、といった問題がありました。「はやぶさ」が試料を持ち帰ってくれば、このような問題のない試料が手に入ることになります。「太陽系の化石」と言われる小惑星の試料は、太陽系の起源について新たな知見をもたらす可能性が大きいと言えます。
小惑星イトカワでの試料採取は、ラッパ型の採取装置をイトカワの表面に維持して金属球を打ち込み、その衝撃で飛び散った破片を採取装置に回収するという方法です。ただし、これがうまくいったという確証は得られませんでした。それでも、探査機の着陸時の衝撃で舞い上がった微粒子が採取された可能性があります。
月の石、ビルト第二彗星のチリについで、3回目の地球以外の天体の試料が手に入る可能性があります。
これまで、満身創痍で奮闘してきた「はやぶさ」が燃え尽きるのは非常に残念です。
【END】