2025年 札幌国際スキーマラソン ― 2025/02/17 14:19
2025年2月2日(日)に行われた表記大会の歩くスキー10kmに出ました。
今年の申込者は50kmから4kmまで、すべて含めて823人、そのうち歩くスキーの10kmは66人でした。非常に寂しい大会となりました。
1月に、ほとんど雪が降らなかったので25kmのコースが整備できなかったようで、50kmは10kmコースを3周、25mは10kmコースを2周に短縮されていました。
計測チップ(SEIKOトランスポンダシステム)は、10km以下の参加者には配布されませんでした。
私はGPS時計で計測し、時間は1時間31分51秒でした。しかし、ウェブサイトに載っていた記録は、1時間42分28.2秒でした。2月17日に確認したところでは、大会のウェブサイト(リザルト)から10km以下の記録は消えています。
なお、GPS時計での10kmコースの距離は約9.3kmでした。トレイルランニングやクロスカントリースキーでは、距離は目安なので目くじらを立てることもないですが、ちょっと誤差が大きすぎる気がします。
今回はスキーがよく滑りました。特に7km過ぎから8.6kmまでの下りは気持ちよく滑ることができました。ほぼ全コース、歩くスキーのレーンが2列ついているので歩きやすいです。
図 2025年 札幌国際スキーマラソンの10kmコース
その昔、札幌国際スキーマラソンは冬の一大行事でした。
当初は羊ヶ丘展望台発着でした。50kmコースは白旗山競技場がちょうど30kmになっていて、公式記録を取ってくれました。なので、つらい時はここで止めても、それなりに満足感がありました。
札幌ドームに発着会場が移って白旗山競技場は31kmとなり、記録も取ってもらえなくなりました。札幌ドームの中で着替えなどができましたので、それなりに環境は良くなりました。また、地下鉄東豊線の福住駅から歩いて行けるので楽でした。
そして、白旗山競技場が発着点となりました。送迎バスはありますが、基本的に車でないと行きづらくなりました。楽しみながら参加する小学生や中学生が一番減ったと思います。
冬のスポーツを多くの市民が楽しむようになれば、冬のオリンピックを札幌で開くことも良いかもしれません。しかし、今の状況を見ていると、段々と尻すぼみになっています。世の中全体の経済状況もありますが、これを回復するのは容易ではないでしょう。
筑波山 ― 2025/02/20 10:54
筑波山は東京駅の北東約70kmにある標高877mの山です。
今回は秋葉原から、つくばエクスプレスで終点の つくば駅まで行き、駅前からバスに乗って筑波山神社入り口で下りて、筑波山ケーブルカー脇の登山道を登りました。
一応ハンマーは持って行きましたが、転石を叩くにとどめましたので詳細な岩相はよく分かりませんでした。
図1 今回の登山ルート(TrailNoteによる)
「筑波山神社入口」でバスを降りて、ケーブルカーのすぐ東の登山道を登りました。西の男体山と東の女体山の間の鞍部である御幸ヶ原から、まず男体山に登り、女体山に登ってロープウェイで下りてきました。
筑波山周辺には古第三紀前期(6,600万年前〜4,800万年前)の花こう閃緑岩類が広く分布しています。5万分の1地質図幅「真壁地域の地質」(宮崎ほか、1996)によると、筑波山の標高300m付近から上には後期白亜紀(1億年前〜6,600万年前)の斑れい岩が分布しています。山麓のなだらかな地形は扇状地です。
しかし、田切ほか(2013)は、踏査によりケーブルカーの標高530m付近から下は花こう岩類としています。
図2 花崗岩と斑れい岩の露頭分布(田切ほか、3pの図の部分)
赤丸が花こう岩、青丸が斑れい岩の露頭です。
写真1 つくばエクスプレスから見た筑波山
左が男体山で右が女体山です。山頂の標高は、右の女体山がわずかに高いです。
写真2 つつじヶ丘行きのバスから見た筑波山
写真3 ケーブルカー乗り場と登山道の分かれ
この地点の標高は290mほどです。男体山山頂は約870mですから580mほどの上りとなります。
写真4 登山道の標高330m付近の花こう岩
田切らによると花こう岩の分布域です。
写真5 登山道の標高380m付近の斑れい岩
細粒で玄武岩のように見えますが、斑れい岩と判断しました。
写真6 登山道の標高410m付近の転石
登山道に径1m以上の転石が転がっています。この付近で尾根が緩傾斜となります。
写真7 登山道の標高600m付近の露頭
ケーブルカーのトンネルの下の坑口付近の露頭です。標高500付近から斜面は急傾斜になります。下方の花こう岩と上方の斑れい岩の境界に相当します。
写真8 登山道の標高630m付近
ケーブルカーのトンネル坑口への落石を防ぐための工夫と考えられます。この付近から急斜面になります。
写真9 登山道の標高600m付近の斑れい岩
ケーブルカーのトンネル山側坑口付近の岩石です。田切ほかに従えば、斑れい岩ですが、見た目は閃緑岩です。
写真10 斑れい岩
細粒の斑れい岩で、登山道の男女川(みなの・がわ)源流付近(標高605m)の露頭です。
「筑波嶺の 峰より落つる 男女川 恋ぞつもりて 淵となりぬる」<陽成院(13番)『後撰集』恋・777>
陽成院は869年生まれ、949年没で、876年から884年まで天皇在位でした。
写真11 斑れい岩
登山道の標高720m付近の斑れい岩です。
写真12 斑れい岩の露頭
登山道の標高730m付近の露頭です。南に傾斜する層状構造のように見えます。
写真13 男体山山頂から霞ヶ浦
南東に霞ヶ浦とその先の太平洋が見えます。
写真14 筑波山神社・筑波大学計算科学研究センター 共同気象観測所
神社と大学の共同気象観測所です。
写真15 筑波山神社・男体山御本殿裏の斑れい岩
御本殿裏に見事な斑れい岩の平面露頭があります。構造がはっきりと見えます。
写真16 女体山山頂
女体山の山頂とロープウェイ駅です。男体山に比べてこちらの方が岩峰が多く、鋭い地形を示しています。
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<参考文献>
田切美智雄・矢野徳也・小池 渉、2013、筑波山ハンレイ岩体の層状構造 と貫入形態.茨城県自然博物館研究報告、第16号、1-8。
宮崎一博・笹田政克・吉岡敏和、1996、真壁地域の地質。地域地質研究 報告、5 万分の1 地質図幅。地質調査所。
第63回試錐研究会 ― 2025/02/23 11:32
2025年2月19日(水)13時から17時半まで、北海道総合研究機構 エネルギー・環境・地質研究所主催の表記の講演会が札幌サンプラザで開かれました。私はオンラインで視聴しました。
プログラムは下のようでした。
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■ 開会の挨拶
北海道立総合研究機構 エネルギー・環境・地質研究所
所長 大津 直
■ 特別講演
☆地質情報提供の進化—多様な利活用に向けた持続可能なデータ基盤構築
国立研究開発法人 産業技術総合研究所 地質調査総合センター 地質情報基盤センター 整備推進室長 内藤 一樹
■ 一般講演
☆北海道における地質地盤情報整備・提供に関するエネルギー・環境・地質研究所の取り組み
北海道立総合研究機構 エネルギー・環境・地質研究所地域地質部 地質環境グループ 主任主査 廣瀬 亘・地域地質部 地質環境グループ 主査 加瀬 善洋
☆札幌地盤図と表層地盤の特徴について
北海道土質コンサルタント株式会社 取締役統括技術部長 松本 和正
☆防災井戸・国土強靭化生命の基本
全国さく井協会九州支部 支部長 岩隈 一幸
☆地下資源調査所からエネルギー・環境・地質研究所へ
北海道立総合研究機構 エネルギー・環境・地質研究所 所長 大津 直
■ 閉会の挨拶(17:20 ~ 17:30)
北海道地質調査業協会
理事長 千葉 新次(代理:副理事長 今 秀俊)
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いずれの講演も面白い内容でした。
地質図Naviの進化、エネルギー・環境・地質研究所の地質情報の整備と公開、新しい研究手法と解釈による未刊行の5万分の1地質図幅の作成、札幌の表層地盤図、災害時に重要な生活雑用水の話、地下資源調査所からエネルギ-・環境・地質研究所への変遷の歴史などです。
特に、私にとって衝撃的だったのは、岩隈一幸氏による災害時の水の問題でした。岩隈氏の講演の概要を記します。
全国さく井協会九州支部 支部長 岩隈 一幸:防災井戸・国土強靭化生命の基本
災害時の水と言えば飲料水と考えるのが普通です。しかし、避難所で飲料水が手に入らず亡くなった被災者はいないと言われています。2016年の熊本地震では、翌日から飲料水が届けられました。しかし、その水は余ってしまい処分しました。飲料水や給水車の水を生活用水に使うことが心理的にできなかったのです。
実際はトイレや風呂などの生活雑用水が手に入らず亡くなった方が多数います。
地震などの災害で断水した場合の災いは、四つあります。
1. 血栓症や誤嚥性肺炎による災害関連死
トイレに流す水が無いため、汚いトイレを使いたくないのでトイレを我慢し、水を飲まないために起こります。
2. コロナ・インフルエンザ・ノロウィルスなどの感染症
手洗いをするきれいな水が無いため、感染症にかかりやすくなります。
3. うつ病などの精神疾患
身体や髪を長い間洗えないストレスに加え、避難所の排泄物の臭いなど、避難所の環境によるストレスでうつ病が発症した例があります。
4. 治安の悪化
水を分けてもらう避難者のふりをして窃盗を行う泥棒が出ました。
2016年の熊本地震直後、最も必要だったのは飲料水とトイレに流す水で、重要と答えた被災者は両方合わせて80%でした。避難所で飲料水が不足して亡くなった人はいないと言われています。しかし、水不足で被災者が亡くなっています。水道水など普段の生活で使っている水が得られないで人が亡くなる過程は次のようです。
災害によって断水します ↓ 水洗トイレが汚物まみれになります ↓ 汚物まみれのトイレに行きたくない ↓ トイレに行かなくて済むように食事や水分の摂取を控える ↓ 水分不足により血栓ができ死に至る
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死なないまでも避難生活で精神疾患になる人がいます。過ストレスによるうつ病や認知症の進行が起きます。しかし、症状がひどくなると自殺の原因につながりかねないという現実があります。
生活用水が不足するために起きる精神疾患には、次のようなものがあります。
1. 他人の排せつ物の強烈な臭い(風向きによっては避難所内に臭ってくる) 2. トイレに行くたびに見る山盛りの他人の排せつ物の臭いと光景 3. 長期間、身体を洗えないストレス 4. 長期間、洗濯ができないストレス 5. 長期間、髪を洗えないストレス 6. 手を洗うことができず、蔓延する感染症におびえるストレス
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災害時にはきれいな水が最も重要で、豪雨災害では泥水で汚れた家屋や家具を洗うために大量のきれいな水が必要となります。
1. トイレ→排泄された封尿を流す 2. 手洗い→トイレで用を足した後、石けんを使って手洗いできる設備が必要 3. 歯磨き→口腔内の洗浄・病気の予防 4. 食器の洗浄→病原菌に感染するのを予防 5. お風呂→精神的ストレスの発散 6. 洗濯→下着など毎日洗濯が必要 7. 洗浄→水害に遭った家具や住居など
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大人一人当たり必要な飲料水は、一日3リットル(厚生労働省)とされています。同じく生活雑用水は約210リトル(熊本市の節水目標値)です。
*一般には、生活雑用水の必要量は10〜20リットルと言われています。しかし、風呂や水洗トイレを入れると、こんな量では収まりません。普通のお風呂は200リットル入ります。水洗トイレは「大洗浄レバー」の場合4〜8リットル、「小レバー」では3〜6リットルの水を流します。
2016年の熊本地震の時には、プールから水を汲んできておいてトイレで用を足した後バケツ2杯の水を流すよう指示されていました。小学校などにある25mプールの水の量は36万リットルです。避難者500人いる場合3日分です。
さらに、余震が続く中でプールの水を汲むというのは危険が伴いますし、地震によってプールはひび割れて水漏れします。
災害用のトイレとして落下式マンホールトイレがあります。昔のポットン便所です。しかし、これは非衛生です。
地下水を使った次世代型水洗式マンホールトイレがあります。トイレの下に水が流れるようにして排せつ物を処理します。水は、停電しても大丈夫なように手押しポンプの防災井戸から供給します。これに、4立方メートルくらいの貯留層を設ければ、下水管が破損していても当面トイレは使えます。
防災井戸と耐震性貯水槽を「道の駅」などに設けるのが良いと考えます。貯水槽の水は飲用にも使えます。防災井戸は手押しで50m下から水を汲み上げることができ、3歳児でも水を汲むことができます。
役所や小学校など色々なところに防災井戸を設け、様々な災害に対応できるようにするのが良いです。
熊本地震で被害の大きかった甲佐町では、地震発生前から設置してあった4箇所の防災井戸が損壊しないで水を供給できました。地震発生の4月14日から16日までの3日間で震度7が2回を含む震度6弱以上の地震が7回起きました。防災井戸の有効性が実戦で証明されました。災害時にはネットワークではなく点で多くの水源があった方が強いのです。
なお、この発表会の講演資料集は、エネ環地研のウェブサイトからダウンロードできます(2025年2月23日確認)。
第50回記念 道民・札幌市民歩くスキーの集い ― 2025/02/27 21:52
表記の大会が2025年2月24日(月・天皇誕生日の振替休日)、国営 滝野すずらん丘陵公園で行われました。午前中が記録会で、午後は記録を取らない歩くスキーの大会でした。
午後の歩くスキー大会に参加しました。初めての参加です。
休日とあって、スタート地点に近い東口駐車場は三角印(ほぼ満車)だったので、ファミリーゲレンデ下の中央口駐車場に車を止めて、スキーを履いて準備を整えてスタート地点に向かって雪の坂道(連絡コース)を登っていきました。
スタート地点の「つどいの森」で受け付けをすると参加賞をくれました。しかし、車まで戻って置いてくる時間は無いので預かってくれないかと頼みましたが、受付の女性はそっぽを向いてしまいました。隣の男性に中身を聞くとトートバックとプログラムだというので、その場で返しました。
参加者には事前に郵送で番号が書かれたビブスが送られてきているので、それと一緒に送ってくれれば良いのにと思いました。
図 歩くスキーのコース(TrailNoteによる)
標高グラフで3km手前の急斜面は、コースが逆S字の急坂になっていいます。ゴール手前は直線の坂で一気に滑っていけます。このソフトでは距離は約5.5kmです。
開会式の後、ラジオ体操をしてスタートです。残念ながら、歩くスキー用のレーンは全コースついていませんでした。スケーティングでレーンは踏まれて消されてしまいますが、大会に向けてレーンを付けた形跡もありませんでした。ゴールしたときに大会委員長がいたので「レーンがついていないんですね」と言ってみましたが、何を言っているのか分からないようでした。
写真1 つどいの森での開会式
歩くスキーの12km、6km、3kmの参加者です。
文句ばかり書きましたが、天気は良くスキーはよく滑り気持ちの良く歩くことができました。急な坂などには係の人がいて、手助けしてくれたり注意を呼びかけたりで、ありがたかったです。
写真2 ファミリーゲレンデの上から
歩き終わってファミリーゲレンデを滑って中央口の駐車場に行きました。一番左に神威岳と百松沢、右に手稲山が見えます。
帰りは保養センター駒岡でお風呂に入り、近くのコープで久しぶりのビールを買って家に帰りました。気持ちの良い1日でした。