HBA CLASSIC CONSERT 2026 ― 2026/08/27 14:49
当日配られたパンフレットの表紙
現田茂夫指揮の札幌交響楽団と牛田智大(ともはる)のピアノの演奏会でした。場所は中島公園にある札幌コンサートホール(キタラ)の大ホールでした。
圧巻はやはり、牛田さんの ラフマニノフ/ピアノ協奏曲第2番ハ短調Op18でした。細身の身体で表情豊かに演奏しました。
札響は多分、フルオーケストラでハープが加わっていました。
HBAというは、設立時の名前が 北海道ビジネスオートメーション株式会社というIT企業で、現在の社名は 株式会社HBA です。
キタラにはSHIGERU KAWAI のピアノが常設されています。今回使われたのは、このピアノだと思います。独特の明るい音色が特徴だと思っています。
中島公園と藻岩山
夕方のキタラ
本の紹介:継体天皇 ― 2026/08/26 16:25

河内春人、継体天皇 六世紀に現れた世襲王権の「始祖王」。中公新書、2026年5月初版。
5世紀末までは畿内を中心に王族集団の王が交代で大王(天皇)となっていました。507年に大王に着いた継体天皇以降は、天皇は世襲となりました。
継体天皇以前は、大王になることができる幾つかの集団がありました。河内に拠点を置く古市集団、和泉の百舌鳥(もず)集団、奈良盆地の馬見集団、そして継体天皇の出自である北陸集団などがありました。
北陸と行っても越前付近で、継体天皇はそこから次第に南下して、琵琶湖西岸の三尾、そして巨椋(おぐら)池の下流の樟葉(くずは)を拠点としました。この付近には継体天皇の陵墓とされる今城塚古墳があります。
継体天皇の曾祖父(ひいおじいさん)に当たるオホホド王の時代から、北陸集団は奈良盆地や東の美濃方面にもつながりを持っていましたし、太田茶臼山古墳を巨椋池の出入り口である三島に造営していました。
そのほか、磐井の乱や朝鮮半島との交流などについても詳しく述べられていて、天皇(大王)について考える良い助けになります。
第5回白旗山トレイルレース9kmコース ― 2026/08/22 18:18
5回目となる白旗山トレイルレースの9kmコースに出ました。2024年の第3回から出ています。9kmの周回コースを3周する27km、2周の18km、1周の9kmの種目ががあります。
今回は息子が18kmに出たので、何とか追いつかれないよう頑張ったのですが、私がゴールする500mほど手前で追いつかれました。
天気が良く風は少し涼しい感じで、走るにはとても良い気候でした。
図1 9kmコースの平面図と高低図(TrailNoteによる)
私にとって、このコースの難所は2.7kmから白旗山の頂上の3.9kmまで続く上りです。比高は約130mです。この坂は安山岩でできています。
白旗山の頂上へ向かうコースの標高200m付近から上が安山岩からなる白旗山溶岩(中新世〜鮮新世)です。頂上から下って給水所のある4.3km付近までが安山岩の分布域となっています。
地質図Naviでは、白旗山競技場付近の緩斜面はチバニアンの段丘堆積物としていますが、実体はよく分からないと思います。
白旗山の北西にある焼山、南にある島松山が同じような地質構成となっています。で、この時代の代表は、手稲山の安山岩溶岩です。
写真1 白旗山頂上への入口
写真2 白旗山の頂上
左手の橙色は防火用水の入ったポリタンクです。
写真3 4.5km付近の眺望
空沼岳から狭薄山までが見えます。
写真4 ゴール
本人は走っているつもりですが、どう見ても歩いているようにしか見えません。
日本地すべり学会 新潟支部 2026 年度講演会 ― 2026/08/08 11:32
2026年7月31日(金)、午後1時20分から午後5時5分まで、標記の講演会が開かれました。Zoomで視聴しました。
プログラムは以下のとおりです。2件の特別講演と院生・学生による5件の成果報告がありました。
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プログラム
<特別講演>
岡本 隆氏(森林総合研究所)
「林野火災後の斜面で何が変わるか:大船渡市大規模林野火災跡地の調査から」
小暮哲也氏(京都大学防災研究所)
「光ファイバセンシングによる斜面変形・地下水挙動モニタリング」
<2024 年度学生・院生対象研究助成 成果報告会>
柴野一真氏(新潟大学大学院自然科学研究科)
「UAV-LiDAR による集水井の変形検出と機能診断」
池田弘毅氏(新潟大学農学部)
「深層学習を用いた集水井内部の腐食検出」
二階堂智明氏(新潟大学農学部)
「濁度と電気伝導度測定に基づく小規模流域の土砂災害発生リスクの推定」
三上滋登(新潟大学大学院自然科学研究科)
「黒部川流域の大規模崩壊地の過去 100 年間における経年面積変動の分析」
小林聖依氏(新潟大学大学院自然科学研究科)
「すべり面付近の地下水の水質-新潟県松葉地すべりにおける淡水/塩水境界-」
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<岡本 隆氏>
林野火災の後、斜面はどう変わるのかを大船渡市の大規模森林火災の地表踏査の結果から述べます。どうしてそうなるのかのメカニズムは不明で、調査内容について報告します。
これまで地すべり観測を中心に研究を行ってきました。上越市の東頸城丘陵で発生した伏野(ぶすの)地すべりの長期観測を行っています。 盛岡に勤務になったときに大船渡市の林野火災に遭遇しました。森林の被災状況および回復状況、林野火災後の土砂災害のリスク、災害リスク評価のための現地調査を行いました。
2025年に発生した大船渡市赤崎町の林野火災は、2月26日に確認(覚知)され、3月9日に鎮圧(火災が拡大しない状態)、4月7日に鎮火(火種が無くなり火災が収まった状態)しました。その前に同市三陸町綾里(りょうり)で林野火災が発生していました。
今回の火災は、平成以降(1989年以降)国内最大規模の林野火災で、長期的な寡雨による乾燥が原因と考えられます。この年の2月の降水量は、2.5mmでした。焼失面積は3,370haで山手線の内側の半分の面積に相当します。死者が一人出て、家屋の損傷は226棟でした。
森林火災で木が燃える状態には幾つかの段階があります。
樹冠火は、樹木全体が燃えて丸裸になります。今回は数%の範囲でした。
地表火は、落ち葉や枯れ葉などの林床にある可燃物が燃え、樹木も根本から1-2m程度は燃えますが枯れません。
被害木の処理では、どの樹木を処理するかの選定(トリアージ)が必要です。
樹冠火の樹木は使えます。森林再生をどうするか、防火帯の設置、シカの食害対策、被害木を早く運び出すこと、土砂災害への対応などが求められます。今回の火災では、地すべりなどの斜面崩壊の報告はありませんでした。ただ、土砂流出や雪崩については検討が必要です。
土砂災害リスクとしては、火災よる表層の浸透能の低下、地表面が撥水性を持つこと、表土の間隙が閉塞すること、などによって表面侵食が多く発生します。土砂や流木による、漁港への被害もあります。
林野火災では表層の1〜3cmまでが燃えています。雨で土壌の細粒分が流出して礫が残ります。ガリ侵食は少ないです。
災害リスク調査として現場での表層の浸透能の試験、侵食ピンによる表面侵食試験、土砂受け箱による移動土砂量の測定を行いました。結果は、広域的な浸透能の低下はないと言うことでした。局所的に浸透能が変化します。
浸透能の試験としては、シングルリング法、ミニディスクインフィルトロメータによる方法、散水式浸透能試験を行いました。
<小暮哲也氏>
2008年に筑波大学で自然地理学の学位を取得しました。2009年に地球環境産業技術研究機構に就職し、二酸化炭素の地下貯留技術を研究しました。二酸化炭素の圧入によって地盤が年2cm隆起しました。光ファイバでのモニタリングを行いました。その後、島根大学を経て京都大学防災研究所に入り、地すべり挙動の観測を手がけています。
光ファイバは直径0.125mmで、石英ガラスやプラスティックでできています。中心の石英ガラス(コア)とそれより屈折率の低いグラッド(添加物を含む石英ガラス)からなっています。これをシリコン被膜で覆っています。コアの中を進む光はコアとグラッドの境界で全反射しながら進行します。
光ファイバに入射した光は、後方散乱光を発生させます。この光には、ラマン光、ブリルアン光、レイリー光があります。
ラマン光は温度の測定、ブリルアン光とレイリー光は温度と歪みを測定できます。また、歪みが発生している場所も特定できます。線的にデータ取得が可能で、電気ノイズに強いという特徴があります。
ボーリング孔を使って、地すべり挙動モニタリングを行いました。概成した地すべりの末端付近のボーリング孔に光ファイバセンサを設置しました。レイリー散乱光を利用し、サンプリング間隔は5cm、空間解像度は10cmで、6時間観測しました。
結果は、すべり面とされている深度8m以外に深度4mと13mで歪みが検出されました。
光ファイバで温度計測をして地下水の挙動を把握することを試みました。
供試体を人工的に加熱して実験を行った結果、水の位置を特定できました。
深度50mのボーリング孔を掘り、歪みと地下水の挙動を測定しました。歪みの変化と温度の変化(地下水の動き)を計測できる可能性が示されました。
<学生・院生の発表>
柴野氏は、UAV-LiDARで地すべり集水井を上空から撮影し、集水井の変形を精度良く捉えることができたと報告しました。集水井の天蓋を明けずに集水井の上空から撮影するだけでデータが得られたので、104基の集水井を短時間で点検できました。1基当たり30分で点群データが取れます。
池田氏は、集水井を360℃カメラで撮影し、深層学習を用いて腐食状況を判定しました。多値分類モデルを用いることで精度良く腐食状況を把握できることが分かりました。
二階堂氏は、河川水の濁度と電気伝導度を測ることで流域の崩壊危険度を評価することを試みました。濁度は物理的風化の指標、電気伝導度は化学的風化の指標と考えました。
対象とした地域の内、海成泥岩で構成されている東頸城丘陵は、泥岩に含まれる黄鉄鉱が硫酸を生成し、化学的風化が進行しやすい条件にあります。
三上氏は、黒部川流域での大規模崩壊の面積が長期的にどう変化しているかを課題として取り組みました。
中部山岳地帯は地形変化量が大きいです。その中で黒部川は年降水量が4,000mm以上で、構成する地質は花崗岩類が主体です。1910年代、1970年代、2010年代の地形図、空中写真、航空レーザ測量図を用いて大規模崩壊地の変化を追いました。
大規模崩壊地の箇所数は、1910年代から1970年代までに80%が形成されています。
小林氏は、新潟県の第三紀層泥岩地域の地すべりである松葉地すべりの地下水が低下しない現象について研究を行っています。
電気探査の比抵抗図から、この地域では地下深部から塩分濃度の高い地下水が上昇してきていることが示唆されました。室内試験の結果、地すべり地内の塩水が淡水化することにより土質強度が低下することが分かりました。
深部からもたらされる塩水によって過剰間隙水圧が上昇し大規模地すべりが発生しやすい条件ができると同時に、塩水が淡水化することによって地すべりを構成する粘土の強度が低下し浅層地すべりが発生すると考えられます。
<感 想>
なかなか面白い講演会でした。
林野火災で林床の土壌が撥水性などの性質を獲得し表層崩壊が起きやすくなるというは興味深い話でした。
光ケーブルを使うことによって、歪みと地下水の両方の変動を記録できるというのも興味深い話でした。
学生・院生の発表も充実していて聞き応えがありました。
なお、学生・院生の発表内容は、日本地すべり学会新潟支部のウェブサイトから入手できます(2026年8月8日確認)。
( 日本地すべり学会新潟支部ホームページ>more>2026.05.13 2025年度学生・院生対象研究助成 成果報告書 )
本の紹介:日本列島の歴史 ― 2026/07/20 17:24

日本第四紀学会 編、図説 日本列島の歴史 第四紀の人と環境。朝倉書店、2026年6月。
この本は、オールカラーで非常に読みやすい体裁になっています。
12頁ほどの総論と地域編からなっています。総論も読み応えがありますが、なんと言っても北海道から南西諸島・大東島までの83の地域についての記事が秀逸です。
例えば、伊豆半島については、島弧同士の衝突の場であること、その衝突を反映した地形、2,000万年前から現在までの変化、衝突に伴って生じた陸上の活断層や海底活断層、1854年の安政東海地震の津波石、そしてジオパークについて述べられています(小山真人・北村晃寿)。
なお、日本地質学会News(Vol.29 No.6 June 2026)の「紹介」欄で、この本が紹介されています。







