これからの若者にもフィールドワークへの情熱を持って欲しい2011/03/03 15:06


ヒマラヤの青いケシ


 ふたたび「テーチス海に漂う青い雲」についての感想である。

 ヒマラヤの学術調査の紀行文集である。この文集に出てくるヒマラヤのフィールド調査に参加して感動したことには、いくつかの共通した事柄がある。

 まず、夜の満天の星の美しさについて書いている人が多い。宿泊地では、対岸の集落の灯りだけと言う状況であれば、その星の見え方は日本とは全く違うだろう。

 ネパールの低地の風景が、日本とよく似ているという感想も多く書かれている。1960年代後半から1980年にかけては日本は高度成長期で、それまでの風景が大きく変化した時代である。フィールドワークを愛する若者が郷愁のようなものを感じたのだろう。

 多くの調査がキャラバンとして移動しながら、地質や植生、動物、氷河などについて調査していくというスタイルを取っている。シュルパ、ポーターが荷運びや食事の準備などをするとは言え、食料の調達がうまくいかずビスケットだけで数日を過ごしたという話も出てくる。それに、場合によっては1,000mの上り下りをしながら進むという過酷さである。

 調査に適しているのは、モンスーン明けであるので10月頃からとなるようだ。しかし、もたもたしていると冬がやってくる。場合によっては標高5,000m付近まで調査の足を伸ばしているので、寒さとの戦いも強いられる。

 このような苦労をいとわない情熱は、どこから生まれてくるのか。当時、ヒマラヤが学術調査の処女地であったと言うことが、このような情熱を引き出した一つの要因だとは思う。しかし、それだけではなく、自然、特に山に対する強烈な興味が、それぞれの人の根底にあったように思う。

 この情熱は21世紀の若者たちに引き継いで欲しいと思う。


地球の営みについての分かりやすい本2011/03/04 20:29




 プレートテクトニクスによる地球の変動の分かりやすい本として名著の誉れが高いのが,深尾良夫氏の「地震・プレート・陸と海 地学入門_」(1985,岩波ジュニア新書)である.

 地球の構造の話から始まり,陸と海の違い,海の底が生まれる話,そして海の底が沈み込む過程と地震の発生,島弧の話,最後はヒマラヤチベットを例に,山がなぜ高くなるのかという話で締めくくられている.今更プレートテクトニクスの話と思うけれど,わかりやすさという点では非常に優れた話の進め方である.

 ある町で町民向けの講演会と地質見学会を行った時に,参加していた人から,「どうして深尾さんの本ように分かりやすい地質の本がないのか」と言われたのがきっかけで,この本を読んでみた.確かに,分かりやすい本である.この本を書いた時,深尾氏は42才,一番脂の乗っていた時であろう.

 地球全体を視野に入れて分かりやすい地質の本を書くとしたらどんな風に話を進めたらいいのだろうか.かなり難しいと感じる.

 余談であるが,深尾氏は1992年に地震波トモグラフィを用いて全マントルの構造,マントル内部の三次元的構造を明らかにした.地球内部の外殻とマントルの境界から上昇してくる柱状のプルームと沈み込んだ海洋プレートが上部マントルと下部マントルの境界で滞留し,やがて下部マントル中に落ちていく様子が描き出された.この滞留するプレートが,スタグナントスラブ(stagnant slab)である.

春の日差しの豊平川下流2011/03/07 21:39


             雁来大橋の下から見た豊平川

 3月4日から5日にかけて春の大雪が降り,冬に逆戻りした札幌ですが,また春らしくなりました.豊平川右岸の春らしい様子です.

 豊平川の国道275号,雁来大橋付近から下流は,1934(昭和9)年から直線化工事が行われ,1941(昭和16)年に通水されるようになりました.
 この付近の河川敷は牧草地になっていて,雁来大橋から厚別川合流点までの右岸堤防,約3.5kmは見通しの良い場所です.

 川の向こうには札幌市街のビル群と藻岩山,札幌西部山地の山々と恵庭岳,うまくすると真っ白な無意根山の頂が顔をのぞかせているのを見ることができます.そして,対岸のモエレ山がはっきりと見えます.
 東に目を転じると隈根尻山地,夕張山地を見ることができます.

           豊平川右岸から札幌市街方向を見る
      春らしい空になっている.雪の上にはキタキツネの足跡が一杯.

 冬は風が猛烈に吹く時があり,なかなか厳しいですが,夏は走っても良し,牧草地で風に当たってのんびりするのも良しで,気分転換には絶好の場所です.

             雁来大橋付近から下流を見る
       左は豊平川の河畔林,正面遠くの林は厚別川の河畔林である.