2019年 地団研北海道支部 特別講演会 ― 2019/04/15 17:21
2019年4月14日(日),午後2時から札幌市宮の沢にある「ちえりあ」で地学団体研究会・北海道支部の総会と特別講演会が開かれました.

写真1 総会であいさつする岡村 聡・支部長
特別講演会は,山岸宏光氏(北海道総合地質学研究センター)の「2018年9月6日北海道胆振東部地震による斜面災害-今日までの災害との比較」でした.
<山岸氏の講演内容>

写真2 講演する山岸氏
土砂災害の一般的な話から始まって,最近の土砂災害の話になりました.
2018年4月10日に発生した大分県中津市・耶馬溪の崩壊地の隣りには,古い地すべり跡があります.過去にも同様の崩壊が発生していました.
2018年広島で発生した土砂災害は,2014年の土砂災害と同じ地形,地質条件の場所で発生しました.花崗岩類が風化したマサ土の崩壊です.
似たような地形・地質条件は,例えば層雲峡など北海道にもあります.
地すべり地形分布図が,防災科学技術研究所や北総研・地質研究所から出されています.一度発生した地すべりの内部あるいは周辺では新たな地すべりや崩壊が発生しやすい条件にあります.地すべり分布図が必要な理由です.
地すべりに関する法律は,1958年制定の「地すべり等防止法」や「砂防法」,「急傾斜地法」などがあります.
2004年10月の中越地震による長岡市山古志東竹沢の梶金(かじかね)地すべり(急速に動いた回転型地すべり),1999年の新潟県の東川地すべり(アースフロー),2003年1月の小佐渡・片野尾の地すべり,214年8月の礼文島の地すべりなどを経験しました.
表層崩壊というのは,主に土壌や植生が落下したり滑ったりする現象で,2004年7月の新潟豪雨による表層崩壊は, a)平滑型,b)スプーン型 に分けられます.
深層崩壊は,2011年紀伊半島で起きた崩壊が典型で深層の地盤を含めて崩壊しています.
岩盤崩壊には,「崩落」,「すべり」,「転倒」,「座屈」があります.傾斜60゚以上の露岩した崖で,岩盤の割れ目や節理に関連して発生します.層雲峡の天城岩の崩壊,積丹の豊浜トンネル坑口の崩壊などがあります.
2018年北海道胆振東部地震による斜面崩壊は,平滑タイプ(P タイプ), スプーンタイプ(S タイプ) ,地すべりタイプ(J タイプ)に分けられます.J タイプは基盤岩類の岩相・地質構造に関係しているように見えます.
斜面崩壊について,地層ごとの面積・斜面崩壊の数・地層面積あたりの斜面崩壊の数を取ってみると,新第三紀層の分布域で多い傾向が見えます.これについては,もう少し検討が必要です.
<感 想>
斜面崩壊の分布が何に規制されているかは,興味ある問題です.
斜面崩壊の分布と恵庭火山,樽前火山の降下テフラの分布が割合一致しています.しかし,それだけでは図1に示した斜面崩壊の分布は説明され尽くせないように思います.中新世の地層の岩相・分布に規制されている面はあるように思います.
図1 胆振東部地震による斜面崩壊の分布図
(国土地理院)
<https://saigai.gsi.go.jp/3/20180906/iburi-hokai_2-zentaizu.pdf>
震央の周辺では斜面崩壊が少ないです.川の流路(尾根の方向)に規制されている面もあると考えられますが,全体に北北西-南南東方向に分布しています.
図2 厚真町付近の地質図
(産総研・地質調査総合センター)
<https://www.gsj.jp/hazards/earthquake/hokkaido2018/hokkaido2018-03.html>
震央付近に分布している地層は,中新世・萌別層(もえべつ・そう)の砂岩・シルト岩です.斜面崩壊の分布が多くなる地域には,萌別層より下位の中新世・軽舞層(かるまい・そう)の硬質頁岩・砂岩・シルト岩あるいは振老層(ふれおい・そう)の礫岩・砂岩・硬質頁岩・泥岩が分布しています.
北北西-南南東方向の背斜向斜が何本も分布しています.主要な断層の走向も褶曲軸と一致しています.
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